トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.134 「安心R住宅」制度の実施状況について
2020年1月8日
国土交通省では、既存住宅の流通を促進するため、消費者が安心して購入できる物件にロゴマークの使用を認める「安心R住宅」制度を2018年4月1日より運用しております。今般、2019年4月から2019年9月における実施状況を登録事業者団体に調査しました。今回は、その内容について紹介します。
既存住宅流通市場の活性化のためには、既存住宅の質の向上、適正な評価、安心して取引できる環境の整備等のこれまでの取り組みに加えて、「不安」「汚い」「わからない」といった従来のいわゆる「中古住宅」のイメージを払拭し、消費者が「住みたい」「買いたい」と思う「新しいイメージの既存住宅」を選択できるようにしていくことが必要です。
このような背景から、国土交通省の告示による「安心R住宅」制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)を創設し、2018年4月1日より制度運用を開始しました。(告示公布平成29年11月6日・施行平成29年12月1日)。
本制度は、耐震性があり、インスペクション(建物状況調査等)の結果構造上の不具合および雨漏りが認められず、想定されるリフォームの内容・費用等について適切な情報提供が行われる既存住宅について、国が商標登録したロゴマークを事業者が広告時に使用することを認めるものです。
「安心R住宅」とは、具体的には、以下の要件を満たすものです。
これにより、「不安」「汚い」「わからない」といった従来のいわゆる「中古住宅」のマイナスイメージを払拭し、「住みたい」「買いたい」既存住宅を選択できるようにしています。
国は、「安心R住宅」の標章及びそれを付与できる既存住宅の要件を設定し、その上で標章の使用を希望する事業者の団体を審査・登録し、標章の使用を許諾します。事業者団体は、「汚い」のイメージを払拭するための「住宅リフォーム工事の実施判断の基準」及び標章の使用について、事業者が守るべきルール等を設定し、団体の構成員である事業者が当該ルールを遵守するよう指導・監督を行います。事業者は、登録団体から標章使用の許諾を得た上で、「安心R住宅」の要件に合致した住宅について、団体の基準やルールに則り広告時に標章を使用することができる仕組みです。この標章を付与することができる事業者団体は、2019年12月4日時点で、9団体が登録されています。
安心R住宅調査報告書とは、宅地建物取引業者(報告者)が、既存住宅について安心R住宅の基準に適合しているか調査し、その結果を記載した書面です。
安心R住宅調査報告書により、耐震性、既存住宅売買瑕疵保険の検査基準への適合、リフォーム工事の実施状況のほか、当該住宅に関する書類(建築時の情報、維持保全の状況に関する情報、保険・保証に関する情報、省エネルギーに関する情報など)の「有」「無」「不明」の別がわかります。さらに、この報告書で「有」とされた情報については、詳細について宅地建物取引業者に開示を求めることができます。
今般、登録事業者団体の実施状況(安心R住宅調査報告書の提出件数)を調査したところ、2019年4月1日から2019年9月30日において687件が「安心R住宅」として流通(広告に標章が使用される等)していることが確認できました(制度開始以降の累計は、1,953件)。
引き続き、安心して購入できる既存住宅の流通促進に向け、「安心R住宅」制度の周知に努めてまいります。
※「安心R住宅」については、当サイトの「話題の不動産キーワード」vol.46でも説明しています。
※執筆の内容は、2019年12月末時点によるものです。
「安心R住宅」制度について詳しくは、国土交通省のホームページ「特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度(「安心R住宅」)」及び、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会のホームページ「安心R住宅」制度とは」を参照ください。