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VOL.22「空き家問題」増え続ける空き家の問題はどこにあるのか 執筆:住宅ライター/大森広司

2014年10月15日

種類別の空き家数の推移。出典:住宅・土地統計調査(総務省)

種類別の空き家数の推移。出典:住宅・土地統計調査(総務省)

空き家の賃貸化促進や
固定資産税の改正などが打ち出されている

増え続ける空き家対策として、国では高齢者などが郊外の一戸建てから駅近くのマンションに住み替えるケースなどを想定し、元の自宅を賃貸住宅として活用するサポート体制の整備に取り組んでいる。平成18年には一般社団法人移住・住み替え支援機構(JTI)が設立され、50歳以上の住宅所有者を対象に自宅を借り上げて賃料収入を保証する「マイホーム借上げ制度」がスタートしている。だが、平成26年9月現在、JTIが借り上げた賃貸住宅で借り手を募集している物件は全国で50余件にとどまっている。

そうした状況を踏まえ、国土交通省では個人住宅の賃貸流通の円滑化に必要な仕組みや契約方法、取引ルールの枠組みなどを検討する目的で、「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」を平成25年9月に立ち上げた。そこで実施された空き家所有者に対するアンケートでは、全体の7割を占める「空き家を特に何もしていない」と回答した人のうち、賃貸化に前向きな回答をした人が約半数いることが分かった。

検討会が平成26年3月に取りまとめた報告書では、空き家の賃貸化を促すための貸主の支援策として、地方公共団体が中心となった「空き家相談窓口」や「空き家バンク」の開設などを提言している。こうした相談窓口や情報提供の取り組みは、同時に借主に対する支援策としても有効との考えだ。また、個人の所有する住宅を賃貸化する際の賃貸借契約の形態として、借主が自費で修繕や模様替えをできる「借主負担DIY型」の普及についても盛り込んでいる。

さらに個人住宅の取引を円滑に行うため、事業者による管理サービスの展開についても、枠組み整備の必要性を指摘した。こうした管理サービスはまだ始まったばかりの段階だが、大手不動産仲介会社が空き家管理サービスを開始するなど、徐々に市場が広がりつつある。

とはいえ、こうした個人住宅の賃貸化は主に所有者自身が住み替えをするに当たり、元の住まいからの賃料収入を新規住宅の取得や住み替え後の生活費として活用するケースを想定した取り組みだ。所有者の死亡などにより発生した空き家の場合、相続人にそもそも賃貸化を検討する動機が生じないケースも少なくない。

このようなケースへの対策として、国や地方自治体では空き家を解体する際の費用を補助したり、空き家を適正に管理するよう助言や指導に取り組むケースも増えている。だが、より強制力を伴う対策としては、やはり固定資産税などの税制措置が有効だろう。例えば空き家を解体して更地とした場合に固定資産税の増額を一定条件下で免除したり、逆に空き家を放置している場合は税負担を重くする措置などが考えられる。

国土交通省では平成27年度の税制改正要望のなかで、「空き家の除去・適正管理を促進するため、土地に係る固定資産税について必要な措置を講ずる」との内容を盛り込んだ。しかし措置の内容までは踏み込んでおらず、具体策については今後の総務省との折衝や国会審議に委ねられた形だ。

日本ではすでに人口減少が始まっており、5年後には世帯数も減少に転じると予測されている。空き家問題は待ったなしの状況となっており、もはや住宅の所有者任せは許されない状況といえるだろう。




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