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賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の完全施行について 賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設について

2021年8月11日

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国土交通省 不動産・建設経済局 参事官
 

vol.145で紹介したとおり、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図るため、マスターリース契約(サブリース業者と賃貸人(オーナー)との間の賃貸借契約)の適正化のための措置を講ずるとともに、賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保する「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)」が2020年6月19日に公布されました。
今回は、同法に基づき2021年6月15日に施行された「賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設」について、本法律の制定の背景を振り返りつつ、ご紹介をします。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」制定の目的

社会経済情勢の変化に伴い国民の生活の基盤としての賃貸住宅の役割の重要性が増大していることに鑑み、賃貸住宅の入居者の居住の安定の確保及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施を図ることを大きな目的としています。具体的には、賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保するとともに、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の適正化のための措置等を講ずることにより、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図ることで、国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とします。

【図1】賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

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【図1】賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

賃貸住宅管理業登録制度の概要

賃貸住宅管理業登録制度は、賃貸住宅の入居者の居住の安定の確保及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施を図るため、創設されました。
賃貸住宅管理業者は、管理戸数が一時的にでも200戸を超える見込みがある場合、法施行後1年以内(2022年6月15日まで)に登録の申請を行う必要があります。国土交通省としては、管理戸数が200戸未満であっても、法に沿ったルールを遵守することが、管理業者とオーナーとの間のトラブルの未然防止に繋がることから、賃貸住宅管理業の登録を受けることを推奨しています。
なお、サブリース事業者についても、マスターリース契約や付随する契約の中で、オーナーに代わって賃貸住宅の維持保全の実施・手配を行うことについて委託を受けているような場合には、賃貸住宅管理業者として登録を受ける必要があります。

国土交通大臣の登録を受けた賃貸住宅管理業者に対しては、「業務管理者の配置」、「管理受託契約締結前の重要事項説明」、「財産の分別管理」、「定期報告」等が義務付けられています(図2)。この義務付けは、法施行後1年以内に登録の申請を行う必要がある賃貸住宅管理業者に対しては、未登録期間中も課せられます。なお、法施行後1年以内に登録の申請を行うまでの間は、営業所もしくは事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者が業務管理者とみなされます。

【図2】賃貸住宅管理業登録制度のポイント

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【図2】賃貸住宅管理業登録制度のポイント

賃貸住宅管理業への今後の取り組み

国土交通省としては、賃貸住宅管理に関するトラブル防止や入居者の居住の安定の確保はもとより、業界が住まいに関する多様なニーズに応え、国民に信頼されるよう健全に発展していくことを期待しています。
今後、国民のくらし方・働き方・価値観の変化や、空き家問題などの課題に対し、ライフステージに応じた生活基盤、良質な住宅ストックの形成という国民生活の基盤を支えるために不可欠な産業として、賃貸住宅管理業は、大変重要な役割を担うことになります。
賃貸住宅の入居者の居住の安定の確保及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施を図るため、今後とも関係行政機関、事業者団体等と緊密に連携しながら取り組みを推進してまいります。

※執筆の内容は、2021年7月末時点によるものです。

国土交通省


詳しくは、国土交通省ホームページ「賃貸住宅管理業」を参照ください。

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