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2009年7月15日

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国土交通省 住宅局 住宅生産課 住宅瑕疵担保対策室
 

平成19年5月30日に公布された「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(以下、住宅瑕疵担保履行法)」は、今年4月1日から法律の一部が施行され、10月1日からはいよいよ本格施行となります。今回は、住宅瑕疵担保履行法について、ご担当者にご執筆をお願いしました。

新法成立の背景

新築住宅については既に平成12年4月施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、住宅品質確保法)」に基づき、売り主(分譲の場合)及び請負人(注文住宅の場合)に対して10年間の瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)を負うことが義務づけられています。
しかし、平成17年に構造計算書偽装問題が発覚し、こうした法制度だけでは消費者保護には不十分であり、売り主や請負人の財務状態によっては瑕疵担保責任が果たされない場合もあることが明らかになりました。このような背景から10年間の瑕疵担保責任の履行を実現するために、裏づけとなる資力確保を義務化する新たな法律として「住宅瑕疵担保履行法」が制定されることになりました。

瑕疵担保責任とは、契約の目的物に隠れたる瑕疵があった場合、売り主が買い主に対して負う責任のこと(詳しくは、当サイトの不動産基礎知識「売買契約の基礎知識」のポイント4「瑕疵担保責任について理解する」を参照)
法律の概要と目的

住宅瑕疵担保履行法は、建設業者及び宅地建物取引業者に対し、10年間の瑕疵担保責任の履行を可能とする資力の確保のため、一定の保証金の供託、保険への加入のいずれかを講じることを義務づけることを内容として、平成19年5月30日付で公布されました。
この法律は、瑕疵担保責任の履行を確実なものとすることによって、買い主や発注者の保護を図るとともに、円滑な住宅の供給を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。

資力確保の方法について

この法律によって、新築住宅の売り主または請負人が平成21年10月以降に新築住宅を顧客に引き渡す際には、「保証金の供託」または「保険への加入」が義務化されます。これにより万が一、売り主または請負人の倒産などにより瑕疵を補修できなくなった場合でも、保証金の還付または保険金により必要な費用が支払われます。
「特定住宅瑕疵担保責任」とは、住宅品質確保法で定められた新築住宅に関する「瑕疵担保責任」をいいます。これは新築住宅の買い主または発注者の保護のために、住宅のうち特に重要な部分について10年の瑕疵担保責任を義務づけるもので、特定住宅瑕疵担保責任を契約により買い主または発注者に不利な内容に変更することはできません。

供託義務は、住宅品質確保法で定められた10年間の瑕疵担保責任をカバーする必要から、基準日から過去10年にさかのぼり引き渡した新築住宅の戸数に応じて算定した額の保証金を法務局等に供託することを原則とします。
また供託を行わない場合には、保険により資力を確保する必要があります。具体的には国土交通大臣が指定した「住宅瑕疵担保責任保険法人(以下、指定保険法人)」との間で、瑕疵担保の履行等に対して保険金を支払うこととする保険契約を締結するものです。保険の利用にあたっては、事業者は保険に加入する際に、基礎工事や躯体工事などの施工段階で指定保険法人の検査を受ける必要があります。故意・重過失に起因する瑕疵に対しては、売り主や請負人が自ら瑕疵担保責任を履行することが原則ですが、倒産などにより履行されない場合には保険金の支払い対象となります。
また、新築住宅を引き渡す建設業者または宅地建物取引業者は年2回、供託や保険契約の締結状況を国土交通大臣または都道府県知事に対して報告する義務があります。国土交通大臣または都道府県知事は届け出の内容の真正性について確認を行い、事業者からの届け出がなされなかったり、届け出の内容に虚偽があった場合や届け出を行わずに新たな契約を締結した場合には、罰則等を科します。

紛争処理の体制について

住宅瑕疵担保責任保険が付された住宅の売り主や請負人とその買い主や発注者との間で、紛争が生じる場合が考えられます。紛争が生じた場合には、消費者保護の観点から、専門の紛争処理機関である「指定住宅紛争処理機関」において、適切かつ迅速な紛争処理が受けられる体制になっています。指定住宅紛争処理機関は、住宅品質確保法に基づいて住宅専門の紛争処理機関として国土交通大臣が指定した機関で、現在は全国の弁護士会が指定住宅紛争処理機関として、あっせん・調停・仲裁の業務を行っています。また、必要な技術的資料・研究のため「住宅紛争処理支援センター」がバックアップしています。

住宅瑕疵担保履行法の仕組み

※執筆の内容は、2009年6月時点によるものです。

国土交通省


もっと詳しく知りたい場合は、国土交通省の「住まいのあんしん総合支援サイト」から住宅瑕疵担保履行法に関する情報を入手してください。

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