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購入したい中古マンションの売り主が鍵を1本紛失したという。

中古マンションの購入申し込みをしました。しかし、売買契約の締結段階になって、売り主が媒介業者を通じて、「今回シリンダーを交換して新たに作成した5本の鍵のうち、1本を紛失してしまい、契約後は残りの4本の鍵と新たに作るスペアキーで引き渡しをしたい」と言ってきています。なお、交付された物件付帯設備一覧表には、「鍵―有―4本」と記載されています。

建物の鍵は、人の身体、生命、財産を守る重要なものです。

売り主が5本の鍵のうち1本を紛失していることを買い主が十分理解し、同意をしたならばともかく、そのことを媒介業者が分かっていながら、単に付帯設備一覧表に「鍵―有―4本」と記載して買い主に説明しただけで売買契約を締結するということは、契約後その物件自体を完全な形で買い主に引き渡すことができないことが明白でありながら契約を締結するということになります。
なぜなら、建物付不動産売買における物件の引き渡しは、建物の鍵を買い主に交付することにより行うものですので、この場合は、本来あるべき5本の鍵がなければ完全な引き渡しを行うことができないことになるからです。
したがって、売買契約締結の前に、再度、媒介業者から「鍵5本のうち1本を紛失しているため、鍵及びシリンダーを売り主の費用負担で交換し、新しい5本の鍵をもって引き渡しを行う」旨が記載された重要事項説明書及び付帯設備一覧表の交付を受けたうえで売買契約を締結し、新しい5本の鍵をもって引き渡しを受けることが望ましいと考えられます。
また、このようなケースでなくとも、建物の鍵は、人の身体、生命、財産を守る重要なものですので、中古住宅を購入する際には買い主が費用を負担してでも、鍵とシリンダーを新品に交換することが防犯上望ましいでしょう。

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