トップ不動産基礎知識:売るときに知っておきたいこと>3.不動産会社に売却を依頼する:媒介契約書の確認事項

不動産基礎知識:売るときに知っておきたいこと

3.不動産会社に売却を依頼する
指媒介契約書の確認事項及びチェックリスト

「標準媒介契約約款」(以下「標準約款」)には、媒介契約で定めるべき基本事項が網羅されており、消費者にとって不利な媒介契約が締結されることを防止しています。
ここでは標準約款の概要と確認事項について紹介していきます。

また、標準約款に記載されていない条件があれば、追記することで極力明確にしましょう。
国土交通省も、依頼者にとって不利にならない事項をより具体的に標準約款に追記することを推奨しています。

媒介契約書(標準約款)の確認事項
(1) 標準約款に基づくか否かの別
国土交通省は、不動産会社に対して標準約款により媒介契約を締結するよう指導しています。媒介契約には、標準約款に基づく契約か否かが表示されていますので確認します。もし、標準約款に基づかない契約の場合は、標準約款を使用しない理由を確認しましょう。
(2) 媒介契約の種類
媒介契約の種類(「専属専任」「専任」「一般」のいずれか)が明記されていますので、自分の希望する契約であるかを確認します。
(3) 目的物件の表示
仲介の対象となる物件を表示していますので、誤りがないか確認します。
(4) 不動産会社の義務と業務
専任媒介契約等を締結した場合の法的な義務の内容、不動産会社が提供する基本的な業務の内容が明記されています。もちろん、業務の内容をより詳細に記載することも可能です。
不動産会社の義務や業務の内容を確認した上で、追記すべき事項があれば不動産会社と調整します。
(5) 有効期間と更新
媒介契約の有効期間を記載します。専任媒介契約等の場合は、法規制により3ヶ月を超えることはできません。一般媒介契約の場合、法規制はありませんが、標準約款では3ヶ月を超えない範囲で決定することとしています。想定する売却スケジュールなどを踏まえて有効期間を決定します。(3ヶ月より短い期間での契約も可能です。)
なお、媒介契約は、有効期間満了時に依頼者からの申し出によって更新できます。更新後の有効期間も3ヶ月を超えない範囲で決定してください。媒介契約の更新は、あくまでも依頼者の申し出によるもので、自動更新されるものではありません。依頼者が自らの判断で、更新するか否かをしっかりと判断してください。
(6) 指定流通機構への登録
専任媒介契約等を締結した場合は、物件情報の指定流通機構への登録が不動産会社に義務づけられています。一般媒介契約の場合、登録は任意となりますので、指定流通機構を活用した売却活動を希望する場合は、その旨を記載します。
 「指定流通機構とは」を参照
(7) 媒介価額
売主の希望価格と不動産会社の価格査定を踏まえて、最終的に決定した売り出し価格などを記載します。売却活動全体に影響する重要な取り決めですので、十分に確認しましょう。
(8) 仲介手数料(報酬)
不動産会社に支払う仲介手数料の額や支払時期を記載します。仲介手数料に関するトラブルは多いので、媒介契約締結前に不動産会社と十分に協議してください。なお、不動産会社が受けとる仲介手数料には法規制がありますので、概要を理解した上で不動産会社との協議に臨んでください。
(9) 依頼者の義務
標準約款では、依頼者と不動産会社が互いに誠実に取引を進めていくために、依頼者の義務についても定められています。
依頼者に以下の義務違反があった場合は、不動産会社は媒介契約に基づいて、仲介手数料相当額を上限として、費用等を依頼者に請求することができます。
●専属専任媒介契約を締結した場合の義務
専属専任媒介契約を締結した場合は、媒介契約の有効期間中に他の不動産会社に重ねて仲介を依頼することはできません。また、その不動産会社を通さずに、自分で見つけてきた相手方と契約することもできません。
●専任媒介契約を締結した場合の義務
専任媒介契約を締結した場合は、媒介契約の有効期間中に他の不動産会社に重ねて仲介を依頼することはできません。その不動産会社を通さずに自分で見つけてきた相手方と契約することは可能ですが、この場合は、売買契約を締結した事実を知らずに不動産会社が仲介業務を継続してしまうことを避けるため、その旨を不動産会社に通知しなければいけません。
●一般媒介契約(明示型)を締結した場合の義務
媒介契約の有効期間中に他の不動産会社に重ねて仲介を依頼した場合は、その旨を不動産会社に通知する義務があります。また、売買契約が成立した場合は、売買契約を締結した事実を知らずに他の不動産会社が仲介業務を継続してしまうことを避けるため、その旨を依頼したすべての不動産会社に通知しなければいけません。
●一般媒介契約(非明示型)を締結した場合の義務
売買契約が成立した場合は、売買契約を締結した事実を知らずに他の不動産会社が仲介業務を継続してしまうことを避けるため、その旨を依頼したすべての不動産会社に通知しなければいけません。
●すべての媒介契約に共通の義務
媒介契約の終了後2年間は、媒介契約の有効期間中に不動産会社から紹介を受けた購入希望者と、その不動産会社を通さずに売買契約を締結する(これを「直接取引」といいます)ことは禁じられています。こうすることで、不動産会社への仲介手数料の支払いを避けるため、意図的に媒介契約を終了させてから、不動産会社から紹介を受けた購入希望者と契約するような「不誠実な」対応を防いでいるのです。
(10) 媒介契約の解除
次の場合には媒介契約を解除することができます。
●依頼者と不動産会社のいずれか一方から解除できる場合
依頼者または不動産会社の一方が、媒介契約に定められた義務を履行しない場合で、義務の履行を相当の期間を定めて催告したにもかかわらず相手方が履行しないときは、もう一方より媒介契約を解除することができます。(つまり、媒介契約に関して「約束違反」があった場合に、一定の期間内に、約束を果たすよう要求しても相手方が実行しない場合には解除できます。)
●依頼者が解除できる場合
  • 不動産会社が、媒介契約に定められた業務を誠実に遂行しない場合
  • 不動産会社が、媒介契約に関する重要な事項について、故意または重過失により事実を告げない、あるいは、不実(虚偽)のことを告げた場合
  • 不動産会社が、宅地建物取引業に関して不正、または著しく不当な行為を行った場合(他の依頼者の仲介業務で不正があったような場合を含む)
(11) 反社会的勢力の排除
不動産取引からの「反社会的勢力の排除」を目的に、反社会的勢力排除のための標準モデル条項が導入されています。不動産会社との媒介契約書の条項の中に「媒介依頼者及び不動産会社(宅地取引取扱業者)が、暴力団等反社会的勢力ではないこと」などを確約する条項が盛り込まれていることを確認しましょう。相手方がこれらに反する行為をした場合は、契約を解除することができます。
(12) 建物状況調査を実施する者のあっせん
標準約款では、既存住宅の取引時に建物状況調査(建物に生じたひび割れ、雨漏り等の事象の有無を把握するための調査)を実施することにより、取引の対象となる住宅の状態に関する正確な情報を十分に理解した上で、購入の意思決定や交渉ができるようになることから、不動産会社が建物状況調査を実施する者のあっせんの可否を示し、媒介の依頼者の意向を確認して、媒介契約書面にあっせんの有無を明記することになっています。

国土交通省が定める標準媒介契約約款リンクサイト

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