トップ不動産基礎知識:既存住宅購入のポイント3.住まいの税金3.住宅ローン控除など(住まいを買った後の税金の手続き)

不動産基礎知識:既存住宅購入のポイント

3.住まいの税金

3.住宅ローン控除など(住まいを買った後の税金の手続き) 3.住宅ローン控除など(住まいを買った後の税金の手続き)

住宅ローンを利用して、住宅の購入や新築などをした場合で一定の要件を満たすときは、所得税や住民税について、住宅ローン控除の適用を受けることができます。また、住宅ローンを利用しない場合でも、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅等については、所得税の特別控除を受けることができます。ここでは、こうした控除について紹介しています。

3-1.住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅ローン等を利用して住宅の購入や新築または増改築等をした場合で、一定の要件に当てはまるときは、住宅ローン借入金等の年末残高の合計額を基として計算した金額を所得税額から控除することができます。

住宅ローン控除
適用要件

主な要件は次の通りです。

  1. 取得後6ヶ月以内に居住し、控除を受ける年の年末に引き続き住んでいること
  2. 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
  3. 登記事項証明書の家屋の専有面積が50㎡以上で床面積の2分の1以上が自己居住用であること
    (増改築の場合は増改築後の面積が原則50㎡以上であること)
    2023年末までに建築確認を受けた住宅の新築又は建築後使用されたことのないもの[2024年中に建築確認を受ける場合は、認定住宅等(認定住宅※1、ZEH水準省エネ住宅※2、省エネ基準適合住宅※3)に限る。]の取得等をする場合、合計所得金額が1,000万円以下である年分については40㎡以上50㎡未満の床面積の家屋でも適用できる。
  4. 10年以上にわたって分割返済する借入金があること
    (親族などからの個人的な借入や0.2%に満たない利率による勤務先からの借入金は除く)
  5. 居住した年及びその前2年間及びその後3年間(通算6年間)居住用財産の3,000万円の特別控除等の特例(売る「2-1 居住用財産の3,000万円特別控除」)を受けていないこと
  6. 既存(中古)住宅の場合、次のいずれにも該当する住宅であること
    (1)建築後使用されたものであること
    (2)次のいずれかに該当する住宅であること
    (ア)取得する建物の登記簿上の建築日付が1982(昭和57)年1月1日以降のもの
    (イ)新耐震基準に適合する建物であることにつき、一定の証明がなされたもの(取得の日前2年以内の耐震基準適合証明書等)
    (ウ)耐震基準に適合しない既存(中古)住宅(要耐震改修住宅)を取得した場合で、その住宅を取得する日までに耐震改修の申請をして、居住の日までに耐震改修工事を完了して耐震基準に適合することが証明されること等の一定の要件を満たす建物であること(なお、この耐震改修につき「既存住宅を耐震改修した場合の税額控除」(リフォームする(増改築・改修)2-2参照)を適用する場合には、住宅ローン控除は適用できない。)
    (3)親族や事実婚の相手など生計を一にする人などから取得した住宅・贈与による住宅でないこと
 
控除の内容

2024年1月1日以降、控除対象となる借入金の上限は、住宅の種類により、次のようになります。

新築または買取再販住宅の場合

なお、買取再販住宅とは、宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住用家屋のことです。

認定住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅)※1の場合

居住年 控除期間 ローン限度額 控除率 最高控除額
2024年1月~2025年12月 13年間 4,500万円 0.7% 409.5万円

ZEH水準省エネ住宅※2の場合

居住年 控除期間 ローン限度額 控除率 最高控除額
2024年1月~2025年12月 13年間 3,500万円 0.7% 318.5万円

省エネ基準適合住宅※3の場合

居住年 控除期間 ローン限度額 控除率 最高控除額
2024年1月~2025年12月 13年間 3,000万円 0.7% 273万円

その他の住宅の場合

居住年 控除期間 ローン限度額 控除率 最高控除額
2024年1月~2025年12月 10年間 2,000万円 0.7% 140万円
2023年までに新築の建築確認を受けた住宅の取得である場合等に限られます。なお、2024年1月以降に居住する場合で2024年1月以降に新築の建築確認を受けた住宅では、原則、住宅ローン控除の適用は受けられなくなります。

 

子育て特例適用個人に対する支援措置

令和6年度税制改正において、2024年に新築住宅等に入居する子育て特例対象個人に対する措置が講じられ、控除額等が次の表のとおりとされました。
子育て特例対象個人とは、個人で、年齢40歳未満であって配偶者を有する者、または年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者です。年齢の判定時点は2024年12月31日です。

表は横にスクロールできます。
住宅の種類 居住年 控除期間 ローン限度額 控除率 最高控除額
認定住宅※1 2024年1月~2024年12月 13年間 5,000万円 0.7% 455万円
ZEH水準省エネ住宅
※2
同上 同上 4,500万円 同上 409.5万円
省エネ基準適合住宅
※3
同上 同上 4,000万円 同上 364万円

 

既存(中古)住宅の場合

認定住宅※1・ZEH水準省エネ住宅※2・省エネ基準適合住宅※3の場合

居住年 控除期間 ローン限度額 控除率 最高控除額
2022年1月~2025年12月 10年間 3,000万円 0.7% 210万円

その他の住宅の場合

居住年 控除期間 ローン限度額 控除率 最高控除額
2022年1月~2025年12月 10年間 2,000万円 0.7% 140万円
※1
「認定長期優良住宅」とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の規定に基づく認定を受けた住宅をいいます。また、「認定低炭素住宅」とは、「都市の低炭素化の促進に関する法律」の規定に基づく認定を受けた住宅をいい、認定集約都市開発事業により整備される特定建築物である住宅を含みます。
※2
「ZEH水準省エネ住宅」とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級5(結露の発生を防止する対策に関する基準を除く)かつ一次エネルギー消費量等級6の性能を有する住宅が該当します。
※3
「省エネ基準適合住宅」とは、現行の省エネ基準を満たす住宅で、日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級4以上(結露の発生を防止する対策に関する基準を除く)かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅が該当します。

 

なお、2013年分から2037年分までの所得税について、住宅ローン控除による税額控除等、所定の計算をした後にその年分の所得税額(外国税額控除の適用を除く)が算出される場合には、算出された所得税額を基に2.1%の復興特別所得税がかかります。

(注)ここでいう床面積は、登記記録(登記簿)で表示される面積です。一戸建ては壁などの中心線で囲まれた部分の面積(壁芯面積)になりますが、マンションは専有部分の壁などの内側部分の面積(内法面積)となります。新築マンションの不動産広告などに記載される専有面積は、壁芯面積で表示されるので、登記簿上の面積は専有面積より狭くなる点に注意してください。
控除の申告

住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要です。適用を受ける1年目に確定申告をしたサラリーマンは、2年目からは税務署から送られてくる書面に記入し、金融機関の残高証明書とともに勤務先に提出すれば年末調整で控除できます。
ただし、住民税からの控除を受ける場合には、所得税の確定申告を済ませていれば原則として市町村等への申告が不要となりますが、別途改めて申告することもできます。

また、住み替えで新たに購入した住宅について住宅ローン控除の適用を受けた後、旧住宅を譲渡する場合などのように、住宅ローン控除の対象となった住宅ではない物件を住宅ローン控除の適用の3年後の年末までに譲渡した場合、「売る2-1居住用財産の3,000万円特別控除」や「売る2-3特定居住用財産の買換え等の特例」などと、住宅ローン控除の併用はできません。
このためどちらかを選択することになりますので、注意が必要です。

住民税からの控除

所得税額から控除しきれなかった金額があるときには、翌年の住民税から一定金額を限度として控除することができます。控除は次のようになります。

居住年 控除限度額
2022年1月~
2025年12月
所得税の課税所得金額等×5%(最高 9万7,500円)

※ 前年の所得税の課税総所得金額、課税退職所得金額、課税山林所得金額の合計額をいいます。

住宅ローン控除の適用要件の緩和

住宅ローン控除の適用を受けるには、新築、購入、増改築等をした日から6ヶ月以内に居住し、その年の年末まで引き続き居住することが必要とされています。しかし、転勤等のやむを得ない事情による場合は、一定の条件を満たせば適用を受けることができます。

  • 所有者の単身赴任など(海外赴任で非居住者となる場合を除く。ただし2016年4月1日以降、住宅を取得等する一定の非居住者にも適用が可能になる)で家族が居住している場合などは、適用が可能
  • 住宅ローン控除の適用を受けていたものの転勤等やむを得ない事由で居住できなくなり(2003年4月1日以降)、再び居住を開始した場合、残存控除期間で再適用が可能
  • 6ヶ月以内に居住したものの転勤等やむを得ない事由でその年の年末に居住できなかった場合(2009年1月1日以降)、その後に再居住すれば、残存控除期間で適用が可能
  • 最初に居住の用に供した年に転勤等やむを得ない事情でいったん居住できなくなり(2013年1月1日以降)、その年の12月31日までに再居住した場合も特例の対象とする

3-2.認定住宅等を新築等した場合の所得税の特別控除

長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定を受けた長期優良住宅、都市の低炭素化の促進に関する法律に基づく低炭素住宅(両方を合わせて認定住宅といいます)またはZEH水準省エネ住宅の新築等を行い、居住した場合に、所得税額から一定の税額控除ができる制度です。

適用要件

主な適用要件は以下の通りです。

  1. 認定住宅またはZEH水準省エネ住宅を新築、または建築後使用されたことのない認定住宅等を取得
  2. 認定住宅が所得税の特別控除の対象となった日(認定長期優良住宅は2009年6月4日、認定低炭素住宅は2014年4月1日)から2025年12月31日までに居住、ZEH水準省エネ住宅は2022年1月1日から2025年12月31日までに居住
  3. 個人の所得要件は、合計所得金額2,000万円以下
控除の内容

通常の住宅に比べて性能を強化するためにかかった費用に相当する額(性能強化費用相当額)の10%を、その年の所得税から控除します。なお、1年で控除額を所得税から控除できなかった場合には、控除しきれなかった残額を翌年の所得税から控除できます。
住宅ローン控除とは選択制となっていますが、居住用財産の買換え等の特例との重複適用は可能となっています。

控除対象限度額は次のようになります。

居住年 控除対象限度額 控除率 控除限度額
2022年1月~
2025年12月
650万円 10% 65万円
2024年分の所得税・2024年度分の住民税における定額減税について

2024年分の所得税・2024年度分の個人住民税について、納税者及び配偶者を含めた扶養親族1人につき、所得税3万円・個人住民税1万円を控除されます。ただし、納税者の合計所得金額が1,805万円以下である場合に限られます。 給与に係る源泉徴収は以下をご覧ください。
財務省「令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について」

ページトップ