トップ>不動産トピックス>「フラット50」の適用開始、「フラット35」も制度を拡充
住宅金融支援機構では、6月4日以降に資金を受け取る利用者に対して、返済期間を最長50年間とする「フラット50」の適用を開始。また、平成21年度の補正予算成立に伴う経済危機対策として、融資率の上限を9割から10割へ引き上げるなど、「フラット35」の制度も拡充した。
「フラット50」は、長期優良住宅※の認定を受けた住宅について、返済期間を最長50年間にできるもの。借入可能額は、建設費または購入価額の6割以内(上限6,000万円)だが、「フラット35」と併せて利用することで、10割を借り入れることもできるようになった。
なお、「フラット50」は平成21年6月4日以降の資金受け取り分から適用されるが、「フラット35」を取り扱うすべての金融機関で利用できるわけではなく、かつ金融機関によって取り扱い開始日が異なるので、注意が必要となる。
※ 長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(平成21年6月4日施行)
によって認定される。
政府の「経済危機対策」により、従来から取り扱っている返済期間が最長35年の固定金利型住宅ローン「フラット35」も、利用しやすくなった。これまで住宅ローンの借り換えには利用できなかったが、今後は利用できるようになるほか、建設費・購入価額の10割(これまでは9割以内)まで融資が受けられるようになったり、当初一定期間の金利を優遇する「フラット35S」が長期優良住宅の認定を受けた住宅に対して当初20年間適用されるようになるなど、制度の拡充が図られた。
今回の制度変更の内容をまとめると、図1のようになる。住宅金融支援機構・広報グループによると、自己資金が不足していたり、今後の教育費などの出費に備える必要がある20~30代などの若い世帯で、住宅ローンの利用方法が広がると見ているという。例えば、長期優良住宅の認定住宅を建てたり買ったりした場合、フラット35だけを利用する方法に加え、フラット50とフラット35を組み合わせて利用することができるようになる(図2)。返済例を比べると、当初の返済額で毎月9,000円程度の違いが出るため、当初は返済額を抑え、子どもの独立後に繰り上げ返済などで返済期間を短縮する、といった資金計画も考えられるようになる。「将来子どもに良質な住宅を残したいという若い世代に、フラット50の利用が広がることを期待しています」(広報グループ)とのことだ。
図1:「フラット35」の制度拡充
(1) | 長期優良住宅の認定住宅で、最長返済期間50年の「フラット50」を開始 |
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(2) | 借入可能額の割合を引き上げ(フラット35) |
(3) | 融資の対象となる諸費用の範囲を拡大(フラット35) |
(4) | 優遇金利(フラット35S)を当初20年間適用 |
(5) | 住宅ローンの借り換えへの利用が可能に |
※ (1)~(4)は、平成21年6月4日以降の資金受取者から、(5)は平成21年6月4日以降の取り扱い金融機関への申込者が対象となる。
※ (4)については、平成24年3月31日までの時限措置。募集金額に達する見込みとなったときは、受付を終了する。
※住宅金融支援機構 プレスリリースを基に抜粋して作成
図2:新制度を利用した返済例(試算)
○フラット35のみを利用した場合
借入額 | 返済期間 | 金利 | 当初20年間 | 21年目~30年目 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
適用金利 | 毎月返済額 | 適用金利 | 毎月返済額 | ||||
フラット35(S※) | 3000万円 | 30年 | 3.0% | 2.7% | 12万1679円 | 3.0% | 12万3440円 |
○フラット50とフラット35を組み合わせて利用した場合
借入額 | 返済期間 | 金利 | 当初20年間 | 21年目~30年目 | 31年目~45年目 | ||||
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適用金利 | 毎月返済額 | 適用金利 | 毎月返済額 | 適用金利 | 毎月返済額 | ||||
フラット50(S※) | 1800万円 | 45年 | 3.6% | 3.3% | 6万4033円 | 3.6% | 6万6129円 | 3.6% | 6万6129円 |
フラット35(S※) | 1200万円 | 30年 | 3.0% | 2.7% | 4万8671円 | 3.0% | 4万9377円 | ― | ― |
計 | 3000万円 | ― | ― | ― | 11万2704円 | ― | 11万5506円 | ― | 6万6129円 |
※ いずれの場合も、長期優良住宅の認定を受けた住宅で、当初20年間の金利を年0.3%優遇する「20年優遇タイプ」を利用した場合、
金利はフラット35を3.0%、フラット50を3.6%と想定して試算。モデルタイプは30代前半のファミリー世帯とする。
※住宅金融支援機構・広報グループの試算によるもの