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不動産基礎知識:売るときに知っておきたいこと

5.条件交渉と契約の準備5-2 物件情報を提供する

契約条件の調整が済んだら、いよいよ売買契約に向けての準備に入ります。
不動産の取引では、物件や契約条件などに関する重要な事項について、不動産会社が買主に説明します。
売主は、そのために必要な物件情報を提供することが必要です。

ポイント1 重要事項説明とは?

宅地建物取引業法の規定により、不動産会社は、売買契約が締結されるまでの間に、買主に対して物件や契約条件などにかかわる重要事項の説明をすることが義務づけられています(これを「重要事項説明」といいます)。重要事項説明は、宅地建物取引士が、内容を記載した書面に記名押印し、その書面を交付した上で、口頭で説明しなければなりません。買主へ物件などに関する詳しい説明を行うことで、契約後のトラブル防止が図られています。
なお、重要事項説明はオンラインによって行うこともできるようになりました。

重要事項説明で説明すべき主な項目は次の通りです。

【重要事項説明の主な内容(売買の場合)】
・登記記録(登記簿)の記載事項
・法令に基づく制限の概要
・敷地と道路の関係、私道の負担に関する事項
・飲用水・ガス、電気の供給施設および排水施設の整備状況
・工事完了時における形状、構造など
・一棟の建物またはその敷地の管理・使用に関する事項(マンションの場合)
・売買代金以外に授受される金銭に関する事項
・契約の解除に関する事項
・損害賠償額の予定や違約金に関する事項
・手付金などの保全措置の概要
・支払い金または預かり金の保全措置の概要

ポイント2 重要事項説明のために情報を提供する

不動産会社は、重要事項説明を行うために、詳細な物件調査を行います。ただし、不動産会社の独自調査のみでは、すべての事項を調査することはできません。したがって、売主は、不動産会社に対して、物件の関連書類を漏れなく提供するとともに、物件に関して知っている情報を正確に提供する必要があります。これによって、不動産会社はより精度の高い重要事項説明を行うことができますので、売主も物件に関して少しでも気になる情報があれば、できる限り提供するようにしましょう。

不動産会社が行う物件調査の例
法務局での調査 登記記録(登記簿)、公図など
行政庁での調査 都市計画法や建築基準法などの法令上の制限など
現地での調査 道路や敷地・建物の状況、隣地との境界線、高圧線の有無など
インフラ調査 上下水道やガスの配管状況など

※その他、マンションの場合は管理状況等を調査します。

売主が不動産会社に提供する情報の例
物件関係書類 購入時に受領した重要事項説明書、建築時の設計図書、リフォーム時の書類、マンションの管理規約や使用細則など
その他の情報 告知書、知っている物件の欠陥(雨漏りの有無、シロアリなど)、その他売主が気になる情報(近隣とのトラブルの有無、騒音の有無など)
「建物状況調査」実施の有無と実施した場合は、その結果の概要
ポイント3 告知書(付帯設備及び物件状況報告書)とは?

売主が不動産会社に提供する情報の中で、所有する物件の付帯設備や物件の状況について説明する書面が「告知書」です。売主が不具合を知っていたのに告げなかった場合は、深刻なトラブルを招くことにもなりかねません。国土交通省では、「売主にしか分からない事項について、売主の協力が得られるときは告知書を提出してもらい、これを買主に渡すことで、将来のトラブル防止に役立てることが望ましい」としています。

告知書の記載事項としては、次のようなものが挙げられています。
1. 土地関係:
境界確定の状況、土壌汚染調査等の状況、土壌汚染等の瑕疵の存否や可能性の有無、過去の所有者と利用状況、周辺の土地の過去及び現在の利用状況
2. 建物関係:
新築時の設計図書等、増改築及び修繕の履歴、石綿の使用の有無の調査の存否、耐震診断の有無、住宅性能評価等の状況、建物の瑕疵の存否や可能性の有無、過去の所有者と利用状況
3. その他:
従前の所有者から引き継いだ資料、消費生活用品製品安全法に規定する特定保守製品の有無、 新築・増改築等に関わった不動産流通業者 等

消費生活用品製品安全法に規定する特定保守製品についての詳細は、「国土交通省・最新の動きvol.12」を参照

●宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインについて
宅地建物取引業者が人の死について認識し、不動産取引の契約の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合、そのことを告知する必要があります。ただし、人の死についての考え方は人それぞれで、契約の判断に及ぼす度合いも異なります。そこで、国土交通省は2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を取りまとめました。

ガイドラインでは、宅地建物取引業者が「人の死についてどこまで調査すべきか」、「どこまで告知すべきか」についての指針を示しています。宅地建物取引業者は、売主に人の死についても「告知書」に記載するように求める形で調査を行います。売主が故意に告げなかった場合などには、民事上の責任を問われる可能性がありますので、隠さずに伝えるようにしましょう。

 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインについての詳細は、「国土交通省・最新の動きvol.156」を参照

ポイント4 重要事項説明の際の注意点

重要事項説明は、買主に対してなされますが、売主も、その内容を確認しておくことが、後々のトラブルを防ぐためにも大切です。
万が一、売主が正しい情報を不動産会社に告げなかったことにより、買主とトラブルが発生したときには、売主が損害賠償を請求される可能性もあります。したがって、売主も重要事項説明の内容を確認することで、
(1)提供すべき情報に漏れはないか、
(2)提供した情報が重要事項説明書に正しく記載されているか、を確認しましょう。
万が一、重要事項説明書の内容に問題がある場合には、すぐに不動産会社に連絡して、重要事項説明書を修正してもらいましょう。

 「不動産基礎知識(買うとき知っておきたいこと)8-2重要事項説明のチェックポイント」を参照

国土交通省が推奨する重要事項説明書リンクサイト

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