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「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会」について・ヘルスケアリートの設立啓発に向けた環境整備を検討委員会の設置により検討

2012年11月14日

Report
国土交通省 土地・建設産業局 不動産市場整備課・不動産業課
 

設置の趣旨

現在、高齢者人口の増加等を背景に、高齢者住宅、有料老人ホーム、病院・診療所モール等の、いわゆるヘルスケア施設と呼ばれる施設の供給促進が重要な課題となっています。
米国においては、同様の環境の下、ヘルスケア施設を専門に長期保有する投資法人、いわゆる「ヘルスケアリート」が数多く存在しており、介護事業者の資金調達先のひとつとなっています。
リートとは、多くの投資家から資金を集めて「不動産」を購入し、そこから生じる賃料や売却益を投資家に配当(正確には分配)する商品のことで、上場リートの証券は一般の方でも購入することができます。このように投資法人が不動産を購入し投資家が証券として購入できるようになることを、一般的に「不動産の証券化」と言いますが、証券化するためには一定の投資規模や、建物の遵法性等の要件を満たす必要があります。
我が国においては、これまで投資規模が小さい施設が比較的多い等、証券化の対象となる物件が少なかった等の理由からヘルスケアリートは存在しませんでしたが、今後、多くのヘルスケア施設が作られる中で、証券化の対象となる物件も増加することが予想されます。そこで最終的な資金調達先であり長期保有者としての役割を担うヘルスケアリートが設立されることは、我が国の高齢化社会においても重要な意義を持つものと考えられます。
以上のような背景から、ヘルスケアリートの設立啓発に向けた環境整備について具体的に検討する場として、介護、医療、不動産、金融など幅広い関係者の参加する標記の委員会を設置いたしました。

図1:リートのしくみ
グラフ1:世代別の人口動態

図2:リート保有物件の用途の比較(日本・米国)
グラフ1:世代別の人口動態

検討委員会の議題

10月5日(金)に開催された第1回検討委員会では、不動産証券化事業者からヘルスケア施設の現状、証券化のニーズや課題などのヒアリングを行いました。
意見交換では、「ヘルスケア施設に関係する法律や制度の改正にリートの発行する証券の利回りが影響を受けることはないか」「医療法人、福祉法人等の、いわゆるオペレーターが支払える賃料と、投資家が求める賃料にギャップはないか」「施設の所有と運営を分離することにはメリットもデメリットもあるのではないか」「施設をリートが保有することにメリットもデメリットもあるのではないか」「実際に施設を利用する消費者にとってメリットよりもデメリットが大きいことはないか」など、各委員より様々な意見が出されました。

今後、関連事業者や投資家などへアンケートやヒアリングを行いつつ、ヘルスケアリート設立啓発に向けた課題を更に検討し、取りまとめる予定です。
こうした取り組みにより、今後国民の皆さまが安心して入居できるヘルスケア施設の供給促進に資することが期待されます。

※執筆の内容は、2012年10月末時点によるものです。

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