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建物評価手法の改善について 「既存住宅価格査定マニュアル」の改訂、 「既存戸建住宅の評価に関する留意点」の策定について

2015年10月14日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課・地価調査課
 

中古戸建て住宅の流通市場における「築後20年から25年程度で一律に市場価値がゼロになる」とされる取引慣行を改善し、住宅の性能やリフォームの状況等を的確に反映した評価がなされるよう、国土交通省では平成26年3月に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」(以下、「本指針」)を策定しました。(図1参照)

公益財団法人不動産流通推進センターでは、本指針の策定を受けて、宅地建物取引業者が行う価格査定において用いる「既存住宅価格査定マニュアル」を改訂しました。また、国土交通省では、不動産鑑定士が行う鑑定評価において実務上留意すべき内容として「既存戸建住宅の評価に関する留意点」を策定しました。今回はこの2点の内容について紹介します。

図1 本指針の考え方
図1 本指針の考え方
本指針についてはVol.65参照

「既存住宅価格査定マニュアル」の改訂について

本指針の考え方を反映し、以下の点を中心として公益財団法人不動産流通推進センターにおいて、「既存住宅価格査定マニュアル」を改訂しました。
(1)住宅を構成する部位の特性(材料の性質、劣化要因、リフォーム頻度や一体としてリフォームを行う単位等)に応じた区分(基礎・柱等の構造と内外装・設備の区分等)を行い、それぞれの部位の特性に応じた評価を行います。
(2)基礎・柱等の構造の耐用年数は性能に応じて20年より長く評価し、維持管理状態やインスペクション結果等を評価に反映します。
(3)リフォームの実施有無を内外装・設備の評価に反映します。
また、宅地建物取引業者の査定実務における価格査定マニュアルの普及・定着のために、利用が容易なシステム構成にした上で、Web上での査定サービスの提供を開始しました。(図2参照)
さらに、売却希望者の方向けに宅地建物取引業者が「不動産売却価格ご提案書」をダウンロードできるように改訂しています。

図2 価格査定マニュアル入力画面
図2 価格査定マニュアル入力画面
 詳しくは、当サイト「話題の不動産キーワード」Vol.26「建物評価手法の改善」及び、
公益財団法人不動産流通推進センター「価格査定マニュアル」を参照ください。

不動産鑑定評価における
「既存戸建住宅の評価に関する留意点」の策定について

国土交通省では、不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行う際の統一的基準である「不動産鑑定評価基準」を定めています。今回策定した「既存戸建住宅の評価に関する留意点」は、既存戸建住宅の鑑定評価を行うに当たり、「不動産鑑定評価基準」を補足するものとして、実務上留意すべき内容をとりまとめたものです。
具体的には、既存戸建住宅の評価を行うに当たって、建物の性能やリフォームの状況等を的確に把握し、評価に適切に反映することを求めています。(図3参照)

図3 原価法の適用における留意点のポイント
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図3 原価法の適用における留意点のポイント

「既存戸建住宅の評価に関する留意点」は、国土交通省HPで公表しています。

※執筆の内容は、2015年9月時点によるものです。

国土交通省


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