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不動産基礎知識:貸すときに知っておきたいこと

6.賃貸借契約を結ぶ6-1入居者の決定と契約準備

募集活動の結果、入居希望者から申し込みを受けたら、入居者を決定して契約準備を行います。

ポイント1 入居申し込みを受ける

まず、入居希望者から申し込みを受けます。申し込みは、書面で受けることが多くなっています。一般的には、入居希望者や連帯保証人の住所、氏名、連絡先、勤務先、年収などを申込書に記入してもらいます。
なお、この段階では、入居希望者から申し込みを撤回されることもあることに留意が必要です。

ポイント2 入居審査をする

次に、入居申込者の審査を行います。賃料の支払い能力があるか、賃料を滞納するような人柄ではないかなどを、慎重に判断します。もちろんすべてを審査できるわけではありませんが、仲介を依頼している場合には、不動産会社のアドバイスを受けるなどして、次の着眼点で慎重に審査をしましょう。

 ・ 申込書の内容(勤務先や年収等により賃料の支払い能力などを判断)
 ・ 入居申込者の応対(申し込みに至るまでの応対によって判断)
 ・ 連帯保証人の応対(入居申込者の同意を得て、連帯保証の意思確認などを行って判断)

なお、審査の結果については、入居申込者に速やかに通知しましょう。また、入居審査のために得た個人情報については、プライバシーにかかわる内容が含まれていることも多いので、取り扱いには注意が必要です。審査の結果、契約を断るような場合には受領した書類は返却した方がよいでしょう。

ポイント3 物件情報を開示する

契約を結ぶ前に、入居予定者に、物件に関する情報をしっかりと開示することが大切です。例えば、設備等に不具合はないか、近隣でのトラブルはないか、その他住むに当たって気になることはないかなど、借主の立場で情報を開示しましょう。伝えるべき情報を開示しなかった場合には、入居後にトラブルが発生し、貸主の責任を問われることもありますので注意しましょう。
なお、入居者募集を不動産会社に依頼している場合には、不動産会社が物件情報などの重要事項の説明を入居予定者に行うことが法律で義務づけられていますので、これらの情報を正確に不動産会社に伝えるようにしましょう。

●宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインについて
宅地建物取引業者が人の死について認識し、不動産取引の契約の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合、そのことを告知する必要があります。ただし、人の死についての考え方は人それぞれで、契約の判断に及ぼす度合いも異なります。そこで、国土交通省は2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を取りまとめました。

ガイドラインでは、宅地建物取引業者が「人の死についてどこまで調査すべきか」、「どこまで告知すべきか」についての指針を示しています。宅地建物取引業者は、貸主に人の死についても「告知書」に記載するように求める形で調査を行います。貸主が故意に告げなかった場合などには、民事上の責任を問われる可能性がありますので、隠さずに伝えるようにしましょう。

賃貸取引における告知については、次のような場合は告知しなくてよいとしています。

  1. 対象物件で発生した、自然死・日常生活の中での不慮の死(老衰、持病による病死などの自然死や転倒事故、誤嚥(ごえん)などの事故死)の場合
    ※ただし、長期間にわたって人知れず放置されたことで、消臭・消毒などの特殊清掃や大掛かりなリフォームが行われた場合は告知が必要
  2. 対象物件や日常生活で通常使用する集合住宅の共用部分で発生した、1以外の死または特殊清掃等が行われた1の死が発覚して3年間経過した場合
  3. 対象物件の近隣住戸や通常使わない共用部分で発生した場合
    ただし、人の死による事件性や社会的影響が大きい場合、契約の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合などは、告知をする必要があるとしています。

ただし、人の死による事件性や社会的影響が大きい場合、契約の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合などは、告知をする必要があるとしています。

 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインについての詳細は、「国土交通省・最新の動きvol.156」を参照

ポイント4 物件の状況を確認する

貸主は、借主が物件を使用できる状態で、物件を引き渡す必要があります。入居後に判明した設備の不具合などは、貸主と借主の責任が不明確となり、トラブルの原因となることがありますので、入居前に物件の状況をしっかりと確認しておくとよいでしょう。不具合があった場合には修理をした上で、物件を引き渡すようにしましょう。

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