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VOL56「マンション管理計画認定制度」地方公共団体がマンションの管理計画を認定する制度 執筆:住宅ジャーナリスト/山本久美子

2022年4月20日

国土交通省によると、築40年を超えるマンションのストックは、2020年末時点で103万戸だったものが、2030年末には約2.2倍、2040年末には約3.9倍になると見込まれている。老朽化したマンションが急増していくことに対して、マンションを適正に維持管理し、課題のあるマンションには再生を促すための法改正が行われ、2022年4月1日からマンション管理計画認定制度がスタートした。

管理組合が地方公共団体に認定を申請する流れ

管理組合が地方公共団体に認定を申請する流れ(出典:国土交通省の資料を基に作成)

地方公共団体による管理水準の底上げと
適正管理の誘導が狙い

法改正により、地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を作成したうえで、区域内にあるマンションに対しては、適切な管理計画を持つものを認定したり、管理が不十分な場合に指導や助言、勧告などを行ったりできるようになった。

たとえば、次のようなマンションには、地方公共団体が助言・指導や勧告を行うことができる。

●助言・指導、勧告を行う場合の判断基準の目安

・管理者が定められていない、集会(総会)が開催されていない
・管理規約が存在しない
・管理費と修繕積立金の区分経理がされていない
・修繕積立金が積み立てられていない

一方で、適切な管理計画を持つマンションを個別に認定できるので、区域内のマンションの管理水準を適正なものに誘導できることが期待される。その認定制度が「マンション管理計画認定制度」だ。


管理組合の運営や大規模修繕工事の取り組みなど
管理計画の16項目が国の認定基準に

国の認定基準は、管理組合が適切に運営され、必要な大規模修繕工事が行えるかどうかを重点とした、次の16項目になっている。地方公共団体が独自に認定基準を設定できるので、認定基準の項目は地方公共団体によって増えることもある。

管理組合の運営
管理者等が定められている
監事が選任されている
集会が年1回以上開催されている
管理規約
管理規約が作成されている
災害等の緊急時や管理上必要な時の専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められている
管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(電磁的提供も可)について定められている
管理組合の経理
管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われている
修繕積立金会計から他の会計への充当がされていない
直前の事業年度の終了の日時点における修繕積立金の3ヶ月以上の滞納額が全体の1割以内である
長期修繕計画の作成及び見直し等
「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されている
長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われている
計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれる設定である
将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していない
計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でない
計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっている
その他
組合員名簿、居住者名簿を備え、1年に1回以上は内容の確認を行っている
チェック項目は、国土交通省が定める管理計画認定制度の認定基準。認定する市区において独自の基準を追加して定めている場合がある。

出典:国土交通省の資料を基に作成


国土交通省では、管理規約や長期修繕計画等がマンションの維持管理に重要であることから、「標準管理規約」や「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン」、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」などを公表している。これらに準じた内容になっているかどうかなどが、審査されることになる。



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