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試行運用始まった全国版空き家・空き地バンク 株式会社 Geo Laboratory 代表取締役 上村要司

(2018.1.24)

 この空き家情報提供サイト内の「国土交通省の動き」や「国・自治体の取り組み」でも紹介しているように、平成29年10月から「全国版空き家・空き地バンク(以下、全国版バンク)」の試行運用が開始されました。

全国版空き家・空き地バンクとは?

 全国版バンクは、情報項目が異なり解りづらいとの指摘もあった各自治体の空き家バンクについて、国土交通省が開示情報の標準化を図り、各地の空き家等の情報を集約してどこでも簡単に検索できる仕組みを構築したものです。全国の空き家・空き地の情報を、利活用を希望する消費者に紹介する制度で、地域の活性化にもつながるものと期待されています。

出所:国土交通省

空き家・空き地バンクの提供事業者は2社

 全国版バンクは、公募で選定された2事業者(株式会社LIFULL、アットホーム株式会社)によって運用されています。平成29年度は国のモデル事業として行われ、試行運用の状況等を踏まえて、必要な改善を図った上で本格運用に入る予定です。

 平成29年の国土交通省の調査では、全自治体の約4割(763自治体)が空き家バンクを設置しており、約2割(276自治体)が準備中または設置予定となっています。平成30年1月時点で全国版バンクへの自治体の参加表明率は24.3%(434自治体)となっており、今後も参加する自治体が増えるとみられます。

 全国版バンクには、各自治体の空き家バンクから所有者の同意を得た物件情報が提供されており、全国の物件をワンストップで検索できます。情報に関心を持った消費者は、全国版サイトから各自治体等の窓口にメール・電話等で問い合わせができます。問い合わせ後の現地案内や契約手続等は、自治体や物件を取り扱う宅建業者等と直接やり取りを行うことになります。

出所:アットホーム・ホームページ

掲載情報について

 全国版バンクに登録されている空き家は、賃貸用・売買用や別荘等に利用されていない住宅で、民間不動産ポータルサイトにも掲載されていない物件が対象で、各自治体の掲載基準に準拠しています。全国版への情報登録は無料ですが、掲載物件は各自治体が所有者の意思確認を踏まえた上で選定され、上記2社への重複登録も認められています。

 掲載物件の種類は、LIFULLのサイトが売買物件の中古戸建・土地と賃貸物件の中古戸建・土地が対象で、アットホームのサイトは売買物件の中古戸建・土地・マンション・事業用と賃貸物件の居住用物件(戸建・アパート等)・土地・事業用が対象となっています。空き家特措法に定めた放置が不適切な「特定空き家等」については、除却等の対応が先決であり、積極的な登録対象になっていませんが、除却後の空き地の掲載は問題ないとされています。

LIFULL「全国版空き家・空き地バンク」のサイト画面例 出所:国土交通省

 掲載項目は、不動産公正取引協議会連合会の公正競争規約を参考に定められています。項目が揃っていなくても全国版への掲載は認められていますが、消費者保護のため掲載後も不足情報の収集に努めることが必要とされています。自治体によっては、対象となる空き家等に独自ルール(補助金や税制優遇・耐震要件等)を設けている場合があります。全国版バンクから各自治体サイトへリンクが張られているので、詳細な条件は必ず確認するようにして下さい。

 ちなみに、全国版バンクは各自治体の空き家バンクの登録情報をまとめて見るためのものであり、現行の各自治体バンクがなくなることはありません。契約までの手続きは各自治体で異なることがあり、不動産会社に物件の仲介を依頼する場合は仲介手数料が発生するため注意が必要です。

 モデル事業が終了する次年度以降は、他の民間事業者が運営に参加する可能性があり、空き家バンクを持たない自治体からの情報が増えることも考えられます。今後は各地の空き家・空き地の利活用を希望する消費者と、空き家の維持管理に悩む所有者をマッチングする機会が広がりそうです。空き家等の利活用に関心のある方、空き家等をお持ちでお困りの方は、全国版バンクに一度アクセスしてみて下さい。

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