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VOL51「VR内見」VR(仮想現実)による物件の内見で物件選びに変化も 執筆:ジャーナリスト/千葉利宏

2019年08月21日

VR内見のイメージ(画像提供:ナーブ(株))

VR内見のイメージ(画像提供:ナーブ(株))

VRの活用が賃貸物件、分譲物件へと普及

VRの利用環境が整ってきたことで、15年頃からクラウドサーバー上にVRコンテンツを登録し、インターネットを通じて誰もが手軽に閲覧できるサービスを提供する企業が出てきた。すでに建物が建っていて室内を写真撮影できる賃貸物件では、パノラマ写真があれば簡単にサービスが利用できる。16年からスタートアップ企業数社が参入したこともあって利用料金が下がり、面倒な写真撮影を代行するサービスも始まって、18年から普及が進んだ。


分譲物件では、建設前に販売を開始するので写真撮影ができず、マンションも全ての住戸のモデルルームをつくれないので、設計データからCGでVRコンテンツを作成する必要がある。こちらも16年9月から3D設計図からVRコンテンツを作成するクラウドサービスの提供を始める企業が出てきた。筆者はVRヘッドセットを装着して同サービスを体験したことがあるが、実際には存在しない建物の内部を歩き回りながら天井の高さや室内の広さなどを実感することができた。


18~19年には、VRコンテンツを提供する企業が室内をウォークスルーできるソフトを提供する企業と業務提携したり、CGでVR内見できるクラウドサービスを開始する企業が増加するなどで、分譲物件でもVRの活用が広がり出している。


VRの導入により物件選びが変わる

VRの導入で、賃貸物件選びでは、事前にインターネットでVRコンテンツを閲覧して物件を絞り込んでから来店する客が増えた。その結果、現地を案内して内見する件数が減り、不動産会社にとっては内見業務の負担が軽減。来店成約率もアップして業務効率の改善が進んだ。消費者にとっても、いくつもの物件に時間をかけて内見するのは大変なので、VRを利用するメリットはあるだろう。


VR内見により内見業務の負担が軽減(画像提供:ナーブ(株))

VR内見により内見業務の負担が軽減(画像提供:ナーブ(株))


分譲物件選びでも、マンションなどではモデルルームで質感を確認したうえで、VRで購入したい住戸を比較したり、間取りを確認したりすることが可能になった。既存(中古)住宅選びでも、VR上でリノベーションプランを事前に検討して疑似体験できれば、消費者にとって選びやすくなる。


5Gサービス開始で不動産業界に更なる変化も

日本では、2020年から5Gサービスの提供が始まる。すでに4K・8Kテレビが発売され、全天球カメラでも4K対応の機種が登場しており、5Gが加わることで高精細映像をリアルタイムに送受信できるようになる。わざわざ現地に行って内見しなくても、VRで十分という消費者が増えることも考えられる。


最近では、スマートロック(スマホ等の機器を使って玄関錠の開閉ができるもの)を使って不動産会社が立ち会わずに消費者が勝手に内見できる仕組みが提供されたり、19年10月から重要事項説明書や契約書を紙ではなく電子データで交付するための実証実験が始まる。


VRなどのテクノロジーを活用することで、不動産会社の営業手法やビジネスモデルが今後、大きく変わっていく可能性がある。



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