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都市の低炭素化の促進に関する法律にもとづく低炭素建築物認定制度について・都市の低炭素化を促進していくための低炭素建築物に係る認定制度を制定

2013年2月13日

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国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

東日本大震災を契機としてエネルギーの需給が変化し、国民のエネルギー利用や地球温暖化問題に関する意識が高まっている中、低炭素・循環型社会の構築を図り、持続可能で活力ある国土づくりを推進することは重要な課題です。
民生部門(家庭部門及び業務部門)における二酸化炭素の排出量は他部門に比べて大幅に増加している状況にあり、その約7割は建築物の駆体や設備に関連するものとなっています。建築物の省エネルギー性能は、民生部門の二酸化炭素の排出量に長期にわたって大きな影響を与えるものでもあるため、都市の低炭素化を促進する上で、都市の基礎的な構成要素である建築物の低炭素化を一層促進することは非常に重要です。
このため、地域における都市機能の集約やそれと連携した公共交通機関の利用促進、建築物の低炭素化等の施策を講じることによる成功事例の蓄積・普及を目的とした、「都市の低炭素化の促進に関する法律」が平成24年9月5日に公布され、平成24年12月4日に施行されました。今回は「都市の低炭素化の促進に関する法律」にもとづく低炭素建築物認定制度の概要についてご紹介いたします。

都市の低炭素化の促進に関する法律の概要

本法律は、人口や建築物が集中し活発な社会経済活動が行われている市街化区域及び非線引き都市計画区域内の用途地域(以下「市街化区域等」)において、低炭素化を促進していくための環境を整備するため、以下の2つを柱としています。

  • (1)まち全体としての低炭素化を促進していくための「低炭素まちづくり計画制度」
  • (2)都市の基礎的な構成要素である建築物の低炭素化を促進していくための低炭素建築物の認定制度
低炭素建築物に係る認定制度の概要

市街化区域等内において、二酸化炭素の排出抑制のための措置が講じられた建築物の新築等をしようとする者は、低炭素建築物新築等計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができ、申請を受けた所管行政庁は、低炭素建築物新築等計画が、設備の省エネ性能をはじめとする建築物の低炭素化を促進するための基準に適合するときは、計画を認定することとしています。
認定を受けた場合には、低炭素化に資する設備等の設置のために増加する床面積分について、一定の容積率緩和を受けることができるほか、別途、平成24年度税制改正により、認定を受けた新築住宅については、住宅ローン控除の優遇措置等の税制上の支援措置を講ずることとしています。
→ 税金の優遇措置については、「住まいの税金(買うときにかかる税金)」を参照
・認定低炭素住宅の住宅ローン控除について
・認定低炭素住宅の登録免許税について

低炭素建築物の認定基準の概要

低炭素建築物の認定基準においては、一次エネルギー消費量を代替指標として住宅・建築物の低炭素化を定量的に評価し、省エネルギー法に基づく省エネルギー基準を超える性能(一次エネルギー消費量が△10%以上)を求めることを基本としています。これに加え、法律や基本方針の趣旨を踏まえて取り組む措置を選択的項目として定めています。なお、省エネルギー基準と同等以上の断熱性能を確保することも要件とします。

低炭素建築物認定基準の概要   図をクリックすると拡大表示されます
低炭素建築物認定基準の概要

(1)定量的評価項目
定量的評価項目としては、外皮性能に関する項目と一次エネルギー消費量に関する項目について基準が設けられています。外皮性能に関しては、現行省エネ基準と同等の水準を求めるとともに、一次エネルギー消費量に関しては、評価対象となる住宅において、① の共通条件の下、②設計仕様(設計した省エネルギー手法を加味)で算定した値(設計一次エネルギー消費量)が、③基準仕様で算定した建築設備(暖冷房、換気、照明、給湯)に係る一次エネルギー消費量に0.9を乗じ、家電または事務機器等に係る一次エネルギー消費量を足した値(基準一次エネルギー消費量)以下となることを基本としています。

一次エネルギー消費量による基準の概要   図をクリックすると拡大表示されます
一次エネルギー消費量による基準の概要

(2)選択的項目
加えて、法律や基本方針の趣旨に鑑み、推進すべき低炭素化に資する以下の8項目のうち、2項目以上に該当することを条件としています。また、上記に該当しない場合でも、所管行政庁が標準的な建築物と比べ低炭素化に資する建築物であると認める場合には対象となります。

  • (1)節水に資する機器を設置している。
  • (2)雨水、井水又は雑排水の利用のための設備を設置している。
  • (3)HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)またはBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を設置している。
  • (4)太陽光等の再生可能エネルギーを利用した発電設備及びそれと連携した定置型の蓄電池を設置している。
  • (5)一定のヒートアイランド対策を講じている。
  • (6)住宅の劣化の軽減に資する措置を講じている。
  • (7)木造住宅もしくは木造建築物である。
  • (8)高炉セメントまたはフライアッシュセメントを構造耐力上主要な部分に使用している。

国土交通省としては、本認定制度の円滑な運用、活用の促進を図るとともに、引き続き、法律、予算、税制等の政策手段を活用して、住宅・建築物の省エネ性能の向上に取り組んでまいります。

※執筆の内容は、2013年1月末時点によるものです。

国土交通省


詳しくは国土交通省「低炭素建築物認定制度 関連情報」参照


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