トップ>不動産トピックス>新耐震以降、軽い屋根が増加。屋根が重いほど耐震性は低くなる
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)はこのたび、「木耐協調査データ」(平成28年8月31日発表)を発表した。恒例の住宅(木造在来工法)の耐震診断に関する結果分析に加え、今回は、平成18年4月1日~平成28年6月30日に木耐協で耐震診断を実施した人のうち、耐震診断結果の詳細が把握できている2万4,486棟(対象住宅は、昭和25年~平成12年5月までに着工された2階建て以下の木造在来工法)について、建築年を5年ごとに区切り、その期間ごとに屋根の重さ(仕様)別の割合と、耐震性の変化をまとめている。ここでは、屋根の重さ※と木造住宅の耐震性との関係について紹介する。
※「屋根の重さ」は、(一社)日本建築防災協会の規定による「軽い建物:石綿スレート板、鉄板葺」「重い建物:桟瓦葺」「非常に重い建物:土葺瓦屋根」の3段階に設定。
築年数別に屋根の重さを見ると、昭和51~55年に建築された住宅(4,937戸)では、「非常に重い」が14.71%、「重い」が59.57%、「軽い」が25.72%という割合だったが(図1)、平成8~12年に建築された住宅(2,100戸)では、「非常に重い」が4.00%、「重い」が29.29%、「軽い」が66.71%となっており、「新耐震以降、軽い屋根の割合が増加している」ことが分かった。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木耐協調査データ」(平成28年8月31日発表)
屋根の重さと、評点(耐震性)との関係を見ると、「軽い」(8,563戸)の平均評点は0.679、「重い」(1万2,480戸)では0.524、「非常に重い」(3,443戸)では0.415と、「屋根が重くなるごとに耐震性が2割低くなる」結果となった。建築された年代別に見ても、どの年代でも「屋根が重いほど耐震性が低い」という同様の傾向が見られる(図2)ため、木耐協では「築年数に限らず、瓦や土葺瓦等の重い屋根の住宅に住んでいる人は、耐震診断を行い住宅の耐震性を確認する必要性がより高いといえる」と見ている。また、「住宅の屋根を軽い材質に葺き替える(屋根の軽量化)ことが、耐震性が向上する効果的な方法である、ということが読み取れる」ともしている。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木耐協調査データ」(平成28年8月31日発表)