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VOL.26「建物評価手法の改善」リフォームが一戸建ての建物価格に反映される評価方法へ 執筆:住宅ジャーナリスト/山本久美子

2015年06月17日

戸建住宅価格査定マニュアル(画面イメージ)

(公財)不動産流通推進センター の「戸建住宅価格査定マニュアル」が改訂され、WEB上で使用できるようになる(画面イメージ)

「戸建住宅価格査定マニュアル」を
指針に沿って改訂し、使い勝手も向上させる

(公財)不動産流通推進センターの「既存住宅価格査定マニュアル」には、戸建住宅用、マンション用、住宅地用の3種類がある。このうち今年改訂するのは戸建住宅用で、「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」に沿った見直しを行っている。


改訂の内容を具体的に見ていこう。
まず、建物を基礎・躯体と外部仕上げ(屋根、外壁、外部建具)、内部仕上げ(内部建具、内装)、設備(台所、浴室・洗面・トイレ、給排水・給湯設備、照明器具・電気設備)の合計10に細かく分類した。


そのうえで、建物の基礎・躯体を最上位のものから標準的なものまで5段階に分け、基礎・躯体の耐用年数を長めに設定した。
耐用年数100年:長期優良住宅相当
耐用年数75年:住宅性能表示制度の劣化対策等級3相当
耐用年数50年:住宅性能表示制度の劣化対策等級2相当
耐用年数40年:昭和60年以降に旧住宅金融公庫の融資を受けているもの
耐用年数30年:上記以外
なお、「フラット35」の適合住宅は耐用年数50年に該当する。


基礎・躯体のグレードを入力するフォーム部分(画面イメージ)

基礎・躯体のグレードを入力するフォーム部分(画面イメージ)


また、基礎・躯体については、インスペクションや瑕疵(かし)保険に加入するための検査を受けている場合は、その検査結果報告書で記載された劣化状態の有無が評価に反映され、これらの検査を受けていない場合は、点検や補修など日常的な維持管理の有無が評価に反映される。つまり、一定の検査を受けて劣化状態がないと明確になった建物は、評価が高くなる仕組みとなっている。

次に、外部仕上げ、内部仕上げ、設備については、使用されている部材の質やグレードで再調達価格が算出されるが、外部仕上げや内部仕上げでリフォームが行われていれば、その時期や規模が評価に反映される。また、設備については取り替えが行われていれば、評価に反映される。つまり、補修などが行われているほど、評価が高くなる仕組みとなっている。


価格査定マニュアルを実際に使うのは宅地建物取引業者だが、調査した項目をWEB上で入力することができ、項目の選択肢がプルダウンで表示されたり、表示されるチェックボックスを選んだりして入力しやすいシステムに改訂される。また、仮に建物の詳しい情報が得られない場合でも、必須項目の入力のみで建物価格を算出できるほか、売却希望者への報告資料となる査定書も出力できるようになる。


建物の新しい評価手法が普及するには、宅地建物取引業者が行う価格査定でこのマニュアルが幅広く利用され、実際にリフォームなどが適切に評価された価格で市場の取引が行われる必要がある。それが今後の課題となるだろう。


 住宅性能表示制度については「買うときに知っておきたいこと5-6」 、インスペクションについては「話題の不動産キーワード 」のvol.5、瑕疵保険についてはvol.9をそれぞれ参照ください。



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