トップ話題の不動産キーワード>VOL.50 二地域居住(デュアルライフ):シニアから若年層に広がる二地域居住(デュアルライフ)

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VOL50「二地域居住(デュアルライフ)」シニアから若年層に広がる二地域居住(デュアルライフ) 執筆:住宅ジャーナリスト/山本久美子

2019年06月19日

「2019年トレンド予測 住まい領域」資料よりデュアルライフ(2拠点居住)の6つのタイプ(出典:リクルート住まいカンパニー)

「2019年トレンド予測 住まい領域」資料よりデュアルライフ(2拠点居住)の6つのタイプ(出典:リクルート住まいカンパニー)

シニア層から一般的な若年層まで裾野が広がる

二地域居住といえば、シニア層のような経済的や時間的に余裕がある人がするものという印象を持たれがちだ。実際に、先ほどの内閣府の調査でも、関心がある人に「二地域居住のライフスタイルを実現するのに必要なこと」を聞いたところ、「経済的に余裕があること」85.2%、「時間的に余裕があること」64.1%が上位に挙がった。


ところが、最近は、働き盛りの若年層や普通のサラリーマンなどが、二拠点を行き来するライフスタイルを取る事例が増えている。リクルート住まいカンパニーでは、この事象を「デュアルライフ(dual life)」と名づけ、デュアルライフの実施者をデュアラーと呼んでいる。


同社の「『デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態』調査」によると、デュアルライフ実施者の属性は「20~30代」、「世帯年収800万円未満」が過半数を占め、家族構成では「既婚子あり」が約4割と最多となっている。


デュアルライフ実施者の属性(デュアルライフ実施者(1都3県+2府1県)/単一回答)(出典:リクルート住まいカンパニー「『デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態』調査」)

デュアルライフ実施者の属性(デュアルライフ実施者(1都3県+2府1県)/単一回答)(出典:リクルート住まいカンパニー「『デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態』調査」)

また、2拠点目の平均滞在日数は、90.0日で、「20日以上~90日未満」が実施者全体の7割弱を占める。2拠点目の住まいへの平均移動時間は123.9分で、その移動手段(複数回答)としては 「電車」(68.9%)、「自家用車」(57.2%)が特に高くなっている。


2拠点目の住まいは、持ち家の割合が約61%(一戸建て32.6%、マンション・アパート23.0%、その他5.6%)、賃貸は約35%(マンション・アパート21.3%、その他13.4%)。不在時には2拠点目を、共同で使用したり、友達または地域住民などに貸したり、宿泊施設として運営したりと、なんらかの「運用をしている」人が46.1%もいた。


筆者はデュアルライフ実施者の話を聞いたことがあるが、都市部の駐車場代並みの金額で地方の賃貸住宅を借りて、車は地方に置いて電車で子どもを連れて行き来している人、安値で購入した古民家を仲間とDIYで修理しながら住めるようにして、週末に田舎暮らしを満喫している人など、経済的な負担を抑えながら、同じ地域でストレスなく自然やコミュニティを楽しむ様子が印象的だった。


昨今は「働き方改革」が進んでいる。同じ職場に通わなくても仕事ができる環境が整い、副業を認める企業も増えている。時間やお金に余裕があるわけではない普通の人たちが、多様な二地域の生活を楽しむ事例はますます増えていくだろう。



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