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VOL.32「3世代の同居・近居」3世代の結束力を強くして、世代間の助け合いを 執筆:住宅新報特別編集委員/本多信博

2016年06月15日

家族形態別にみた65歳以上の者の構成割合の年次推移(「平成 25年国民生活基礎調査」厚生労働省)

家族形態別にみた65歳以上の者の構成割合の年次推移(「平成 25年国民生活基礎調査」厚生労働省)

マンションでは
「3世代近居型」が増加傾向に

高齢者住宅との一体開発も

3世代同居が普及し、高齢者が子ども世帯の育児を手伝うことは、新3本の矢を実現するための大前提である「一億総活躍社会」の考え方にも叶うものである。また、必ずしも完全な同居でなくとも、同じマンション内での近居でもよく、現にそのような住まい方を提案したマンション開発が増えつつある。
例えば、新日鉄興和不動産とコスモスイニシアがこのほど武蔵浦和駅前で開発した2棟の分譲マンションは、1棟「武蔵浦和SKY&ガーデン」が一般向け、もう1棟「グランコスモ武蔵浦和」がシニア向けとなっている。
また、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と分譲マンションを併設することで、老夫婦(親)世帯と若夫婦(子)世帯との近居を促すプロジェクトも近年目立ってきた。子育てを支援してもらうことと、近居することで将来の介護負担を軽減するのが狙いである。


新しい付加価値づくりで需要発掘

ウエリスオリーブ津田沼

提供:NTT都市開発

例えば、NTT都市開発は今年3月、千葉県船橋市でサ高住「ウエリスオリーブ津田沼」(74戸=写真)をオープンした。隣接地には昨年10月に入居を開始した分譲マンション「ウエリス津田沼」(58戸)がある。竣工前に全戸完売した。購入者の3割が50歳以上で、買い換え組も3割に達したという。郊外のファミリーマンションとしては、シニア層の比率が高かったのが特徴だ。つまり、将来介護が必要になったら、隣にあるサ高住に転居し、空いた住戸に子世帯が転居してくるという利用が考えられる。
東京建物と日立アーバンインベストメントは今年1月、横浜市戸塚区で分譲マンション「ネクサスシーズン戸塚」(74戸、2015年10月竣工)と一体開発したサ高住「グレイプスシーズン戸塚」(74戸)をオープンした。両建物は道路を挟んだ反対側で、親子の近居が可能だ。
また、東急不動産は東急田園都市線桜新町・用賀両駅から徒歩15分の場所で、分譲マンション「ブランズシティ世田谷中町」(252戸)と、サ高住「グランクレール世田谷中町」(251戸)を一体開発する。
昨年4月に野村不動産ウェルネスを設立し、シニア向けビジネスに参入した野村不動産グループは現在、千葉県船橋市でサ高住第1弾プロジェクト(総戸数126戸)を進めている。開業は来年の予定だが、近接する分譲マンション「プラウド船橋」に居住している世帯からは、高齢の親を呼び寄せたいという相談が多く寄せられているという。


超高齢社会を背景に、こうした「3世代同居型」が増えることは間違いなさそうだ。



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