(1)契約期間と更新の定め
契約が普通借家か定期借家かを確認した上で、契約期間を確認します。その上で、契約の更新手続や更新料の有無を確認しましょう。更新料が必要な場合は、金額、支払い条件なども見ておきます。
→ 「普通借家契約と定期借家契約」を参照
(2)賃料や管理費(共益費)の額、支払い、滞納時のルールなど
まずは賃料や管理費(共益費)の額と支払い方法、支払い期日を確認します。多くの場合は、振り込みや自動引き落としで、翌月分を前月末日までに支払うことになっています。また、滞納時に延滞金が必要な場合には、延滞利率についても確認しましょう。
また、賃料の改定についての取り決めがある場合には、その内容も確認します。一方的に賃料が増額となるなど、賃料改定でトラブルとなる場合もありますので注意しましょう。
(3)敷金など
敷金などが必要な場合には、その金額と返還に関する具体的な手続などを確認します。特に、敷金と退去時の原状回復費用との精算をめぐるトラブルは多いので、原状回復に関する取り決めも含めてしっかりと確認しましょう。なお、敷金については、地域ごとの取引慣習により取り扱いが違う場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
(4)反社会的勢力の排除
不動産取引からの「反社会的勢力の排除」を目的に、反社会的勢力排除のためのモデル条項が導入されるようになりました。契約書の中にこうした条項が記載されているか確認しましょう。相手方がこれらに反する行為をした場合は、契約を解除することができます。
(5)禁止事項
禁止事項の例としてはペットの飼育、楽器演奏、石油ストーブの使用、勝手に他人を同居させること、無断で長期不在にすること、危険物の持ち込みなどがありますが、契約によって異なります。違反した場合、退去を求められることもありますから、よく確認してルールを守った暮らしをしましょう。
(6)修繕
入居中の物件の修繕に関する取り決めです。一般的には、通常の物件の使用に必要な修繕は貸主が行うこととなっていますが、借主の故意や過失によって必要となった修繕は、借主がその費用を負担することとなります。また、借主は修繕が必要な箇所を発見したときには、貸主にそのことを通知しますが、貸主が必要な修繕を実施しない場合は、貸主に代わって借主が修繕を行うことができます。このような取り決めが不明確な場合は、入居中のトラブルとなることもありますので注意しましょう。
(7)契約の解除
貸主からの契約解除の要件などが取り決められています。例えば、賃料などを滞納した場合や、借主が禁止事項に違反している場合などが挙げられます。契約解除とならないよう、十分に確認する必要があります。
(8)借主からの解約
借主からの解約について、解約通知の期日や具体的な手続を確認します。不動産会社によっては、あらかじめ解約通知書のひな形を契約書に添付している場合もあります。
(9)一部使用できない場合の取り決め
入居中の物件で一部が使用できなくなった場合の取り決めです。借主の責任ではなく使用できない場合は、その部分の割合に応じて賃料の減額について貸主と交渉できます。使用できる部分だけでは生活できないような場合は、契約の解除が可能です。
(10)原状回復の範囲と内容
賃貸借の契約で最もトラブルになりやすいのが原状回復にかかわる取り決めです。トラブル回避のためには、原状回復に関する取り決めをできるだけ明確にしておくことが大切です。国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では、原状回復に関する取り決めを具体的に明記することとし、別表として貸主と借主の修繕分担表などを提示していますので、参考にするとよいでしょう。
退去時の修繕等の義務については、「借主の通常の居住、使用による物件の破損、損耗」は貸主の負担で、「借主の故意や過失などによる物件の破損、損耗」が借主の負担とされます。ただし、本来は貸主負担とするべきものを、借主負担としている特約がある場合もあります。その場合には、内容について詳細を確認し、特約に定める負担に納得がいくようであれば、契約するようにしましょう。
→ 「8-3原状回復の取り決めについて」を参照
(11)特約事項
貸主・借主の事情により、特約事項が付されることもありますが、「原状回復にかかわるすべての費用は借主負担とする」など、一方的に借主に不利な条項が記載されている場合もありますので、確認する必要があります。また、借主側で個別の要望がある場合は、後になって「そんな約束はしていない」と言われないよう、契約書に記載してもらうことが望ましいでしょう。例えば、入居前に壁紙を新しいものに張り替えるなどの約束は、契約書に記載しておくと安心です。