トップ不動産基礎知識:貸すときに知っておきたいこと4.仲介・管理を依頼する会社を選ぶ:4-5 サブリースを依頼する
空室が続いて、賃料が入ってこなくなる不安を解消する方法として、サブリースがあります。
ここではサブリースを依頼するに当たっての注意点を確認しましょう。
サブリースとは、特定転貸借事業者(以下、不動産ジャパンでは「サブリース業者」といいます。)が貸主から賃借した建物を、実際の入居者に転貸し、一定の建物管理を行うという業務です。
「賃貸住宅管理業務適正化法」により、サブリース業者と貸主(オーナー)とのトラブルを防止するため、貸主とサブリース業者との特定賃貸借契約(以下、不動産ジャパンでは(マスターリース契約)といいます。)に関し、誇大広告や不当勧誘の禁止、契約前の重要事項説明と書面の交付、契約を締結したときの書面の交付義務などの規制が行われていますが、貸主は、サブリース業者と賃貸借契約を結びます。
*サブリース業者とは、マスターリース契約に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む者をいい、サブリースをサブリース業者に依頼する場合は、実質的には、入居者の募集(仲介)と管理を一体で任せることとなります。
一般的なサブリースの特徴として、主に次の2つが挙げられます。
サブリースは、空室リスクを不動産会社に移転するため、賃料収入が安定し、収支計画を立てやすくなります。
住まいを賃貸するには、専門的な知識に基づく経営判断が求められますが、サブリースではサブリース業者が借主となりますので、実際の入居者との交渉などの手間も省けます。もちろん、入居者との個別のトラブルなども回避できます。また、借主が1社なので確定申告の手続も簡素化されます。
一般的なサブリースの注意点としては、主に以下の3点が挙げられます。
サブリース業者は、実際の入居者募集や管理にかかるコスト、空室リスクなどを見込んで貸主に支払う賃料を設定します。したがって、貸主が受け取る賃料は、直接自分で賃貸する場合と比較して減ることが一般的です。
サブリース業者との契約期間中に、契約賃料の減額や中途解約を求められる可能性もあります。たとえ、貸主とサブリース業者とのマスターリース契約に、賃料は減額できないとの特約があった場合でも、賃料の減額や中途解約を請求される可能性は否定できません。また、サブリース業者の倒産リスクなども考えられます。
ただし、定期建物賃貸借(定期借家)の場合には、賃料は減額できないとの特約があればその取り決めに従うことになりますので、賃料減額などのリスクを避けたい場合には、マスターリース契約を定期建物賃貸借にすることも検討してみるとよいでしょう。
サブリース業者が適切に業務を処理していなかった場合には、サブリース契約の終了後にコストやトラブルが発生する可能性があります。例えば、建物が適切に維持管理されていなかった場合には、修繕などの特別な出費が必要となることもあります。また、サブリース業者が入居者とのトラブルを抱えていた場合には、トラブルへの対応が必要となることもあります。
サブリース業者とマスターリース契約で設定する賃料について、可能であれば複数のサブリース業者の金額を比較することが有効です。ただし、建物管理業務の内容などの条件が違う場合には、賃料金額だけで単純に比較することはできませんので注意しましょう。
サブリースをサブリース業者に依頼する場合は、まずは、契約内容を正しく理解したうえで、適切なリスク判断のもと、マスターリース契約を締結することが必要です。
「賃貸住宅管理業適正化法」では、サブリース業者に対して、契約の締結前に、マスターリース契約を結ぼうとしている者への重要事項(家賃の額、支払期日、家賃改定条件、契約解除条件など様々な事項)を記載した書面を交付し、説明することを義務付けています。
契約を締結する前に、マスターリース契約の契約内容をよく検討し、理解をしたうえで契約にのぞむようにしましょう。
なお、転貸の条件、維持管理の内容、サブリース期間中における貸主への報告なども契約前に確認しましょう。国土交通省が、「サブリース住宅標準契約書」とその記載要領などを公表して、全般的な注意点をまとめていますので参照するとよいでしょう。