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VOL.27「地方移住」注目される地方移住の可能性と課題について 執筆:住宅新報特別編集委員/本多信博

2015年08月19日

地方は農作業を手伝ってくれる移住者を求めている(北海道旭川市内)

地方は農作業を手伝ってくれる移住者を求めている(北海道旭川市内)

5割以上の若年世代が
地方移住に関心

30~40代は子育て環境を重視

地方移住に関するここ数年の傾向で特筆すべきは20~40代の若い世代でも関心が高まっていることである。内閣府が昨年10月に発表した世論調査によれば、都市に住む人で「地方に移住してもよい」と考えている人の割合は20代が52%、30代が58%、40代は51%といずれも5割を超えていた。全体でも約4割を占めている。
こうした傾向について、東京駅八重洲口前にある地方移住の相談センター「移住・交流情報ガーデン」の森山忍氏はこう語る。
「30~40代の人たちは地方への転職を希望する人が多い。農園やレストランを経営したいというような起業組よりも、『子どもが生まれたので田舎で育てたい。ついては仕事が見つかるだろうか』といった相談が多い。」
そうした転職希望組の大半がIターンだという。Uターン組は実家などがあるため自力で仕事や住まいを探すことができるようだ。事実、内閣府の世論調査でも、地方へ移住する条件として、「居住コストが安いこと」が2番目に挙がっている(図参照)。就職先については、アベノミクス以降は「有効求人倍率が全ての都道府県で上昇し、地方でも一人当たりの賃金や就業者数が前年比でプラスとなっている」(前出の「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」)ことが追い風となっている。


地方へ移住する条件


石破・地方創生担当大臣が危機感表明

石破茂・地方創生担当大臣は7月15日に開かれた、ふるさとテレビ主催のシンポジウム「動き出した地方創生」で基調講演し、こう述べた。
「地方が消滅する危機に瀕している。これは静かなる有事だ。昔の日本列島改造論やふるさと創生と今回の地方創生とどこが違うか。それは今度失敗したら、この国は終わりだということだ。」
石破大臣の危機感を分かりやすく説明すると、こういうことだ。国家は領土、国民、統治機構で成り立っている。人口減少が続けば国民が減り続けるわけだから、国家としては弱体化していく。合計特殊出生率は東京都が1.15で最も低い。その東京に20~30代の若い女性が流入している。この流れをくい止めるためには、地方創生しかないというわけである。「地方移住」がその最重要政策となっている。



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