トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.146 「安心R住宅」制度の実施状況について(2)
2021年1月13日
Vol.134で紹介したとおり、国土交通省では、既存住宅の流通を促進するため、消費者に対し基礎的な要件を備えた既存住宅に係る情報を提供する「安心R住宅」制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)を2018年4月1日から運用しております。今般、2020年4月から2020年9月における最新の実施状況を登録事業者団体に調査し、2020年11月27日に公表しましたので、制度開始からこれまでの制度の実施状況を含め、その内容について紹介します。
既存住宅流通の促進のためには、既存住宅の質の向上、適正な評価、安心して取引できる環境の整備等のこれまでの取り組みに加えて、「不安」「汚い」「わからない」といった従来のいわゆる「中古住宅」のイメージを払拭し、そういった既存住宅を消費者が選択できるようにすることが重要です。よって、本制度は、耐震性があり、インスペクション(建物状況調査等)の結果、構造上の不具合及び雨漏りが認められず、想定されるリフォームの内容・費用等について適切な情報提供が行われる既存住宅について、国が商標登録したロゴマークを事業者が広告時に使用することを認めるものです(図1)。
【図1 「安心R住宅の概要」】
「安心R住宅」の標章を使用することができる事業者は、国から標章使用許諾の登録を受けた事業者団体の構成員です。よって、「安心R住宅」を探すためには、まず国から登録を受けた事業者団体を調べた上で、事業者が構成員であるか確認する必要があります。国土交通省のHPでは、国から登録を受けた事業者団体を公開しています。なお、2020年も新規登録が3団体あり、登録を受けている事業者団体数は、2020年12月末時点で12団体に増えています(図2)。
【図2 「安心R住宅」の登録団体一覧】
今般、登録事業者団体の実施状況(安心R住宅調査報告書の提出件数)を調査したところ、市場で流通している「安心R住宅」(広告に標章が使用される等)は、2020年4月1日から2020年9月30日において、635 件(リフォーム済:557件、リフォーム提案:78件)、制度開始からの累計は3,325 件(リフォーム済:2,941件、リフォーム提案:384件)でした(図3)。
また、年度としての流通量は、2018年度が1,266件(リフォーム済:1,139件、リフォーム提案:127件)、2019年度が1,424件(リフォーム済:1,245件、リフォーム提案:179件)となっており、増加しています(図4)。
【図3 「安心R住宅」制度の実施状況】
【図4 「安心R住宅」制度の実施状況(2018年度、2019年度)】
2018年度から2019年度にかけ、「安心R住宅」の流通量は確かに増えていますが、既存住宅流通量全体に占める割合は低い水準になっています。また、既存住宅流通量自体も未だ低い水準にとどまっていることから、「安心R住宅」制度のより一層の周知を含め、これからも引き続き既存住宅流通促進に向け努めてまいります。
※執筆の内容は、2020年12月末時点によるものです。
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