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VOL.31「電力小売り自由化」電力会社を一般家庭が選べるようになり、競争が激化 執筆:不動産コンサルタント/平野雅之

2016年04月20日

電力会社を切り替えるためには、スマートメーターの設置が前提となる

電力会社を切り替えるためには、スマートメーターの設置が前提となる

2016年4月1日に、一般家庭向けを含む電力の小売りが全面自由化された。すでに契約先を切り替えた人もいるだろう。これまでも企業や工場など大口需要家向けの電力は自由化されていたわけだが、すべての電力が対象となったことで「全面自由化」ともいわれている。自由化によって何が変わったのか、主なポイントを整理しておくことにしよう。


供給される電力の質や安定性は、
どこと契約をしても同じ

自由化される前は、居住する地域によって契約相手の電力会社は決められていた。東京に住めば東京電力、大阪に住めば関西電力、名古屋に住めば中部電力というように、全国で10社の既存大手電力会社がそれぞれの地域を独占していたのだ。自由化によってこの地域による垣根がなくなったほか、新規参入した「小売電気事業者」から電気を買うこともできる。


それぞれ営業対象エリアが異なるため、すべての事業者が選択肢となるわけではないが、今後の参入予定も含めて全国で300を超える「小売電気事業者」が競い合うことになる。


その中には自社で発電施設を持つ会社ばかりでなく、他の会社が発電した電力を仕入れて販売する会社もある。その電源構成も会社によって異なり、太陽光や風力、地熱など再生可能エネルギーから得られた電力を販売する会社もある。しかし、それらがすべて混ざった状態で供給されるため、どの「小売電気事業者」と契約をしても実際に送られてくる電気はまったく同じものであり、「契約先によっては停電が起こりやすい」などといった違いもない。


電力の送電線や配電線、電柱もこれまでと同じであり、契約者側で必要とされるのは従来の電力量計をスマートメーターに取り替えることだけである。スマートメーターに備えられた通信機能で「遠隔検針」が可能となるために、エリアを限定せずに電力を販売することができるのだ。そして「小売電気事業者」は契約者が使用したのと同量の電力を、送電網に供給(補充)すればよいのである。ちなみに、スマートメーターへの交換費用は原則として無料だ。


また、契約先の「小売電気事業者」が何らかの事情で電力を供給できなくなったり、万一倒産したりした場合でも既存大手電力会社がバックアップする体制がとられているため、電気が使えなくなるような事態の心配はない。




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