トップ不動産基礎知識:買うときに知っておきたいこと9.売買契約を結ぶ:売主が宅地建物取引業者である場合の規制について

不動産基礎知識:買うときに知っておきたいこと

6.9.売買契約を結ぶ
売主が宅地建物取引業者である場合の規制について

不動産会社(宅地建物取引業者)が売主となる場合には、売買契約において以下のような制限が設けられています。

売主が宅地建物取引業者である場合の規制について
(1)未完成物件の契約の制限
一定規模以上の土地の造成や建物の建築には、行政庁の許可や確認等(以下「許可等」)が必要です。これらの許可等がなければ土地の造成や建物の建築を行うことはできません。したがって、造成や建築が行われていない未完成の物件については、不動産会社(宅地建物取引業者)が行政庁の許可等の前に売買契約を締結することはできません。未完成の新築分譲物件の売買を行うときには、許可等があることを確認します。
(2)クーリングオフ
不動産会社(宅地建物取引業者)が売主の場合は、一定の条件を満たした場合に、買主にクーリングオフ(契約の無条件解除等)の適用があります。その要件は次の通りです。自分の契約にクーリングオフの適用があるのかを確認しましょう。
  1. 買主が購入の申し込みや契約の締結を、不動産会社(宅地建物取引業者)の事務所等(※)以外で行っていること。
    ※ 不動産会社の本支店、モデルルーム、自宅または勤務先(買主が自ら購入の申し込みや契約の締結場所として希望した場合のみ)等
  2. 不動産会社(宅地建物取引業者)がクーリングオフの適用がある旨及びクーリングオフを行うための方法を「書面」で買主に告げていること。
  3. 2の内容を告げられた日から8日以内であること。
  4. 物件の引渡し前であること。
(3)手付金の制限
不動産会社(宅地建物取引業者)が手付金を受け取る場合には、以下のような制限がありますので、しっかりと確認しましょう。
  1. 売買代金の20%を超える手付金を受け取ってはならない。
  2. 手付金は解約手付とみなされる。また、手付解除が可能な期限を設定するなど、買主の解除権を制限してはならない。
    この制限により、買主が不当に高額な手付金を支払ったり、解除権を制限されることを防止しています。なお、手付の金額については、20%を超える部分は手付金として取り扱われません。また、解除権を制限する特約は無効となります。
(4)手付金等の保全
不動産会社(宅地建物取引業者)が、売買契約締結時に一定額以上の手付金や売買代金の一部(以下「手付金等」)を受け取るときは、手付金等の保全措置を講じなければいけません。保全措置とは、銀行や保証会社等による保証や保険会社による保険のことです。これにより、万が一、不動産会社(宅地建物取引業者)が倒産などした場合でも、契約時に支払った手付金等が返還されます。支払う手付金等の額が保全措置の対象となるかを確認します。

保全措置の対象となる手付金等の額

(5)損害賠償額の予定に関する制限
不動産会社(宅地建物取引業者)は、契約違反があった場合の違約金や損害賠償の予定額の合計額が、売買代金の20%を超える契約を締結することはできません。これに反した場合は、20%を超える部分は無効となり、違約金や損害賠償の予定額の合計額は売買代金の20%となります。
(6)契約不適合責任についての特約の制限
不動産会社(宅地建物取引業者)が、契約不適合責任について民法の規定より買主に不利な特約をしても、その特約は無効となります。ただし、責任期間について、「引渡しの日から2年以内に通知を受けた場合に限り責任を負います。」という特約は、民法の規定に比べて買主に不利ですが有効としています。特約が、無効となる場合は、民法の原則的規定が適用されることになります。
売主が宅地建物取引業者である場合の規制 ※あくまでもイメージです
○物件が新築住宅の場合
新築住宅の売主は主要構造部分等(基礎、柱、屋根、外壁等)については、瑕疵担保責任(契約不適合責任)を引渡しから10年以上負わなければいけません。購入予定物件が新築住宅の場合は瑕疵担保責任の期間と内容について十分に確認してください。
また、瑕疵担保責任の履行を確実に確保するために、売主は保険への加入または保証金の供託が義務づけられています。購入予定の新築住宅に対して、どのような措置がなされるのかも確認が必要です。

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