トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.136 「2020年度予算概要」について
2020年3月11日
国土交通省は、2020年1月に、2020年度の予算概要を公表しました。今回は、2019年の住宅・不動産市場の状況を振り返るとともに、土地・建設産業局不動産業課に関係する予算事業(※)を紹介します。
※通常国会で予算案が成立することが前提となります。
2019年の住宅・不動産市場は、低金利環境の継続、雇用・所得環境の改善、訪日外国人の増加、住宅ローン減税等の諸施策による住宅需要の下支え等を背景とした不動産投資意欲の高まりにより、堅調に推移しました。
地価については、全用途平均では2年連続で上昇し、上昇基調を強めています。特に近年は地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の上昇が顕著であり、住宅地・商業地ともに三大都市圏を上回る上昇となっております。
不動産投資市場に目を向けますと、J-REITについては、2019年新たに3銘柄が東京証券取引所に上場、2019年10月末時点で63銘柄、時価総額は約17.05兆円となり、銘柄数・時価総額はともに増加傾向にあります。東証REIT指数は、2019年10月末時点において約2,245ポイントと前年同月比約22%の上昇であり、マーケット状況は拡大傾向にあります。
また、住宅着工戸数については2019年1月から10月までの合計が約76万戸と、前年同期比で約2.6%の減少となっています。
本格的な人口減少社会を迎える中、有効活用されずに放置される空き家等は増加傾向にあり、その対策は喫緊の政策課題となっています。このような遊休不動産について、空き家・空き地バンクを活用したマッチング支援や地域資源としての活用、地方自治体と宅地建物取引業者の連携による新たな需要の創出や流通促進等の先進的な取り組みを支援します。
●空き家等の流通・活用促進に向けた地域活動の支援
地方公共団体等と連携して地域の不動産ストックである空き家等の流通・活用促進を図る不動産業団体等のモデル的な取り組みを支援
●先進的な取り組みや優良事例の全国展開
これまでに支援したモデル的な取り組み事例について、成功要因や課題等を分析・整理し、全国的な周知・展開を図ることで、自治体や空き家等を利活用する事業者団体、空き家所有者などによる、更なる空き家等の利活用を推進
不動産業の持続的な発展を確保するための官民共通の指針として四半世紀ぶりにとりまとめられた「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」を受け、既存住宅流通市場の活性化等に向けた取り組みを推進するため、本ビジョンで今後の課題とされた「技術革新・業務効率化」を中心に、不動産市場における新技術の活用の動向や不動産取引における課題等を調査検討し、消費者サービスや業務効率の向上を図り、施策の具体化を進めます。
●新技術等を活用した不動産取引の促進
不動産取引において、AIやIoT等の新技術を活用する先進的な取り組み等に関する調査検討を実施し、新技術の導入効果や課題の把握、利用促進に向けた普及啓発を実施
2018年6月15日に住宅宿泊事業法が施行されました。我が国の不動産ストックを宿泊施設などに利活用するには、民泊管理業者(住宅宿泊管理業者)の適正な運営を確保することにより、民泊管理業の健全な発展を図っていくことが必要です。このため、民泊管理業の業務実態を調査分析し、安全・安心かつ快適な民泊サービスの提供を促進します。
●民泊管理業の業務実態把握のための調査検討
住宅宿泊事業法に位置づけられた住宅宿泊管理業者の業務実態の把握、課題の分析及びルール強化の検討等
近年、サブリースに関連した投資勧誘や家賃保証等を巡るトラブルが社会的な問題となっており、また、原状回復等の賃貸住宅を巡るトラブルも依然として多いことから、賃貸住宅管理業者に対するルールの強化や、その内容を踏まえた賃貸住宅管理業の適正化に向けた環境整備を行い、賃貸住宅の適切な管理の促進及び賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図ります。
●円滑な制度運用に向けた方策検討
●マニュアル等の周知・普及
以上、土地・建設産業局不動産業課に関係する2020年度の予算事業を紹介しました。本事業を通じて、我が国の不動産業の発展等に取り組んでまいります。
※執筆の内容は、2020年2月末時点によるものです。