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トラブル事例集

買うときのトラブル

契約・解除に関するトラブル
分譲マンションの契約を解除できない。

新築マンションの購入を決めて売買契約を締結しましたが、突然転勤が決まったので、手付金の放棄による契約解除を申し入れました。しかし、不動産会社に「工事が進んでいるので手付解除には応じられない。違約金を支払ってもらう」と言われました。

売り主が契約の履行に着手するまでは、買い主は手付金放棄で契約を解除できます。

不動産会社が売り主である不動産売買においては、手付金は「解約手付」とされ、売り主である不動産会社が契約の履行に着手する前であれば、買い主は手付金を放棄することで契約を解除できます。(手付金と契約解除については、不動産基礎知識「9-1 売買契約の基礎知識」参照。)したがって、手付けによる解除をする場合には、その時点で相手方が「契約の履行に着手しているかどうか」が問題となります。
最高裁判所の判例に基づけば、例えば、

  • 買い主の希望する建物を建てるために建築材料を発注したときや建築工事に着手したとき
  • 分譲マンションで買い主の希望する間取り変更工事に着手したとき

などは履行の着手に該当すると考えられます。
一方で、事例のような分譲マンションや、大規模な分譲住宅の場合で、売り主が当初の建築計画に基づいて工事に着手した場合などは、履行の着手には該当しないと考えられます。
この事例では、不動産会社が履行に着手する前であると考えられるため、契約を解除できる可能性が高いと考えられますが、「契約の履行に着手しているかどうか」については、事案ごとに個別に判断する必要があります。履行の着手があると判断される場合は、手付けによる解除が認められません。契約違反による解除となった場合は、契約書に定める違約金を支払う必要が生じます。

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住宅ローンを借りる予定の銀行で審査に通らなかった。

当初予定していた銀行で、住宅ローンの審査に通りませんでした。しかし、物件の売買契約は結んでしまったので、どうしたらいいか困っています。

契約書に「ローン特約」があれば、売買契約を解除できます。

住宅ローンを利用して購入することが前提の売買契約であれば、通常は、契約書に「ローン特約」と呼ばれる契約条項が盛り込まれています。ローン特約とは、売買契約を締結した後であっても、予定していた条件で住宅ローンを借りることができなければ、売買契約を無条件で解除できるという取り決めです。この場合、支払った手付金も返還されます。
このローン特約においては、借り入れを予定している金融機関、支店名や金利などの条件を可能な限り明確にしておくことが大切です。ローン特約の適用の前提となる条件が不明確な場合は、解除をめぐって紛争になったり、無理な条件での借り入れを強いられるなどのリスクが考えられるからです。住宅ローンを利用して住まいを購入する場合は、

  • 契約書にローン特約の条項があるかどうか
  • また、その内容が具体的に記載されているか

を必ず確認しましょう。なお、買い主に住宅ローンの手続きを怠るなどの落ち度がある場合は、ローン特約があっても契約を解除できない可能性がありますので注意しましょう。

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手付金を支払った後に、不動産会社が倒産してしまった。

売り主の不動産会社と分譲マンションの売買契約を結んで、手付金を支払いました。ところが、物件の引き渡し前に不動産会社が倒産してしまいました。手付金は戻ってきますか。

手付金の保証証書などがあれば手付金は返ってきます。

宅地建物取引業法では、売り主となる不動産会社に対して、一定額以上の手付金等を買い主から受け取るときには、保全措置を講じることを義務づけています。(不動産会社が売り主の場合の規制は、不動産の基礎知識「売り主が宅地建物取引業者である場合の規制について」を参照。)
この場合、保証会社などによる保証、または保険会社による保険によって手付金等が保全されます。このような保全措置が講じられていれば、倒産によって物件の引き渡しを受けられなくなった場合でも、保証会社等から手付金を全額返還してもらうことができます。
したがって、不動産会社が売り主となる物件を契約するときは、

  • 支払う手付金等の額が保全措置の対象となるか
  • 手付金等が実際に保全されているか

をしっかりと確認しましょう。保全されている場合には、保証証書や保険証券などが不動産会社から買い主に交付されます。もし、保全措置が義務づけられる一定額以上の手付金等を支払うにもかかわらず、保証証書等をもらえないときは、法律の規定により、買い主は手付金等の支払いを拒むことができます。
保証証書等がない場合には、手付金等を支払った買い主は一般債権者となります。この場合、ケースによって一様ではありませんが、手付金等の全額を回収できない可能性も考えられます。詳細は弁護士など法律の専門家に相談するようにしましょう。(相談窓口については「住まいの相談窓口」を参照。)

不動産会社に保全措置が義務づけられる手付金等の額
未完成物件(造成中、建築中など)売買代金の5%または1,000万円を超える額の場合
完成物件売買代金の10%または1,000万円を超える額の場合

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契約を解除しても、支払ってしまった手付金は返してもらえない?

中古物件を購入するため、契約を結んで手付金を支払いましたが、やはり別の物件を購入したくなったので、不動産会社に契約の解除と手付金の返還を求めたところ、「契約を解除しても手付金は返せない」と言われました。

不動産売買の場合、契約を解除する際には手付金は戻ってきません。

不動産売買の場合、支払った手付金は一般的に「解約手付」として授受されます。「解約手付」とは、売買契約を結んだ後に、何らかの事情が生じて契約の解除をする場合に、買い主はそれを放棄することによって解除することができる、というものです。したがって、今回の場合は契約を解除しても手付金は戻ってきません。なお、この解約手付による解除ができるのは、相手方が履行に着手するまでの間で、それ以降は手付を放棄したとしても解除ができなくなってしまいますので注意しましょう。(手付金については、不動産基礎知識:「手付金について」を参照。)
また、契約が成立した後に不動産会社の責任によらない理由で契約解除をする場合には、手付金の放棄に加えて、原則として仲介手数料についても支払う必要が生じます。
不動産売買のように大きな取引の契約は、売り主と買い主の信頼関係の上に成り立つ大事な約束です。安易に契約を解除することがないよう、しっかりと確認してから契約を結びましょう。

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新築住宅の引渡し期間が3ヶ月延期されました。

戸建ての注文住宅を契約したのですが、資材発注のミスで引き渡しが3ヶ月延期になると連絡を受けました。どのように対応すればいいでしょうか。

引渡しの遅延によって発生した家賃など、遅延損害金を施工業者に請求することができます。

今回のケースのように引渡しの遅延の原因が施工業者にある場合は、施工業者が責任を負います。契約書に定められた「引渡しが遅延した場合の遅延損害金」の内容にしたがって施工業者に請求することができます。もしそのような項目がない場合は、引渡しが遅延した間に支払った家賃など、契約書どおりに引渡しを受けていれば発生しなかった損害額を請求することができます(民法415条より)。
まずは契約書をしっかりと確認し、詳細は弁護士など法律の専門家に相談することをおすすめします。(相談窓口については「住まいの相談窓口」を参照)

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