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「不動産流通市場活性化フォーラム提言」について 既存不動産の流通活性化実現を目指し「不動産流通市場活性化フォーラム提言」を取りまとめ

2012年8月8日

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国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

国土交通省では、不動産流通市場の活性化を具体的に検討する場として、多方面の有識者からなる「不動産流通市場活性化フォーラム」を設置し、昨年10月以降7回にわたる討議を重ねてきました(当「国土交通省最新の動き」VOL.36ご参照)。本フォーラムでの議論をもとに、平成24年6月28日「不動産流通市場活性化フォーラム提言」が取りまとめられましたので、ご紹介します。

今後の不動産流通システム改革のために重要な5つのポイント

本フォーラムにおいて、特に以下の2つの課題を中心に議論が行われました。

  • 不動産取引に当たって、消費者の求める情報が適時適確に提供されていないことがある。
  • 不動産事業者が消費者のニーズに十分応えられていない局面がある。

議論の内容は多岐に渡りましたが、特に今後の不動産流通システム改革のために重要と思われるものとして、以下の5つが挙げられました。

(1)「消費者にとって必要な情報の整備・提供」
消費者が住宅を購入する際に感じる建物の品質等に対する不安を少しでも解消できるよう、住宅性能など市場流通時の物件情報の充実や、修繕履歴など住宅に係る情報ストックの整備を行い、消費者が様々な情報にアクセスしやすい環境を整備することが望まれます。

(2)「不動産価格の透明性の向上」
例えば自宅をリフォームした場合等にその価値が適切に売買価格や担保評価に反映されるようにするため、建物評価手法の見直し(リフォーム・改修等の査定への反映)や金融機関など取引関係者への普及を促進し、客観的で誰もが納得できる価格の形成を促進することが望まれます。

(3)「先進的な不動産流通ビジネスモデルの育成・支援と成功事例の普及」
不動産事業者が従来のビジネスモデルだけに依存せず、多様化する消費者ニーズに対応できる新たな中古住宅の流通や既存ストックの有効活用に係る取り組みを、積極的に育成・支援することが望まれます。

(4)「宅地建物取引業者及び従業者の資質の向上」
不動産事業者が多様化する消費者ニーズに対応するためには、消費者と直に接する宅地建物取引主任者や従業者の資質向上が不可欠であり、教育制度の充実等によりこれを実現することが望まれます。

(5)「住み替え支援など多様な手段による既存ストックの流動化の促進」
例えばインスペクションに関する仕組みの整備や、行政等による住み替え支援を通じた既存不動産の再生・循環活用の促進など、多様な手段によって不動産流通市場を活性化するために必要な環境整備を行う必要があります。

こうした消費者ニーズへの的確な対応や、不動産事業者のコンサルティング機能の向上等に係る施策の実施により、中古住宅取引について売り主、買い主それぞれの潜在的なニーズを掘り起こし、国民の皆さんが中古住宅を売買しようとするモチベーションを高め、活気に満ちた不動産流通市場の形成と我が国独自の不動産流通システムの構築を図ることが必要であると考えられます。

なお、本フォーラムの提言は国土交通省の名義ではなく、あくまで本フォーラムの名義で取りまとめられたもので、提言の向かう相手先としては、行政、不動産事業者及び関連事業者だけでなく、国民の皆さんも含めた幅広い関係者となっています。
当然国土交通省としても、本フォーラムの提言を受け、その具体化のための方策を早急に検討していく予定ですが、国民の皆さんにおかれましても、本フォーラムの提言の内容を参考にしていただき、ライフサイクルやライフステージに合わせて、住みたい場所で住宅を選んでいただけるようになることを期待しています。


※執筆の内容は、2012年7月末時点によるものです。
:宅地建物取引業法の改正により、平成27年4月1日から「宅地建物取引主任者」の名称は「宅地建物取引士」へ改称されました。

国土交通省


「不動産流通市場活性化フォーラム提言」について、詳しくは国土交通省HPを参照


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