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不動産基礎知識:買うときに知っておきたいこと

9.売買契約を結ぶ9-1 売買契約の基礎知識

重要事項の説明を受け、契約条件について買主・売主双方が合意したら、売買契約を締結します。いったん契約を締結すると、簡単に解除することはできませんので、事前に契約内容を十分に確認することが重要です。
不動産会社も説明をしますが、最終的に契約は、「自己責任」で締結するものであることをしっかりと理解してください。

ポイント1 売買契約の基本的な考え方を知る
契約は原則として自由

売主と買主との契約内容は、法令に違反する、公序良俗に反するなどの問題がない限りは自由です。逆にいえば、契約は自己責任で締結することが原則ということです。もちろん、消費者が一方的に不利益を被る契約とならないよう一定の法整備がなされていますが、すべてをカバーできるわけではありません。最終的には自己責任でしっかりと契約内容を確認した上で、契約に臨むことが重要です。
なお、契約に定めがない事項については、民法その他の関係法令に従い、協議の上で決定することとなります。したがって、重要な契約条件が不明確であると、契約後のトラブルにつながってしまいますので注意しましょう。

売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合には契約内容に制限がある

不動産会社(宅地建物取引業者)が売主となる場合には、買主に不利益な契約が結ばれることのないよう、宅地建物取引業法により、不動産会社に対して、契約内容に一定の制限が設けられています。これによって、不動産取引の専門家である不動産会社と直接契約を締結することとなる買主を保護しています。
 「売主が宅地建物取引業者である場合の規制」を参照

事業者と消費者の契約については消費者契約法の適用がある

事業者と消費者との間には、情報力や交渉力等に差があることから、消費者契約法では、事業者と消費者との契約(これを「消費者契約」といいます)を対象に、消費者保護を目的とした特別な契約ルールが定められており、不動産売買契約にも影響します。例えば、消費者が誤認などした場合には契約を取り消すことができるほか、消費者にとって不利益な条項(契約不適合責任など事業者の責任を免責する条項など)が無効になるなどの規定があります。
なお、消費者契約法における消費者とは個人を指しますが、個人であっても、事業のための契約などは消費者契約法の保護の対象とはなりません。あくまでも個人が事業以外の目的で締結する契約が対象です。このように、不動産売買契約にも消費者契約法の適用があることを理解しておきましょう。

不動産売買契約の全体像イメージ ※あくまでもイメージです

ポイント2 手付金について理解する

不動産売買契約では、契約締結時に「手付金」と呼ばれる金銭を、買主が売主に支払うことが一般的です。
手付金には、
(1)証約手付
(2)解約手付
(3)違約手付
の3種類があります。

一般的に不動産売買契約では、(2)の「解約手付」として授受されます。なお、民法でも手付金の性質について特段の定めがない場合には解約手付と推定するとされています。
「解約手付」とは、買主は既に支払った手付金を放棄する(返還を求めない)ことにより、また、売主は既に受けとった手付金の倍額を買主に返すことにより、売買契約を解除することができる手付をいいます。
ただし、解約手付による契約の解除ができるのは、「相手方が履行に着手するまで」とされています。つまり、既に相手方が契約に定められた約束事を実行している場合には、手付による解除はできません。
 「手付金について」を参照

ポイント3 契約を結んだら、簡単に解除できない

特に、不動産売買のように大きな取引を行う場合は、契約は売主と買主の信頼関係の上に成り立つ大事な約束です。そのため、いったん契約を締結すると、一般的には、一方の都合で簡単に契約を解除することはできません。契約の解除には、主に以下のようなものがあります。

クーリングオフによる解除 売主が不動産会社(宅地建物取引業者)で、かつ一定の条件を満たす場合に限り、無条件で契約を解除することができる。
手付解除 相手方が契約の履行に着手するまでは、手付金の放棄、または倍返しにより契約を解除することができる。
危険負担による解除 天災による物件の滅失等により、契約の目的が達せられない場合などは、買主は無条件で契約を解除することができる。
契約不適合
責任に基づく解除
物件が契約内容に適合しないもので、その不適合が軽微でない場合は、買主は契約の解除ができる。
特約による解除
(ローン特約など)
特約の内容に応じて解除することができる。例えば、「ローン特約」の場合なら、買主に落ち度がなくても住宅ローンを受けられなかった場合に、買主は無条件で契約を解除することができる。
合意による解除 当事者の合意に基づいて契約を解除することができる。

※上表の内容は一般的なものであり、個々の契約で契約の解除に関する取り扱いは異なります。

ポイント4 契約不適合責任について理解する
契約不適合責任とは

雨漏りや建物の白アリによる腐食などのような物件の欠陥のことを、これまで「瑕疵」(かし)と言い、それについての売主の責任のことを「瑕疵担保責任」と言っていました。しかし、この責任については、令和2年4月1日に施行された民法の改正により、その責任の名称だけでなく内容も大きく変わりました。改正民法は、まず売主には、売買の対象物件について「種類、品質、数量」に関して、契約の内容に適合した物件を引き渡す義務があるという前提で、もしそれらについて契約の内容に適合しない物件を引渡した場合は、売主の債務不履行責任になるということです。例えば、雨漏りや、白アリによる腐食のある建物を引き渡した場合は、品質に関して契約の内容に適合した目的物を引き渡す義務の債務不履行だということです。

契約不適合責任の内容

契約の対象物(目的物)に、前記のような不適合があったときには、買主は、その補修の請求ができ、補修請求をしても売主がやらないとき、または補修自体が無理なときなどには、売買代金の減額請求ができます。また、一般的な債務不履行の原則により、損害賠償請求もできますし、契約の解除もできます。ただし、損害賠償は、売主に何らかの責任がない場合はできません。また解除は、その不適合が「軽微」なときにはできないことになっています。

契約不適合責任を売主が負う期間

民法では、契約不適合責任を売主が長期間負うのは酷と考え、また売買から生ずるこのような紛争をできるだけ早期に解決することが適切として、買主はその不適合を知った時から1年以内に売主に通知しなければならないこととしています。

売買契約における特約

この民法の規定は、任意規定と言って、任意に変更・修正ができる規定であるため、当事者間の特約で別の定め(特約)をすることができます。特に既存住宅(中古住宅)の場合は、経年劣化・自然損耗等により、ある欠陥等の事がらが契約不適合に当たるかどうかの判断が困難または不可能です。そこで一般の取引においては、売主が責任を負う範囲を限定したり、責任を負う期間を短縮したりしています。また、場合によっては、売主は一切責任を負わないという特約もあります。その場合でも、売主はその不適合を知りながら買主に告げなかったときには、責任を免れませんが、そうでない以上、特約どおり免責されます。

宅地建物取引業者(不動産会社)が売主の場合

宅建業者が売主で、買主が宅建業者でない場合の契約不適合責任については、宅地建物取引業法により、引渡しの日から2年以内に売主が通知を受けた場合に限り、契約不適合責任を負う旨の特約は有効ですが、その通知期間以外に例えば「補修の請求に限る」とか「契約の解除は売主が認めた場合にできる」というような民法の規定より買主に不利な特約は無効です。

事業者が売主で、消費者が買主の場合

不動産会社でなくても会社などの法人は、すべて消費者契約法という法律上「事業者」ですが、事業者が売主となって、消費者に売る契約において、「事業者は契約不適合責任を負わない」という契約条項は、同法によって、無効とされています。

住宅の品質確保の促進等に関する法律による新築住宅の特例

新築住宅の場合、売主である不動産会社(宅地建物取引業者)は、住宅の主要構造部分等(基礎、柱、屋根、外壁等)について10年間は瑕疵担保責任(※)を負わなければいけません。
売主が倒産するなどで瑕疵担保責任を履行できない状況を回避するために、買主に引き渡す際に、売主には保険への加入か保証金の供託が義務づけられています。売主は買主に対して、重要事項説明や売買契約の際に、保険と供託のいずれの措置を採るのかを説明することになっているので、しっかり確認するようにしましょう。
※同法では「瑕疵担保責任」と言っていますが、改正民法の「種類、品質に関する契約不適合責任」のことです。

「10-3入居後の物件の欠陥をめぐるトラブル対応」を参照

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