トップ不動産基礎知識:貸すときに知っておきたいこと>3.収支を検討する:3-1 賃貸による収支を検討する

不動産基礎知識:貸すときに知っておきたいこと

3.収支を検討する3-1賃貸による収支を検討する

住まいを貸すと入ってくるお金もありますが、出ていくお金もあります。ローンが残っている場合はその返済も考慮しなければいけません。
ここでは、住まいを貸した場合の収支の基本的な考え方について解説します。

ポイント1 入ってくるお金を確認する

住まいを貸すと以下のような収入があります。

継続的に入ってくるお金

●賃料
借主から毎月入ってくる賃料です。
ただし、常に借主がいるとは限りません。空室の可能性も考慮して、少なめに見積もっておくほうが安全です。

●管理費(共益費)
借主が負担する物件の管理費(共益費)がある場合には、毎月入ってきます。
管理費(共益費)を賃料に含んでいることも多いようですが、分けて受け取ることもあります。管理費(共益費)の取り扱いは、物件や地域の取引慣習などによっても変わります。

一時的に入ってくるお金

●礼金
新規契約の際、貸主に対する謝意として、借主が払うものです。
一般的に賃料の1ヶ月分か2ヶ月分の場合が多いですが、礼金を授受しないこともあります。

●更新料
賃貸借契約の更新に際して、契約内容に応じて借主が貸主に支払います。
一般的に更新後の新賃料の1ヶ月分という例が多いようですが、更新料を設定しないこともあります。

礼金や更新料の取り扱いは、地域の取引慣習のほか、周辺の市場動向によっても変わる可能性があります。(例えば、市況が悪化している場合は礼金や更新料の設定が下がる可能性があります)

借主から預かるお金

●敷金など
新規契約の際、賃料や物件の補修費用等の支払いを担保する目的で、貸主が借主から預かるものです。一般的に賃料の1ヶ月分、2ヶ月分の場合が多いですが、借主が退去する際に、賃料の滞納や借主に原因のある損傷や破損などがある場合などには、敷金などをその支払いに充てることができます。
ただし基本的には、退去時に借主に返還するものですので、収入とは分けて考える必要があります。なお、敷金などの返還に当たっては、利子をつける必要はありません。

ポイント2 出ていくお金を確認する

住まいを貸すと以下のような支出が発生します。

継続的に出ていくお金
賃貸すると追加で出ていくお金
●管理委託費
不動産会社に「入居者管理」や「建物管理」を委託する場合に必要となるお金です。
「入居者管理」とは、賃料の集金や入居者からの苦情対応などで、「建物管理」とは、物件の清掃やメンテナンスなどを行うことをいいます。委託する業務の内容や委託戸数、不動産会社によっても金額が違ってきますので、個別に不動産会社に確認する必要があります。ただし、自ら管理を行う場合は必要ありません。

●住み替え先での住居費
自宅を賃貸した場合は、住み替え先での住居費が追加支出となります。
具体的には、住み替え先の賃料または、新たに住まいを購入した場合の支出などが必要となります。
所有していると必ず出ていくお金
●固定資産税・都市計画税
物件の所有者が納めなければならない税金です。

●管理費・修繕積立金(分譲マンションの場合)
分譲マンションの場合は、管理規約等に基づいて支払う必要があります。

●購入時のローン(物件購入時にローンを利用している場合)
完済するまでは、毎月返済する必要があります。
なお、住宅ローンは原則として、自分が住む住宅を購入するために利用するものなので、転勤等の一時的な事情によるものでなければ、ローンの一括返済を求められたり、賃貸用のローンへの借り換えを求められたりする場合があります。
一時的に出ていくお金
賃貸すると追加で出ていくお金
●一時的なメンテナンスや修繕費用
室内の設備の故障などのメンテナンス費用や入居者の退去時の補修費用やクリーニング費用などが追加支出となります。

●仲介手数料
入居者募集を不動産会社に依頼する場合、原則として借主との契約時に、月額賃料の0.5ヶ月分+消費税の範囲内で仲介手数料が必要となります。ただ、借主も不動産会社に依頼し、1ヶ月分の仲介手数料を支払うことを承諾しているときは、1ヶ月分+消費税を借主から受けることができ、その場合、貸主の仲介手数料は不要です。なぜなら、双方からの合計が1ヶ月分+消費税を超えられないという宅地建物取引業法上の規制があるからです。
 「仲介手数料について」を参照

●その他諸経費
損害保険料、交通費や通信費など、その他にも費用が必要となる場合があります。
所有していると必ず出ていくお金
賃貸する、しないにかかわらず、建物や設備等の修繕等の費用は、一時的な支出として計画的に用意しておく必要があります。この費用は、建物の種類や規模、築年数、設備の使用年数などによって変わります。
ポイント3 収支を把握する

住まいを賃貸するに当たっては、収支を把握しておくことが大切です。継続的な収入と支出に基づいて、まずは毎月の家計に与える影響などを確認しましょう。また、一時的な収入や支出を含めて全体的な収支のイメージを持っておくと、貯蓄などの計画も立てやすくなります。

全体的な収支のイメージ
「利回り」とは?

不動産に投資する際、投資の判断基準となるのが利回りです。具体的には、投資額(物件の購入価格など)に対して、どれだけの利益(賃料収入など)が得られるかを示したもので、利回りが高いほど収益性が高いということになります。
ここでは、一般的に「表面利回り」と「実質利回り」といわれる2種類の利回りの算出方法を紹介しますが、この他にも利益や投資額の考え方によって、利回りには様々な算出方法があります。

利回りの算出方法

表面利回りと実質利回り
  利益の考え方 特 徴 利 用
表面利回り 収入の額(粗利益)
※支出は考慮されない
容易に算出可能であるが、おおむねの収益性しか把握できない 投資検討の初期段階
広告などに表示される
実質利回り 収入から支出を控除した額(純利益) 支出の把握が必要であるが、より正確に収益性を把握できる 具体的な検討段階
個別に開示される

【利回りの計算例】
※購入価格:2,000万円 年間賃料:120万円 年間経費:20万円の場合で試算
  表面利回り 年間賃料120万円÷購入価格2,000万円×100=6%
  実質利回り (年間賃料120万円-年間経費20万円)÷購入価格2,000万円×100=5%

ページトップ