トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.143 宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令の公布等について
2020年10月14日
不動産取引時において、水防法(昭和24年法律第193号)に基づき作成された、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を事前に説明することを義務づけることとする宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令が、2020年7月17日に公布され、2020年8月28日から施行されました。今回は、本改正についてご紹介します。
近年、台風や前線、局所的な豪雨等を原因とした、大規模水災害の頻発により甚大な被害が生じており、不動産取引時においても、水害リスクに係る情報が契約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっているところです。
そのため、不動産取引時に、宅地建物取引業者が水害ハザードマップを提示し、取引対象物件の位置等について情報提供するよう、2019年7月の通知等により、不動産関連団体を通じて協力を依頼してきたところですが、今般、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)における重要事項説明の対象項目として、水防法に基づき作成された水害ハザードマップにおける取引対象物件の所在地を追加し、不動産取引時に水害ハザードマップを提示し、当該ハザードマップにおける取引対象物件の所在地の説明を義務化することとしました。
【図1 重要事項説明の項目例】
実際の不動産取引時の説明方法等を明確化するため、宅地建物取引業法施行規則の改正に伴い、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)」も改正しました。主な改正内容は図2のとおりです。
【図2 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)】
説明に用いる水害ハザードマップは、市町村(特別区を含む。以下同)が配布する印刷物又は市町村のホームページ等に掲載されたものを印刷したものであって、取引の対象となる宅地又は建物が存する市町村のホームページ等を確認し、入手可能な最新のものを用いることとします。また、市町村が水害ハザードマップを作成していない場合は、「取引の対象となる宅地又は建物が存する市町村においては、水防法に基づく水害ハザードマップは作成されていない」旨を説明する必要があります。
なお、説明にあたっては、水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮するとともに、水害ハザードマップに記載されている内容については今後変更される場合があることを補足することが望ましいとされています。
2019年6月12日に当コーナーでご紹介した「不動産業ビジョン2030」において、自然災害の脅威について記載しているとおり、地球温暖化に伴う気候変動により、水害を含む自然災害が頻発し、激甚化する傾向が強まるとみられており、都市部等で決壊するような水害が発生した場合は、深刻な被害をもたらす可能性があります。よって、実際の不動産取引時において、水害リスクに係る情報を認識していることは、今後ますます重要になっていくと思われますので、丁寧な説明が必要とされます。
※執筆の内容は、2020年9月末時点によるものです。