トップ不動産基礎知識:売るときに知っておきたいこと3.不動産会社に売却を依頼する:仲介手数料について
仲介手数料に関するトラブルを防ぐには、仲介手数料に対する法規制や媒介契約の締結時の注意点を押さえておきましょう。
宅地建物取引業法により、不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料には上限額があります。したがって、不動産会社が上限額を超える仲介手数料を受け取った場合は、法令違反となります。また、法令で定められているのはあくまでも上限額ですので、当然に上限額を請求できるということではありません。
不動産の取引の仲介では、売買契約が成立したときに不動産会社の仲介手数料の請求権が発生します。(一般的に「成功報酬」といわれています。)したがって、売買契約が成立するまでは、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。
売買契約が成立すると、不動産会社に仲介手数料の請求権が発生しますので、例えば、売買契約成立時に仲介手数料の全額を不動産会社に支払っても、違法というわけではありません。ただし、不動産売買では契約締結時点で引き渡しまで完了していないことが多いことから、一般的には契約締結時に仲介手数料の50%を支払い、引き渡し完了時に残りの50%を支払うことが望ましいとされています。
通常の仲介業務で不動産会社に発生する費用は、依頼者に請求することはできません。例えば、一般的に行われる広告費用や購入希望者の現地案内にかかわる費用は、売買契約成立時に発生する仲介手数料に含まれるものです。例外的に、依頼者の特別な依頼に基づき発生した広告費用等の「実費」については、請求することが認められています。例えば、依頼者の希望で実施した通常の販売活動では行わない広告宣伝の費用、依頼者の希望で行った遠隔地の購入希望者との交渉のための出張旅費などについては、不動産会社は仲介手数料とは別に請求することができます。
ただし、あくまでも
のすべてが満たされている場合に限定した例外的な取り扱いであることに留意しておきましょう。
空き家の取引には、通常と比べて高額な現地調査の費用などが発生するケースがあります。
空家解消対策の一環として、取引価格800万円以下の「低廉な空き家等の売買または交換」の報酬額の上限が、30万円(+消費税)に引き上げられました(国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」2024年7月1日施行)。また、この改正は売主・買主双方に適用されるため、それぞれから特例の報酬額を受領することができます。
特例の適用には、不動産業者はあらかじめ仲介手数料について依頼者それぞれに説明し、合意を得たうえで、その内容を媒介契約書に記載するなどの措置が必要です。合意を得られない場合、特例に基づく報酬請求は認められません。
○ 注意すべき不動産会社
仲介手数料に関して、次のような不適切な協議を行う不動産会社には注意しましょう。何か疑問を感じることがあったら、納得できるまで確認すべきです。不誠実な説明を受けた場合には、その不動産会社への依頼を再考する余地があります。