トップ不動産基礎知識:貸すときに知っておきたいこと6.賃貸借契約を結ぶ:6-2 契約条件を決め、賃貸借契約を結ぶ

不動産基礎知識:貸すときに知っておきたいこと

6.賃貸借契約を結ぶ6-2 契約条件を決め、賃貸借契約を結ぶ

入居申込者の審査が終了したら、次は契約条件を調整していきます。
最近では、入居申込者から契約条件について要望があることも少なくないので、 不動産会社の意見も聞きつつ、条件の調整を行いましょう。

ポイント1 入居申込者との契約条件の調整

契約の締結に向けて、入居申込者と契約日や賃料発生日、付帯設備などに関する取り決め、保険の取り扱い、駐車場や駐輪場などの利用の有無などを調整します。その他、入居申込者から賃料や敷金、禁止事項に関する要望が入ることもありますので、よく検討し、契約までに明確にしておきましょう。

ポイント2 賃貸借契約書のチェックポイント

契約条件の調整が完了したら、賃貸借契約書を作成します。契約後のトラブルを防ぐためには、契約条件が正確に契約書に反映されているかをしっかりと確認することが大切です。
以下に、賃貸借契約の一般的な項目とそのチェックポイントを紹介します。もちろん、確認すべき事項はこれだけではありませんので、疑問点があれば、仲介を依頼している不動産会社にも確認するようにしましょう。

(1)契約期間と更新の定め

契約が普通借家か定期借家かを確認した上で、契約期間を確認します。契約期間は契約の更新や退去などに関係しますので十分に理解しておきましょう。契約の更新に関しては、更新手続や更新料の取り決めを確認しておきます。
 「普通借家契約と定期借家契約」を参照

(2)賃料や管理費(共益費)の額、受け取り、滞納時のルールなど

まずは賃料や管理費(共益費)の額と受け取り方法、受け取り期日を確認します。多くの場合は、振り込みや自動引き落としで、翌月分を前月末日までに受け取ることになっています。また、滞納時に延滞金を課す場合には、延滞利率についても確認しましょう。
また、賃料の改定についての取り決めがある場合には、その内容も確認します。

(3)敷金など

敷金などを預かる場合には、その金額と返還に関する具体的な手続などを確認します。特に、敷金と退去時の原状回復費用との精算をめぐるトラブルは多いので、原状回復に関する取り決めも含めてしっかりと確認しましょう。

(4)反社会的勢力の排除

不動産取引からの「反社会的勢力の排除」を目的に、反社会的勢力排除のためのモデル条項が導入されるようになりました。契約書の中にこうした条項が記載されているか確認しましょう。相手方がこれらに反する行為をした場合は、契約を解除することができます。

(5)禁止事項

禁止事項の例としてはペットの飼育、楽器演奏、石油ストーブの使用、勝手に他人を同居させること、無断で長期不在にすること、危険物の持ち込みなどがあります。契約条件として決めた禁止事項が記載されているかを確認します。

(6)修繕

入居中の物件の修繕に関する取り決めです。一般的には、通常の物件の使用に必要な修繕は貸主が行うこととなっていますが、借主の故意や過失によって必要となった修繕は、借主がその費用を負担することとなります。また、修繕が必要な箇所を借主が発見し、貸主にそのことを通知したにもかかわらず、貸主が必要な修繕を実施しないとき、借主に責任のない修繕で借主が自ら修繕を行った場合は、貸主がその費用を負担することになりますので、注意しましょう。

(7)契約の解除

貸主からの契約解除の要件などが取り決められています。例えば、賃料などを滞納した場合や、借主が禁止事項に違反している場合などが挙げられます。借主に契約違反があった場合に、契約の解除を検討することもありますので確認しておきましょう。

(8)借主からの解約

借主からの解約について、解約通知の期日や具体的な手続を確認します。

(9)一部使用できない場合の取り決め

入居中の物件で一部が使用できなくなった場合の取り決めです。借主の責任ではなく使用できない場合は、借主は貸主に対してその部分の割合に応じて賃料の減額について交渉できます。使用できる部分だけでは生活できないような場合は、借主から契約の解除が可能です。

(10)原状回復の範囲と内容

賃貸借の契約で最もトラブルになりやすいのが原状回復にかかわる取り決めです。トラブル回避のためには、原状回復に関する取り決めをできるだけ明確にしておくことが大切です。国土交通省が公表している「賃貸住宅標準契約書」では、原状回復に関する取り決めが具体的に明記されており、別表として詳しい項目を提示しています。
退去時の修繕等の義務については、「借主の通常の居住、使用による物件の破損、損耗」は貸主の負担で、「借主の故意や過失などによる物件の破損、損耗」が借主の負担とされます。もし、本来は貸主負担とするべきものを、借主負担とする特約を付す場合は、借主への説明と意思確認を慎重に行う必要がありますので注意しましょう。
 「6-3原状回復の取り決めについて」を参照

(11)特約事項

その他の契約条件がある場合は特約事項として取り決めます。貸主側で個別の要望がある場合は、後になって「そんな約束はしていない」と言われないよう、契約書に記載してもらうことが望ましいでしょう。ただし、借主に不当に不利益な特約は、トラブルの原因となりますので注意しましょう。

国土交通省が公表している賃貸住宅標準契約書

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ポイント3 賃貸借契約の手続き

一般的に賃貸借契約の締結は、不動産会社の事務所などで行われます。契約には、貸主や借主、仲介した不動産会社などが立ち会います。(必要があれば連帯保証人も立ち会います。)なお、契約に立ち会えない場合には、不動産会社に依頼することになります。

契約時には、契約書の内容を読み上げて最終的な確認をし、内容に問題がなければ契約書に署名、捺印を行います。
貸主はこの後、借主から敷金や礼金、前家賃などを受け取り、敷金などに対しては預り証、礼金や前家賃に対しては領収書を発行します。その後、鍵を渡して契約は終了です。(鍵の預り証を受け取ることもあります。)なお、不動産会社に仲介を依頼している場合は、仲介手数料を支払います。(不動産会社からは領収書を受け取ります。)

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