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「高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドライン」について ヘルスケアリート創設の環境整備としてガイドラインを公表

2014年9月10日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課
 

高齢化の進展に伴い、ヘルスケア施設の供給の拡大等が求められる中、ヘルスケアリート創設の環境整備として、国土交通省において、関係省庁(金融庁、厚生労働省)との連携の下、平成26年4月と6月に高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドライン検討委員会を開催し、「高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドライン」をとりまとめました。今回はその概要を紹介します。

ガイドラインの制定に至る背景・経緯

総人口が減少する一方で高齢者人口は、平成22年から平成32年の10年間で約700万人の増加、高齢者単身・夫婦世帯は、約280万世帯増加することが予測されています。一方、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合は欧米先進諸国と比べて相対的に小さく(平成17年0.9%)、政府の「住生活基本計画」(平成23年3月)において、同割合を平成32年に3~5%とする目標が掲げられています。

全高齢者における介護施設・高齢者住宅などの定員数の割合

出典:社会保障国民会議サービス保障(医療・介護・福祉)分科会(第8回)

また、米国等においてはヘルスケアリートが介護事業者の資金調達のひとつとなっていることや、今後日本においても証券化の対象となるヘルスケア施設の増加が予想される等の背景から、平成24年10月から平成25年3月にかけて国土交通省に「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会」が設置され、ヘルスケア施設の開発、取得等のための資金調達方法など不動産証券化に係る様々な検討が行われました。当該検討委員会の中でヘルスケアリートの重要性も指摘され、その活用の方向性が示されました。
上記検討委員会の設置の趣旨等については、当サイトvol.48を参照
上記検討委員会の取りまとめについては、当サイトvol.55を参照

日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)においては、「民間資金の活用を図るため、ヘルスケアリートの活用に向け、高齢者向け住宅等の取得・運用に関するガイドラインの整備、普及啓発等」が掲げられました。
当該閣議決定等を受け、ヘルスケアリートの活用に向けた環境整備について、具体的に検討する場として、関係分野の有識者で構成する「高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドライン検討委員会」を設置・開催しました。

ガイドラインの目的

高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドラインは、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第50条の2等に基づく取引一任代理等の認可申請等に際して整備すべき組織体制を示すとともに、ヘルスケア施設の取引に際し留意すべき事項を示すことを目的としています。

ガイドラインの概要
対象施設
サービス付き高齢者向け住宅
有料老人ホーム
認知症高齢者グループホーム
なお、病院については、平成26年度中に別途検討の上、ガイドラインを策定予定。
適用時期
平成26年7月1日
(現にヘルスケア施設を運用対象としている資産運用会社は平成26年10月1日、当該資産運用会社が新たなヘルスケア施設の取得を行う場合はその取得の日)
資産運用会社が整備すべき組織体制(認可要件)
次のいずれかにより、ヘルスケア施設の事業特性を十分に理解している者を配置又は関与させること。
a.一定の経験を有する重要な使用人の配置
b.外部専門家からの助言
c.投資委員会等への外部専門家の配置 等
ヘルスケア施設の取引に際し留意すべき事項
・利用者への配慮事項
ヘルスケアリートの仕組みの周知
ヘルスケア施設の適切な運営に係る関係法令や通知等の確認、及び行政指導等への対応確保
・その他
オペレータとの信頼関係の構築及び運営状況の把握
情報の収集及び開示
取引一任代理等の認可申請等における業務方法書への記載事項
利用者の安心感の確保
ヘルスケア施設の取引等への専門家等の関与方法

本ガイドラインの公表により整備すべき資産運用会社の組織体制や取引に係る留意事項が示されたことで、今後さらにヘルスケアリートの活用が促進されることが期待されます。

※執筆の内容は、2014年8月末時点によるものです。

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