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VOL.36「民泊」広がる民泊 今後はどうなる? 執筆:住宅ジャーナリスト/山本久美子

2017年02月15日

「民泊」が最近、話題を集めている。新たな宿泊先として期待を集める一方で、旅館業法が壁となって無許可で営業する事例も多く、近隣からの苦情が生じるという側面もある。政府は民泊新法を成立させようとしているが、民泊の現状について見ていこう。

民泊新法で検討されている民泊の制度スキーム図

民泊新法で検討されている民泊の制度スキーム図(出典:「民泊サービス」のあり方に関する検討会)資料より)


宿泊施設不足や空き家対策の救世主として
注目される民泊

民泊とは、「一般の住宅に有料で旅行者などを泊める」こと。自宅の一部屋を提供する場合もあれば、マンションの住戸や一戸建てをまるごと提供する場合もある。


民泊仲介サイトの大手Airbnb(エアービーアンドビー)がアメリカで設立されたのは、2008年のこと。以降、日本を含む世界191ヶ国、3万4,000以上の都市に民泊は広がっていった。


日本でも、空いたスペースや時間などを他人とシェアする「シェアリングエコノミー」が普及するにつれ、空室を活用する手法として注目されるようになった。


政府も、民泊を後押ししている。東京オリンピックを控え、「観光客の宿泊施設が不足している」ことが問題視されている。一方で、「個人住宅の空き家が増加している」実態も浮き彫りになった。民泊は、こうした問題を解決できるとして、期待されているわけだ。


ところが、民泊に関する法律が日本にはないため、継続して有料で宿泊させる民泊の営業には、旅館業法の許可が必要となる。そのため、住宅地では営業できなかったり、宿泊客の安全を確保するために建物の基準や衛生面の基準などを満たさなければならないといった課題があった。


こうした高いハードルを引き下げるために、観光立国を目指す政府は、「国家戦略特区」(=地域を限定して規制緩和や税制面の優遇をすることで、国際的な経済活動の拠点の形成を促進するもの)で、旅館業法の許可を得なくても民泊が行える制度を設けた。


特区を利用した民泊については、東京都の大田区や大阪府、大阪市、北九州市が、それぞれ条例を制定して独自のルールの下で民泊の営業を可能にしている。


さらに政府は、特区以外の民泊のハードルを下げるために、旅館業法の「簡易宿所」の運用を緩和し、許可を受けやすいようにした。



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