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平成21年度の住宅税制について(2)・新しい投資型減税も導入し、長期優良住宅やリフォームも減税で支援

2009年7月31日

Interview
国土交通省 住宅局
取材:住宅ジャーナリスト 山本久美子氏

平成21年度の住宅税制には、様々な減税措置が盛り込まれています。また、経済危機対策として住宅取得等を支援する減税措置が追加されたことで、住宅取得等に関する優遇策がさらに充実しました。
税制改正法が成立したことを受けて、詳しい内容を住宅税制関係のご担当者にお聞きしました。今回は、vol.7・vol.8と2回に分けて紹介します。

長期優良住宅に特別控除を創設

――平成21年度住宅税制では「投資型減税」と呼ばれる減税がいくつかありますが、どういったものでしょうか?

馴染みがない言葉で分かりづらいかもしれませんね。これまでの所得税控除は「ローン型減税」、つまりローンの返済をしている方が対象でした。これに対し、ローンを利用しない方でも対象となる減税措置を「投資型減税」と呼んでいます。減税の対象を広げ、多くの方に活用してもらうための対応策です。

――長期優良住宅で投資型減税が創設されたそうですが……。

長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除※4です。控除の対象となるのは、長期優良住宅にする上で性能を強化するためにかかった費用で、その10%が控除額となります。

※4
:長期優良住宅の特別控除については、当サイトの「住まいの税金」買う3.住宅ローン控除など「3-2. 認定長期優良住宅を新築等した場合の所得税の特別控除」にも詳しい説明があります。

長期優良住宅の特別控除

控除率 長期優良住宅にするための性能の強化に必要な費用(1,000万円まで)の10%を所得税額から控除
※性能強化費用は標準的な性能強化費用に床面積を乗じて算出
最大控除額 100万円(控除しきれない額は、翌年の所得税額から控除)
適用期限 長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行の日(平成21年6月4日)から平成23年12月31日まで

※住宅ローン減税とは選択制

リフォームも減税により支援

――省エネやバリアフリーのリフォームをした場合にも、投資型減税※5が創設されました。その概要についてお教えください。

省エネ、バリアフリーに関するリフォームをした場合、いずれも工事費用が30万円以上などの条件がありますが、工事費用の200万円までを対象として、その10%が控除額になります。(省エネ改修で併せて太陽光発電装置を設置する場合は、300万円までが限度額)
省エネ改修工事では、すべての居室の窓全部を改修する工事や、併せて行う床、天井、壁の断熱工事、太陽光発電装置設置工事が対象。バリアフリー工事では、廊下の拡幅、階段の勾配の緩和などの改修が対象になります。

※5
:省エネ、バリアフリー改修の投資型減税については、当サイトの「住まいの税金」買う3.住宅ローン控除など「3-3. 既存住宅にかかわる特定の改修工事をした場合の特別控除」にも詳しい説明があります。

――省エネやバリアフリーのリフォームでは、これまでも促進税制がありました。いずれも延長が決まりましたが……。

省エネ、バリアフリーに関するリフォーム工事については、従来からローン型減税が講じられてきましたが、いずれも5年間延長されました。また、耐震改修工事については、投資型減税が5年間延長されました。延長された減税措置も合わせると、住宅に関する優遇税制の選択肢が広がりました。したがって、どの制度を利用するのか、どう組み合わせるのかなどが重要なポイントになります。

――これらの減税制度では、どちらかしか選べない制度もあれば、重ねて利用できる制度もあるということですね。ほかに注意すべき点などがあるでしょうか?

いずれも確定申告が必要です。控除期間内であること、必要な条件を満たすこと、自分で確定申告をすることで、所得税が還付されますので、これらのポイントをよく押さえていただきたいです。

所得税の控除

投資型減税 ローン型減税
耐震 一定の耐震改修工事を行った場合
A  
適用期限 平成18年4月1日~
平成25年12月31日
控除期間 1年
工事を行った年分のみ適用
控除率 耐震改修工事費用(200万円まで)の10%
バリアフリー 一定のバリアフリー改修工事を行った場合
B新設 D バリアフリー改修促進税制
適用期限 平成21年4月1日~
平成22年12月31日
適用期限 平成19年4月1日~
平成25年12月31日
控除期間 1年
原則、工事を行った年分のみ適用
控除期間 5年
控除率 バリアフリー改修工事費用(200万円まで)の10% 控除率 一定のバリアフリー改修工事部分(200万円まで)
2%
上記以外の工事部分(800万円まで) 1%
省エネ 一定の省エネ改修工事を行った場合
C新設 E 省エネ改修促進税制
適用期限 平成21年4月1日~
平成22年12月31日
適用期限 平成20年4月1日~
平成25年12月31日
控除期間 1年
工事を行った年分のみ適用
控除期間 5年
控除率 省エネ改修工事費用(200万円まで、併せて太陽光発電装置を設置するときは300万円まで)の10% 控除率 一定の省エネ改修工事部分(200万円まで)
2%
上記以外の工事部分(800万円まで) 1%
F 住宅ローン減税 ※前画面参照
※併用可能なパターンは(AB)(AC)(BC)(ABC)(AD)(AE)(DE)(ADE)(AF)、ただし(BC)の併用は合計で最大控除額20万円、併せて太陽光発電装置を設置する場合は30万円、(DE)の併用は合計で控除対象限度額 2%:200万円・全体:1,000万円

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※インタビューの内容は、2009年6月時点の取材によるものです。
※住宅税制の図表は、国土交通省の資料を参考に取材者が作成したものです。

国土交通省


平成21年度の住宅税制については、国土交通省のホームページで詳しく説明されていますので、「住宅税制について」をご覧ください。

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