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VOL.42「レインズの『取引状況(ステータス)管理』」売り主が知っておきたい「取引状況(ステータス)管理」とは? 執筆:不動産コンサルタント/平野雅之

2018年02月21日

公益財団法人東日本不動産流通機構による「ステータス管理」説明書類より引用

公益財団法人東日本不動産流通機構による「ステータス管理」説明書類より引用

売り主が宅地建物取引業者に対して物件の売却を依頼すれば、その情報はレインズ(Real Estate Information Network System)と呼ばれる業者間の情報交換システムに登録される。ただし、登録義務があるのは専任媒介契約または専属専任媒介契約で依頼した場合であり、一般媒介契約物件の登録は任意だ。


この「レインズ」に2016年1月、新しい機能として「取引状況(ステータス)管理」が導入された。個人の売り主(売却依頼主)にも大きく関わる「ステータス管理」とは、いったいどのようなものなのか、その効果や仕組みをしっかりと理解しておきたい。


物件の「囲い込み」が物件流通を阻害していた!?

レインズによって宅地建物取引業者が情報を共有するのは、広く買い主(購入希望者)を探索して、スムーズな成約につなげようとするためだ。売り主から売却の依頼を受けたA社が、その物件情報をレインズに登録することで、B社もC社も……多くの宅地建物取引業者が買い主を探すことができる。


その一方で、売り主から売却の依頼を受けたA社が自ら買い主も見つければ、売り主と買い主の双方から仲介手数料を得ることができる。これを業界内では「両手」というが、両手を狙うあまり本来のレインズの趣旨から逸脱し、売り主から売却の依頼を受けたA社が他の宅地建物取引業者に物件の情報を知らせない(レインズには登録しても、「契約予定だ」などと虚偽の説明をして他社の顧客には紹介させない)ような行為が多く見られた。いわゆる、物件情報の「囲い込み」だが、そのような行為により売り主が売却の機会を逸することも少なくない。


そのような行為を防ぐために、売り主自身による確認機能をレインズのシステムに加えたのが「ステータス管理」だといえるだろう。原則として宅地建物取引業者しか利用することのできないレインズだが、売り主(物件の売却に関して宅地建物取引業者との間で専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んだ者)は、専用のIDなどを用いて「自分自身の物件の登録状況」を確認できるようになった。



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