トップ不動産基礎知識:既存住宅購入のポイント3.住まいの税金4.省エネリフォームに対する減税制度
所定の省エネ仕様にするための増改築・改修をした場合に受けられる減税制度は、A.住宅借入金等特別控除、C.既存住宅を特定改修した場合の税額控除、D.固定資産税の減額措置です。
減税制度を受けられる省エネ改修工事の内容は、おおむね「窓の改修工事やこの工事と併せて行う床・天井・壁の断熱工事」などですが、それぞれの制度によって改修工事の内容が異なりますので、必ず確認をしてください。
返済期間が10年以上の住宅ローンを利用して自分の住んでいるマイホームについて所定の省エネ基準を満たす仕様にするためのリフォームをすると、A.住宅借入金等特別控除が利用できます。
なお、省エネ改修工事に際して、国や地方公共団体から補助金や給付金などの交付を受けている場合には、対象となる工事費用から補助金等を控除した金額で、適用要件を満たしているかどうかを判定します。
主な適用要件は「買う3-1住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」及び「リフォーム1-2増改築等の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」を参照してください。控除額の計算対象となる年末借入金残高や控除率、適用要件の緩和も同一です。
また対象となるリフォームは、工事費用が100万円超で、かつその2分の1以上が居住用部分に関するものであり、所定の省エネ基準に適合させるための修繕・模様替えです。
修繕・模様替え工事で要求される内容は、次のような工事です。
工事の内容は、居住者が所有している住宅に対するエネルギーの使用の合理化に資する所定の改修工事で、この工事と併せて行う住宅と一体となって効用を果たす所定の設備の取り替えまたは取り付けにかかわる工事も含むとなっています。
具体的な工事内容はおおむね以下の通りです。
※改修後の住宅全体の断熱等性能等級が改修前よりも一段階以上向上することを証明する書類がある場合には、断熱等性能等級4または断熱等性能等級3及び一次エネルギー消費量等級4を満たさない工事でも、一部の居室の窓の改修工事のみで適用対象となりました。
ただし、1.~4.の改修部位の省エネ性能がいずれも平成28年省エネ基準以上となること、改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から所定以上の性能向上する工事であることが求められます。
また、地域ごとに要求される具体的な工事の内容などについては、平成20年国土交通省告示第513号を参照してください。 なお、省エネ改修工事を行った住宅について「都市の低炭素化の促進に関する法律」の低炭素建築物の認定を受けた場合には、すべての居室のすべての窓の断熱改修工事を行った上で認定を受けたことをもって省エネ住宅改修工事に該当することとします。
適用を受ける場合には、確定申告をする必要があります。
C.既存住宅を特定改修した場合の税額控除とは、2014年4月1日から2025年12月31日までの間に、自分の住んでいるマイホームについて所定の省エネ基準を満たす特定改修工事(※)をすると、工事完了の年の所得税から標準的な工事費用の10%相当額等を税額控除する制度です。
なお、省エネ改修工事に際して、国や地方公共団体から補助金等の交付を受けている場合には、標準的な工事費用の額から、補助金等を控除した金額で計算します。
控除限度額は次のようになります。
必須工事(省エネリフォーム)
居住年 | 省エネリフォーム 改修工事限度額 |
省エネリフォーム 控除率 |
控除限度額 |
---|---|---|---|
2014年4月1日から 2025年12月31日まで |
250万円 (350万円) |
10% | 25万円 (35万円) |
※ 省エネ改修工事と併せて所定の要件を満たす太陽光発電設備を設置する場合には、限度額が( )内のように上乗せされます。
なお、個人が自身の所有する住宅の省エネリフォームと併せて一定の増改築等工事を行った場合で、2022年1月1日から2025年12月31日までに省エネリフォーム工事を完了し居住する(工事から6ヶ月以内に居住する場合に限る)場合は、次のような控除が併せて適用されます。
対象となる工事 | 対象工事限度額 | 控除率 | 最大控除額※1 |
---|---|---|---|
必須工事の対象工事限度額超過分 およびその他のリフォーム |
必須工事全体の標準的な 費用相当額と同額まで※2 |
5% | 62.5万円 (67.5万円) |
適用できる人の主な要件は、国内に居所のある個人で合計所得金額が2,000万円以下の人です。
適用できる住宅の主な要件は、改修工事後の床面積が50㎡以上の自宅です。
改修工事の主な要件は、標準的な工事費用の額が50万円超※で、かつその2分の1以上が居住用部分に関するものであり、次に挙げるような工事が対象となります。
工事の内容は、居住者が所有している住宅につき行うエネルギーの使用の合理化に資する改修工事で、政令で定めるものとされています。さらに、上記の工事と併せて行う当該住宅と一体となって効用を果たす政令で定める設備の取り替えまたは取り付けに係る工事も含められることになっています。
具体的な工事内容はおおむね以下の通りです。
2017年4月1日以降に省エネ改修をして居住する場合について、その年の前年以前3年内に省エネ改修工事を行い、省エネリフォームに対する減税制度の適用を受けている場合では適用されません。
1.~4.の改修部位の省エネ性能がいずれも平成28年省エネ基準以上となること、5.の設備については一定の性能のものに限ることが求められます。 また、省エネ改修工事を行った住宅について「都市の低炭素化の促進に関する法律」の低炭素建築物の認定を受けた場合には、すべての居室のすべての窓の断熱改修工事を行った上で認定を受けたことをもって省エネ住宅改修工事に該当することとします。
2024年1月1日以後に居住する場合について、5.の省エネ設備の取替え又は取付け工事のうちエアコンディショナーに係る基準が変更され、省エネルギー基準達成率107%以上(変更前:114%)となりました。
なお、この税額控除制度は、「4-1住宅借入金等特別控除」との重複適用はできず、選択適用となります。
また、2022年1月1日から2023年12月31日までに行われた省エネ改修に関して、国土交通省は、「増改築等工事証明書」についての通達(令和4年5月20日付け国住政第19号・国住生第75号・国住指第127号)を改正し、省エネ改修において2.~4.の一部を改修した場合も控除対象となる旨を明確化しました(2023年11月1日)。この結果、当該期間に2.~4.の一部改修を含む省エネ改修を実施し、当該省エネ改修について税額控除を受けるため所得税の確定申告を既に済ませていた場合、更正の請求を行うことで所得税が還付される可能性があります。この「更正の請求」を行う場合、2.~4.の一部改修分を含む増改築等工事証明書の再発行を受け、更正の請求書に添付する必要があります。詳しくは以下のアドレスをご覧ください。
●国土交通省 省エネ改修に関する特例措置
※窓の断熱改修と併せて天井等・壁・床等のいずれかの部位の一部について断熱改修を行い、窓の断熱改修費用相当額分についてのみ特別控除を受けられた方について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001756025.pdf
適用を受ける場合には、確定申告をする必要があります。
D.固定資産税の減額措置にも、省エネ支援税制があります。2014年4月1日時点ですでに建っている住宅が対象です。ただし賃貸住宅部分には適用できません。2026年3月31日までに所定の省エネ基準に適合させるための工事を行い、その費用が60万円を超える場合、改修工事の翌年度の床面積120㎡相当までの固定資産税を3分の1減額するという制度です。
対象となる住宅は、2014年4月1日以前に建築された住宅(賃貸住宅部分を除く)です。なお、改修後の床面積については50㎡以上280㎡以下となります。また、省エネ改修工事の費用は、国や地方公共団体から補助金や給付金などの交付を受けている場合には、これらの額を差し引いた金額になります。
対象となる工事は60万円(断熱改修に係る工事費が60万円超、または断熱改修に係る工事費が50万円超であって、太陽光発電設備、高効率空調機、高効率給湯器、太陽熱利用システムの設置に係る工事費と合わせて 60万円超)を超える所定の省エネ基準を満たすためのリフォームです。
(注)2022年3月31日までに完了した工事については、最低工事金額と対象工事が異なります。
具体的な工事内容はおおむね以下の通りです。
ただし、1.~4.の改修部位の省エネ性能がいずれも平成28年省エネ基準以上となることが求められます。
省エネ基準を満たすための増改築・改修工事を支援する「4-1住宅借入金等特別控除」、「4-2既存住宅を特定改修した場合の税額控除」のそれぞれの要件を満たせば、この固定資産税の減額制度も併用することができます。
改修工事の完了後3ヶ月以内に住宅のある市町村等に申告する必要があります。