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不動産業界からの反社会的勢力排除に向けた対応・反社会的勢力の排除のために不動産取引の契約書に排除条項を導入

2011年8月10日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

近年の暴力団等の反社会的勢力は、組織実態を隠ぺいし、その活動実態を不透明化させ、不動産取引などの経済活動を通じて資金獲得活動を巧妙化させていることから、これまで以上に、経済活動や国民生活からの反社会的勢力の排除の必要性が高まっています。
当「国土交通省・最新の動き」においても、VOL.11  不動産取引からの反社会的勢力の排除のあり方について(平成19年11月)で、反社会的勢力の排除が必要になっている背景や今後の課題等について紹介いたしましたが、その後も不動産業界一丸となって反社会的勢力排除の取り組みを進めてきましたので、今回はその最新の動きについてお知らせします。

反社会的勢力排除条項の取りまとめへ

政府においては、平成19年6月に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)」を、平成22年12月には「企業活動からの暴力団排除の取組について」を、それぞれ取りまとめました。こうした背景にあわせ、国土交通省では、平成21年1月に「不動産取引からの反社会的勢力の排除のあり方検討会」を設置し、同年3月に不動産取引からの反社会的勢力の排除のあり方についての取りまとめを行っています。
以上の状況を踏まえ、不動産流通4団体において、警察庁と国土交通省の支援のもと、平成23年5月に、売買契約書等に入れる反社会的勢力排除のための標準モデル条項を取りまとめました。平成23年6月以降、各団体において順次モデル条項を導入し、講習会等を通じて普及・啓発を行っています。


不動産流通4団体
 社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会
 社団法人 全日本不動産協会
 社団法人 不動産流通経営協会
 社団法人 日本住宅建設産業協会

●売買契約書におけるモデル条項例の概要
  • 売主及び買主は、自らが、暴力団等反社会的勢力ではないことを確約する。
  • 売主及び買主は、自ら又は第三者を利用して、物件の引渡し及び売買代金の全額の支払いまでに次の行為をしないことを確約する。
    ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
    イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
確約に反する申告確約に反する行為をした場合には、何らの催告を要せずして、この契約を解除することができる
  • 買主は、自ら又は第三者をして本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供しないことを確約する。
買主が確約に反し、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供した場合には、売主は何らの催告を要せずして、この契約を解除することができる
買主は売主に対し、違約金(売買代金の20%相当額)に加え、違約罰(売買代金の80%相当額)を支払う。但し、宅地建物取引業者が自ら売主となり、かつ宅地建物取引業者でない者が買主となる場合は、この限りでない。

契約書の種類ごとの具体的なモデル条項例は以下参照。
不動産流通4団体による、不動産取引からの暴力団等反社会的勢力の排除に向けた取組について(暴力団等反社会的勢力の排除のためのモデル条項の導入)

反社会的勢力排除条項導入の効果

不動産取引に反社会的勢力が関与することは、事業者や業界にとってのリスクであることはもちろん、不動産が反社会的勢力の活動拠点となった場合には、その近隣住民の身体、生命にとっての脅威となる等、消費者にとっても大きなリスクがあります。
本条項が広く普及することにより、暴力団事務所が設置される前の不動産取引の段階でこれを食い止めることができるようになります。また、万が一暴力団事務所が設置されたとしても、周辺住民による訴訟等によらず契約解除という手段で原状回復をすることが可能となり、事務所撤去の機動性も高まりますので、消費者にとってのリスクを小さくすることができます。
このような措置は、暴力団事務所設置の阻止のみならず、暴力団への資金源を遮断するとともに、健全な経済社会の発展に資するものといえます。

なお、実際の不動産取引において相手方に反社会的勢力の疑いがあり、契約を拒否または解除したい場合等には、最寄りの警察署、または各都道府県警察(各都道府県警察一覧表に記載)に相談することが可能です。
事業者の方だけでなく、一般の売主、買主の方々にも暴力団等反社会的勢力排除条項を正しく理解していただくことが、社会全体で暴力団等反社会的勢力を排除していく大きな第一歩だと考えられます。

図表 各都道府県警察一覧表

管区・都道府県別 所属 警察本部代表電話
北 海 道 捜査第四課 011-251-0110
東北 青 森 組織犯罪対策課 017-723-4211
岩 手 組織犯罪対策課 019-653-0110
宮 城 暴力団対策課 022-221-7171
秋 田 組織犯罪対策課 018-863-1111
山 形 組織犯罪対策課 023-626-0110
福 島 組織犯罪対策課 024-522-2151
警 視 庁 組織犯罪対策第三課 03-3581-4321
関東 茨 城 組織犯罪対策課 029-301-0110
栃 木 組織犯罪対策第一課 028-621-0110
群 馬 組織犯罪対策第一課 027-243-0110
埼 玉 捜査第四課 048-832-0110
千 葉 捜査第四課 043-201-0110
神奈川 暴力団対策課 045-211-1212
新 潟 組織犯罪対策第二課 025-285-0110
山 梨 組織犯罪対策課 055-235-2121
長 野 組織犯罪対策課 026-233-0110
静 岡 組織犯罪対策課 054-271-0110
中部 富 山 組織犯罪対策課 076-441-2211
石 川 組織犯罪対策課 076-225-0110
福 井 組織犯罪対策課 0776-22-2880
岐 阜 組織犯罪対策課 058-271-2424
愛 知 組織犯罪対策課 052-951-1611
三 重 組織犯罪対策課 059-222-0110
近畿 滋 賀 組織犯罪対策課 077-522-1231
京 都 組織犯罪対策第一課 075-451-9111
大 阪 捜査第四課 06-6943-1234
兵 庫 暴力団対策課 078-341-7441
奈 良 組織犯罪対策第二課 0742-23-0110
和歌山 組織犯罪対策課 073-423-0110
中国 鳥 取 組織犯罪対策課 0857-23-0110
島 根 組繊犯罪対策課 0852-26-0110
岡 山 組織犯罪対策第二課 086-234-0110
広 島 捜査第四課 082-228-0110
山 口 組織犯罪対策課 083-933-0110
四国 徳 島 組織犯罪対策課 088-622-3101
香 川 組織犯罪対策課 087-833-0110
愛 媛 組織犯罪対策課 089-934-0110
高 知 組織犯罪対策課 088-826-0110
九州  福 岡 組織犯罪対策課 092-641-4141
佐 賀 組織犯罪対策課 0952-24-1111
長 崎 組織犯罪対策課 095-820-0110
熊 本 組織犯罪対策課 096-381-0110
大 分 組織犯罪対策課 097-536-2131
宮 崎 組織犯罪封策課 0985-31-0110
鹿児島 組織犯罪対策課 099-206-0110
沖 縄 暴力団対策課 098-862-0110

※執筆の内容は、2011年7月末時点によるものです。

国土交通省


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