トップ国土交通省・最新の動き>VOL.7 平成21年度の住宅税制について(1)

国土交通省・最新の動き今までの掲載記事

平成21年度の住宅税制について・過去最大規模の住宅ローン減税や住宅取得等のための贈与税の軽減措置を新設

2009年7月31日

Interview
国土交通省 住宅局
取材:住宅ジャーナリスト 山本久美子氏

平成21年度の住宅税制には、様々な減税措置が盛り込まれています。また、経済危機対策として住宅取得等を支援する減税措置が追加されたことで、住宅取得等に関する優遇策がさらに充実しました。
税制改正法が成立したことを受けて、詳しい内容を住宅税制関係のご担当者にお聞きしました。今回は、vol.7・vol.8と2回に分けて紹介します。

500万円までの贈与税の非課税枠を創設

――平成21年度の住宅税制については、数多くの減税措置が盛り込まれましたが、その背景についてお聞かせください。

標準的なサラリーマンの方に無理のない負担で住宅が購入できるように支援すること、住宅価格の上昇や景気低迷を受けて、住宅の販売戸数や契約戸数が減少する中、経済効果の大きい住宅投資を促進すること、良質な住宅投資に対する支援を拡充することなどを目的として、様々な住宅減税が盛り込まれました。

――税制改正法などが6月26日に公布され、正式に決定した「500万円までの贈与税の非課税措置」について、詳しくお教えください。

4月10日に発表された「経済危機対策」に、住宅取得等のための贈与税の軽減措置融資制度の拡充策※1が盛り込まれました。贈与税について具体的には、平成21年1月1日に遡って来年12月31日までの時限措置として、20歳以上の方が直系尊属である父母・祖父母などから住宅取得等に充てるための金銭の贈与を受けた場合、500万円まで贈与が非課税となるものです。

※1
平成21年度の融資制度の拡充策については、当サイトの「不動産トピックス」6月17日配信で詳しく説明しています。

――実際に適用を受ける場合の賢い利用方法や注意点などがあれば、お教えください。

住宅取得等に関する贈与税については、暦年課税制度」と「相続時精算課税制度※2という制度があります。今回の贈与税の軽減措置は、いずれの制度とも併用することができるのです。通常は暦年課税制度が適用され、基礎控除額の110万円+500万円=610万円までが非課税になります。相続時精算課税制度を選択した場合は、住宅取得等であれば非課税枠3500万円+500万円=4000万円までは贈与税がかかりません。
また、贈与税の軽減措置は住宅購入資金としてだけでなく、建築資金やリフォームまで幅広く利用できるので、選択肢の中から自分に適したものを上手に利用していただきたいと思います。

※2
:各制度の詳しい説明は、当サイトの「住まいの税金」買う2.住まいを買うときの贈与にかかる税金の「2-1. 贈与税(暦年課税制度)」・「2-2. 相続時精算課税制度」を参照してください。

住宅取得等のための贈与税の軽減措置

概要 20歳以上の者がその直系尊属(父母、祖父母など)から住宅の取得などに充てるための金銭の贈与を受けた場合には、500万円まで贈与税を非課税とする。
適用期間 平成21年1月1日から平成22年12月31日まで

※暦年課税制度と相続時精算課税制度の双方と併用可能

過去最大規模の住宅ローン減税

――今回の住宅税制の目玉は、過去最大規模といわれている住宅ローン減税ですが、詳しい内容をお教えください。

昨年度までの住宅ローン減税※3では、最大控除額が160万円でした。今年度から長期優良住宅であれば、最大控除額は600万円と約4倍にアップします。
長期優良住宅は、この6月4日に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅普及促進法)」に基づく所管行政庁の認定を受けた住宅のことです。耐震性や省エネ性、バリアフリー性など様々な基準をクリアした優れた性能が求められます。
今回の住宅ローン減税では、一般住宅と長期優良住宅に分けて控除率などを設定している点も大きな特徴です。いずれも控除期間は10年ですが、居住年によって控除率や最大控除額が変わります。一般住宅の場合、2009年・2010年に居住を開始する場合、最大控除額が500万円になります。長期優良住宅の場合は、一般住宅よりも控除率が高く、最大控除額が600万円までと高くなります。

※3
:住宅ローン減税については、当サイトの「住まいの税金」買う3.住宅ローン控除など「3-1. 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」にも詳しい説明があります。

――今回の住宅ローン減税は、所得税だけでなく住民税からの控除もありますね。

平成19年1月に、国税である所得税から地方税である個人住民税へ税源移譲が行われました。これによって、多くの方は所得税が減って個人住民税が増えました。そこで、所得税で住宅ローン減税の控除額がカバーできない場合は、個人住民税も控除の対象に加えることができるようになりました。翌年の個人住民税から最高9万7,500円までが控除可能となります。

住宅ローン減税

居住年 控除対象
借入限度
控除期間 控除率 最大控除額
一般住宅
平成21年 5,000万円 10年 1.0%; 500万円
平成22年 5,000万円 10年 1.0% 500万円
平成23年 4,000万円 10年 1.0% 400万円
平成24年 3,000万円 10年 1.0% 300万円
平成25年 2,000万円 10年 1.0% 200万円
長期優良住宅
平成21年 5,000万円 10年 1.2% 600万円
平成22年 5,000万円 10年 1.2% 600万円
平成23年 5,000万円 10年 1.2% 600万円
平成24年 4,000万円 10年 1.0% 400万円
平成25年 3,000万円 10年 1.0% 300万円

※本来控除されるべき所得税額が控除しきれなかった場合、残額は最高9万7,500円まで住民税から控除される

→ VOL.8に続く

※インタビューの内容は、2009年6月時点の取材によるものです。
※住宅税制の図表は、国土交通省の資料を参考に取材者が作成したものです。

国土交通省


平成21年度の住宅税制については、国土交通省のホームページで詳しく説明されていますので、「住宅税制について」をご覧ください。

ページトップ