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VOL.36「民泊」広がる民泊 今後はどうなる? 執筆:住宅ジャーナリスト/山本久美子

2017年02月15日

民泊新法で検討されている民泊の制度スキーム図

民泊新法で検討されている民泊の制度スキーム図(出典:「民泊サービス」のあり方に関する検討会)資料より)

近隣住民とのトラブルが増加。
民泊の解禁にむけた民泊新法も

特区による民泊の営業であれ、簡易宿所の許可による営業であれ、依然としてハードルが高いことから、無許可で営業をする民泊が後を絶たない。


京都市が実施した「京都市民泊施設実態調査」の結果を見ると、民泊仲介サイト8社で計2,702件(宿泊可能人数1万1,852人)の掲載を確認し、旅館業法許可の有無などを調べたところ、「物件所在地を特定(推定含む)できて無許可だったもの」と「物件所在地の番地まで特定に至らず、同じ町に許可物件がないもの」、つまり、無許可と推定される民泊施設が最低でも約7割にのぼることがわかった。


京都市の実態調査では、市内の民泊施設の周辺に住む住民にもヒアリング調査を行っているが、一戸建てでは、「集合住宅より多くの人数が宿泊可能なため騒音につながりやすい」、「路地奥の施設については火災の心配がある」などの声が挙がり、集合住宅では、「オートロックの意味がなくなっている」、「1つの集合住宅で多数の民泊が運営されている物件では、ごみ問題、騒音、深夜にインターホンを間違って鳴らされたなどの具体的な迷惑をこうむっている」などの声が挙がったという。


民泊に関するトラブルに加え、感染症対策などの衛生面や災害対策などの安全面の課題も残る民泊ではあるが、健全な運用が図られるようなルール作りをするために、厚生労働省と国土交通省が有識者による「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」を設置し、検討を重ねてきた。


そして、政府は今、民泊に関する新しい法律「住宅宿泊事業法」(民泊新法)の成立を目指している。民泊新法では、民泊をホストがゲストと一緒に滞在しているかどうかで「家主居住型」と「家主不在型」の2タイプに区分し、住宅提供者、民泊施設管理者、Airbnbなどの仲介事業者に対して規制を課すことで、適正な管理や安全面・衛生面を確保する仕組みを設けている。


民泊については、観光振興やトラブル回避、シェアリングビジネスの成長、旅館業界との共存など、多様な観点からの課題がある。新法成立後も、具体的な運用について、さまざまな議論がなされるだろう。



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