トップ>国土交通省・最新の動き>VOL.131 個人を含む売買取引におけるIT重説及び賃貸取引における重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係る社会実験について
2019年10月9日
国土交通省では、「ITを活用した重要事項説明に係る社会実験に関する検証検討会(第5 回)」(2019年2月)(※)の議論を踏まえ、個人を含む売買取引におけるIT重説の社会実験については、実験を安全に実施するために必要なルール等の準備措置を行ったうえで、また、重要事項説明書等(宅地建物取引業法第35条、第37条書面)の電磁的方法による交付の社会実験については、IT重説が本格運用されている賃貸取引に限り、社会実験を実施いたします。
※検討会の詳細については、vol.124を参照ください。
宅地建物取引業法では、取引の相手方が宅地建物に係る権利関係や取引条件等について十分理解して契約を締結できるようにするため、契約締結前に宅地建物取引士が重要事項の説明を行うことが義務づけられており、これは従来「対面」で行われてきたところです。
ITを活用した重要事項説明(IT重説)とは、宅地建物取引士が行う重要事項説明を、テレビ会議等のIT(パソコンやテレビ等の端末)を利用して、対面と同様に説明・質疑応答を行うものですが、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に規定している通り、賃貸取引については、所定の要件を満たしている場合に限り、対面による重要事項の説明と同様に取り扱うこととしております。一方で、売買取引については法人間売買取引のみが2017年8月1日より社会実験を継続して実施している状況でした。
このような中、賃貸取引のIT重説については、実施件数が着実に積み上がり、かつ、トラブルなく安全に取引が行われていることが認められているため、個人を含む売買取引のIT重説の社会実験についても、実施にあたっての宅地建物取引業者の責務などを記載したガイドラインを策定したうえで、実験を開始することとなりました。
宅地建物の取引に関する契約は動産の取引と比べて契約内容や権利関係が極めて複雑であり、不明確な状態で契約を締結すると、後日になって当事者間に契約内容をめぐって紛争が生ずる恐れが大きいという特徴があります。そのため、成立した契約内容等を明確に書面に記載して、契約当事者相互に十分認識させ、紛争を防止するために宅地建物取引業者に書面の交付義務を課しております。
具体的には、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明書の交付及び第37 条に規定する書面の交付等が義務付けられておりますが、これらについては、法文上「書面」の交付が必要とされており、電子メールなどの電磁的方法による交付は認められておりません。
このような中、書面化や送付に要するコスト縮減等が期待できることから、IT重説が本格運用されている賃貸取引に限り、重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係る社会実験を開始することとなりました。
2020年以降、ITを活用した重要事項説明に係る社会実験に関する検証検討会において、本社会実験の実証結果を検証し、今後の方向性について検討を行うことを予定しております。 国土交通省としては、取引の安全性確保を大前提としつつ、不動産取引のオンライン化を通じて、消費者の利便性の向上や宅地建物取引業者の業務の効率化等を図ることにより、不動産分野の生産性向上につなげたいと考えております。
※執筆の内容は、2019年9月末時点によるものです。