トップ>話題の不動産キーワード>VOL.22 空き家問題:木造一戸建ての空き家の放置は住環境の悪化につながる
※記載内容は、情報公開時点の法令並びに執筆者による情報に基づいています。
2014年10月15日
近年、全国で空き家が増え続けている。国や自治体が対策に乗り出しているが、増加に歯止めがかからない状況だ。空き家を放置するとどのような問題が生じるのか。どのような対策が考えられ、取り組みが進められているのだろうか。
種類別の空き家数の推移。出典:住宅・土地統計調査(総務省)
総務省の住宅・土地統計調査(平成25年・速報)によると全国の空き家数は820万戸と、5年前に比べて63万戸(8.3%)増加し、総住宅数に占める空き家率は13.5%と0.4ポイント上昇して過去最高を更新した。 空き家率を都道府県別にみると、東京都の空き家率は11.1%、愛知県は12.3%と、大都市圏では空き家率の低い都府県が目立つ。ただし、大都市圏は総住宅数が多いため、空き家の実数が多いことに注意が必要だ。東京都では81万戸を、大阪府では67万戸を超えている。 空き家の種類別内訳を見ると、最も多いのは「賃貸用の住宅」で平成20年の調査では54.5%を占める。次いで多いのは「その他の住宅」のうち木造一戸建てで22.8%だ。空き家問題で問題視されるのは賃貸用の住宅よりもその他の住宅で、そのなかでも最も多い木造一戸建てがクローズアップされている。 というのも、賃貸用の住宅は空き家になってもオーナーが管理を継続し、いずれ賃借人が居住することが期待できるのに対し、その他の住宅、特に木造一戸建てはずっと空き家のまま放置されて老朽化するケースが少なくないからだ。老朽化した一戸建ての空き家は街の景観を乱すだけでなく、放火などの犯罪の温床となったり、ゴミ捨て場となって住環境を悪化させることも考えられる。 空き家が増えている背景には、過剰に供給された住宅の総数が世帯数を上回っていることに加え、少子高齢化により郊外を中心に人口の減少や都市部への流出が進んでいることが挙げられる。だが、空き家の増加は郊外だけでなく都市部でも進んでいることにも注意しなければならない。 都市部での空き家増加の要因としてよく指摘されるのが、固定資産税の問題だ。宅地の固定資産税は住宅が建っていれば、居住の有無に関わらず固定資産税評価額が6分の1(200m2を超える部分は3分の1)に減額され、税額が軽くなる。そのため高齢者の死亡などで空き家となった家を相続した子などが、建物を解体せずに残しておくことで税負担を軽くするケースが少なくない。
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