トップ住まいのトラブル相談室トラブル事例集契約・解約、更新に関するトラブル
契約は済ませたものの、1週間後、引っ越しをする前に家庭の事情で解約をすることになってしまいました。まだ入居していませんし、契約費用や仲介手数料を返してほしいと不動産会社に言ったものの、返せないと言われてトラブルになっています。
契約自体は締結されていますから、契約時に貸主に支払った礼金、不動産会社に支払った仲介手数料が返還される可能性は、少ないと考えたほうがよいでしょう。
家賃の扱いについては、契約書を見直して、契約内容を確認してみましょう。前家賃は、契約日から次の家賃支払日までの家賃を支払うものです。(契約日が家賃支払日に近い場合は、次々回の家賃支払日までという場合もあります。)一方、契約書に定めた解約予告期間分の家賃支払いが必要な場合も考えられます。既に支払った前家賃がある場合は、解約に伴い支払うべき家賃に充当して過不足があるかを確認しましょう。
また、敷金は、借り主の家賃滞納や故意・過失などによる賃借物件の損耗などに伴う損害を賠償するために、貸主に預けるものです。入居前で家賃滞納、損耗が考えられない状況であれば、敷金は全額返還されると考えられます。もし不動産会社と敷金返還にかかわる話し合いが不調な場合は、不動産会社を管轄する都道府県の部署(自治体によって担当部署名が異なります)の窓口で相談してみましょう。(相談窓口については「住まいの相談窓口」を参照。)
礼金、敷金をそれぞれ家賃の2ヶ月分、さらに仲介手数料、前家賃、損害保険料などを入れると家賃半年分ほどになるので、とても事前に用意できません。親に頼むなどして契約の当日に持参すると言ったら、事前に払い込まなければ契約できないといわれました。契約できなければ住む場所がなくなるので、困っています。
一般的には、契約書に記載がなされ、その契約条項に従って必要となる費用なので、契約時に費用を持参することで問題はないでしょう。契約時の初期費用を事前に支払う義務はありませんので、貸主と契約までの手続きをしっかりと調整しましょう。
借りようと思っているマンションの契約条件を、契約直前になって見直したところ、契約書に「賠償責任保険に加入しなければならない」と記載されていました。この場合は、保険に加入しないと契約ができないということでしょうか。また、勤務先の関係で割引のある保険に入りたいのですが、不動産会社が決めた保険でないといけないのでしょうか。
契約の条件として、借家人賠償責任保険などへの加入を義務づけている場合には、借り主は保険に加入しなくてはいけません。ただし、一般的に、加入する保険について具体的な定めがない場合は、保険に加入をする義務はあっても、どの保険に加入するかについては不動産会社に従う義務はなく、自分で選択できます。その際、注意しておかなくてはいけないのは保険会社、保険の種類によって保険の内容が異なるという点です。具体的には、以下のような保険がありますので、貸主が加入の条件としている内容を満たしているかどうかを不動産会社、貸主に確認の上、加入するようにしましょう。
また、今住んでいるマンションを契約した時に加入した保険に残存期間がある場合には、次の住まいでも保険の適用を受けられる場合もありますので、保険会社に問い合わせをしてみましょう。
賃貸マンションに子供と居住しているが、子供が床に物を落としたり、走り回る音がうるさいと階下の居住者から再三、言われていました。そして、管理をしている不動産業者から、契約の更新はできないと言われました。出ていかなければならないのでしょうか。
子供の出す騒音の程度が、契約解除の原因になるようなものでなければ、賃貸契約は、法定更新されるので、出ていく必要はないと考えられます。ただし、マンション生活を営む者のマナーとして、こうした騒音を防止するような対策は必要と考えられます。
部屋の賃貸契約期間中に、保証人である父が他界したのですが、そのことを大家さんに伝えないといけないのでしょうか。
契約書面に「亡くなるなど、保証人が何らかの理由でいなくなった場合に、新しい保証人を立てること」という内容の特約が盛り込まれていない場合、新たな保証人を立てる法的な義務は生じません。そのため保証人の死亡を理由に契約を解除されることはないでしょう。しかし契約更新の際に保証人が死亡していたことが発覚し、トラブルになる事例もありますので、保証人の死亡については賃貸人(大家)に報告することをおすすめします。
転勤で地方に住んでいた大家さんの息子夫婦が帰ってきて、私が借りている家に住むから、賃貸契約を更新しないと言われました。
賃貸契約の解除、更新の拒否については、契約期間満了の6カ月から1年前に通達しなければ無効となります。さらに正当な事由がなければ成立しません(「普通借家契約と定期借家契約」を参照)。一般的に正当事由を満たす条件は厳しく審査され、どのようなケースであっても、確実に認められるものではないとされています。
例えば「家族が病気だが、自宅が狭小で受け入れ余地が無く、看病するためにそこに住まわせたい」「建物が老朽化し、これ以上生活を続けると賃借人に危険が及ぶ状態である」などの条件であれば、正当事由と判断される可能性があります。
つまり「息子夫婦を住まわせたい」というだけでは、契約更新しない理由として不十分でしょう。しかし十分な立退料を支払うことや、適切な移転先を提供することで正当な事由とされることもあります。
賃借人は賃貸契約を更新できないと困る理由を整理し、賃貸人(大家)に提示したうえで交渉に臨むことで、不利な条件で立ち退くリスクを回避しやすくなります。もし交渉で折り合いがつかない場合には、不動産会社を管轄する都道府県の部署(自治体によって担当部署名が異なります)の窓口に相談しましょう。(相談窓口については「住まいの相談窓口」を参照)