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2013年の不動産業行政について・国土交通省不動産業課にて本年重点的に取り組むべき主要施策を紹介

2013年1月9日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

今回は、国土交通省不動産業課が取り組んでおります重要課題、とりわけ本年重点的に展開していくべき主要施策について、ご紹介させていただきます。

国土交通省全体の政策 

2013年を迎えた日本ですが、その直面する課題は人口減少、少子高齢化、財政制約、さらには震災を契機としたエネルギー制約等、多岐にわたります。国土交通省では、これらの課題を克服し、子ども達や孫達の世代にすばらしい国土を残すための主要政策として「持続可能で活力ある国土・地域づくり」を2012年にとりまとめ、その政策の実行のため日夜努力しているところです。これは、「持続可能な社会の実現」、「安全と安心の確保」、「経済活性化」及び「国際競争力と国際プレゼンスの強化」の4つの価値を実現するために、「低炭素・循環型システムの構築」をはじめとする8つの方向性を定めた上で、それぞれの方向性について主要施策をまとめたものです。陸・海・空に幅広く関わる国土交通省の現場力・総合力・即応力を十分に活かし、省内各部局はもちろんのこと、関係省庁、地方公共団体、民間とも積極的に連携して、今後も取り組んでまいります。

以下、個別の政策課題について、当課の取り組みをご紹介させていただきます。

不動産行政における新たな施策展開
~不動産流通市場の活性化に向けた取り組み~

現在の日本は、人口減少・少子高齢化等の影響から、700万戸以上の空き家を抱える一方で、不動産の流通という側面では、欧米諸国に比べて既存住宅の流通割合が圧倒的に低い状況であり、既存住宅ストックの有効活用が重要な政策課題となっております。
このような環境の下、国土交通省では、多方面の有識者からなる「不動産流通市場活性化フォーラム」を設置し、不動産流通市場活性化に向けた具体的な方策を検討し、続く「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」では、不動産に係る情報整備にあたって特に重要な検討課題について議論を行い、今後の方向性をとりまとめました。
※関連情報についてはVOL.36VOL.45VOL.47をご参照ください。

また、平成24年度の予算事業として、宅地建物取引業者やリフォーム業者、インスペクション業者などの団体や個別の企業が連携して、中古住宅購入検討者にワンストップでサービスを提供し、消費者がより安心して中古住宅取引に臨めるような中古住宅流通市場の整備を目的に、全国各ブロックで立ち上げられた12の連携協議会の活動を支援しております。
国土交通省においては、引き続き上記フォーラム等での議論を具体的施策に移すべく、平成25年度に予算措置を講じて不動産流通市場の整備に取り組み、その活性化を通じて、国民の皆様がそれぞれのライフサイクルやライフステージに合わせて、住みたい場所で、幅広い選択肢の中から住宅を選んでいただけるような環境作りを進めていきます。

賃貸住宅管理業者登録制度の施行

現在民間の賃貸住宅は約1,340万戸あり、うち8割以上を個人が所有しています。さらに、そのうち8割近くの方が、一部または全部の管理を外部に委託しています。このように国民の生活ニーズに応えるものとして賃貸住宅管理の重要性が高まっている一方、敷金の返還、契約更新、原状回復といった管理業務に関するトラブルが増加する中で、管理に関する特段の法規制が設けられていないのが現状でした。

このような状況に鑑み、国土交通省では、管理会社の実施する管理業務について一定のルールを設け、賃貸住宅管理業の適正化を図り、貸主及び借り主の利益の保護に資するため、国土交通省告示による任意の賃貸住宅管理業者登録制度を平成23年12月1日から施行いたしました。
本制度の施行により、管理業者は国土交通省の備える登録簿に登録を受けることができ、借り主や貸主等は登録簿を閲覧することにより、賃貸住宅選択や管理業者選択の判断材料に活用することが可能となりました。また、適正な管理業務のルールが普及し、賃貸管理の共通化・標準化が進むことにより、適切に管理が行われ、安心して住むことができる健全な賃貸住宅市場の形成が促進されるものと考えております。
制度施行から約1年が経過し、この間、本制度が広く一般の方々に認知されるよう、登録業者であることを示すシンボルマークの作成、各種講習会における制度紹介、パンフレット配布等、様々な周知・普及活動を行ってきたところですが、今後も、引き続き各関係団体との連携のもと、より一層の周知・普及に努めてまいります。
※関連情報についてはVOL.37をご参照ください。

マンション管理に関する課題への対応

国土交通省では、マンションの新たな管理ルールのあり方について、実態を把握するとともに、その諸課題を整理し、制度化の必要性も含め、当該課題への対応について一定の枠組みを提示することを目的として、平成24年1月から「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を設置しました。
同検討会では、管理組合の外部の者が管理者となる、いわゆる「第三者管理者」方式のほか、外部の専門家を活用して、管理組合が適切にマンション管理を行うよう、標準管理規約の整備等、管理組合のガバナンス強化の検討や、区分所有者以外の第三者による適正な管理の実施を担保するための枠組みづくりの議論を行っているところです。
その他にも、反社会的勢力の排除、災害等緊急時の意思決定及び費用支出の手続きの整備等についても同検討会において議論を重ねてきたところです。
同検討会における議論の方向性も注視しつつ、建物の経年劣化と住民の高齢化の「二つの高齢化」などの諸問題への対策等、マンション管理の適正化の推進のために必要な施策の検討に、本年も取り組んでまいります。
※関連情報についてはVOL.40をご参照ください。

不動産業のコンプライアンス体制確立に向けた取り組み

不動産業界では、平成23年9月までに、不動産関係5団体において、国土交通省及び警察庁を交えた検討を踏まえ、不動産売買等における契約書に盛り込むべき暴力団排除に関するモデル条項の策定・導入がなされ、その定着が進んできております。また、同月には、不動産業界と国土交通省・警察庁、さらには全国暴力追放運動推進センターなどの外部専門機関で構成する「不動産業・警察暴力団等排除中央連絡会」を設立し、関係機関相互の連携強化を図るとともに、「不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則」の採択によって、対外的にも反社会的勢力排除の姿勢を示すなど、不動産取引からの反社会的勢力排除に係る取り組みは、より着実に進められてきたところです。
国土交通省では、こうした取り組みが全国的に、業界一丸となって展開できるよう、地方における連絡会組織の設立への協力等を行っているところですが、引き続き、不動産取引からの反社会的勢力の排除を含めた業界のコンプライアンス体制確立に向けた活動に対する支援を行ってまいります。
※関連情報についてはVOL.33をご参照ください。

また、平成20年3月に全面施行された犯罪収益移転防止法では、同法における特定事業者に位置付けられた宅地建物取引業者に対して、マネー・ローンダリング防止のための顧客の本人確認等が義務付けられたところですが、その後のFATF(金融活動作業部会)による対日相互審査における指摘等を受け、平成23年4月に改正法が公布されたところです。改正法は、特定事業者に対して、あらたに顧客の取引目的や事業内容の確認等を義務付ける内容となっており、平成25年4月1日からの改正法の施行を控える状況にあります。国土交通省では、引き続き同法で求められる措置等の的確な実施とその推進を図っていくとともに、改正法の円滑な運用に向けた取り組みを進めてまいります。
※関連情報についてはVOL.5をご参照ください。

マンションの悪質な勧誘に関する対策について

近年、社会問題化しておりました投資用マンションの販売などにおける悪質な勧誘については、消費者委員会の建議等を踏まえ、平成23年に宅地建物取引業法の施行規則を改正し、禁止事項の明確化を図るとともに、都道府県と情報共有を図るなどしてその抑止の体制を整備してきたところです。その結果、消費生活センターに寄せられた相談件数は大幅に減少し、一定の効果が見られるところです。引き続き、都道府県をはじめとする関係行政機関と連携を図りつつ、悪質な勧誘に対しては厳正に対処してまいります。
※関連情報についてはVOL.27をご参照ください。

本年も様々な方のご意見に耳を傾けながら、関係機関と連携を図り、政策の立案及び施策の展開を進めてまいりたいと考えております。引き続き、ご協力のほどをよろしくお願い申し上げます。

※執筆の内容は、2012年12月末時点によるものです。

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