トップ>不動産トピックス>新耐震基準住宅の8割超が最も新しい耐震基準を満たしていない
2021年4月14日
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)はこのたび、東日本大震災から10年、熊本地震から5年の節目を迎えるにあたり、「木耐協調査データ」(2021年3月4日発表)を発表した。恒例の住宅(木造在来工法)の耐震診断結果の集計※に加え、今回は、診断依頼者の年齢と築年数についても分析した。
なお、木造住宅の耐震基準は「1981年6月」と「2000年6月」の2度にわたって大きく改訂されていることから、調査では「1980年以前に建てられた建物」を「旧耐震基準住宅」、「1981年以降2000年5月までに建てられた建物」を「81-00住宅」(新耐震基準住宅)と区分している。
※ 1950年~2000年5月までに着工された2階建て以下の木造在来工法の住宅を対象に、2006年4月1日~2021年2月28日に木耐協で耐震診断を実施したうち、耐震診断結果の詳細を把握している2万7,929棟について集計したもの。
耐震診断の結果を見ると、「倒壊しない」と判定されたのは全体の1.3%(368件)で、「一応倒壊しない」が7.2%(2,002件)、「倒壊する可能性がある」が16.9%(4,715件)、「倒壊する可能性が高い」が74.6%(2万844件)となり、全体の9割超が現行の耐震基準を満たしていない(「倒壊する可能性がある」と「倒壊する可能性が高い」の合計)ことが分かった。建築年別に見ると、現行の耐震基準を満たしていないのは、1950~1980年築の旧耐震基準住宅(1万3,705件)では97.3%、1981~2000年5月築の「81-00住宅」(1万4,224件)でも85.9%となった(表1)。
耐震補強工事の平均施工金額は、全体では167万7,421円、旧耐震では189万2,208円、「81-00住宅」では152万3,430円で、「81-00住宅」より旧耐震の方が約37万円高い結果となった。また、平均築年数は、全体では37.15年、旧耐震では45.73年、「81-00住宅」では28.89年となった。
出典:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木耐協調査データ」(2021年3月4日発表)
木耐協では、耐震診断を実施する際に診断依頼者の年齢を任意で聞いており、回答があった7,520件について分析を行った。
診断依頼者の平均年齢は66.14歳で、年代別の割合を見ると、60代(31%)が最も多く、次いで、70代(29%)、80歳以上(14%)の順となり、木耐協では「診断依頼者の中心は60歳以上」で、「30~40代でマイホームを購入し、築年数が30年以上経過した人からの依頼が多いためだと考えられる」としている。
耐震診断の申し込みのあった住宅は、旧耐震が44.2%、「81-00住宅」が55.8%となり、「81-00住宅」が過半数を占めた。年代別に見ると、「年齢と住宅の築年数は比例し、高齢なほど築年数が古い住宅に住んでいる傾向があり、70代以上は旧耐震に住む人の割合が過半数」だという。一方、60代以下は、「81-00住宅」に住む人が6割超(60代63.5%、50代67.1%、50歳未満63.4%)だった(表2)。
診断結果によると、「81-00住宅」でも85.9%が現行の耐震基準を満たしていないことから、木耐協では、「『81-00住宅』に住む60代以下は、年齢的にはまだその家で暮らすことが想定されるが、住宅は築20年を超え、手入れが必要な時期を迎えている」としている。
また、建築された年代別に診断依頼件数を見ると、「1950年~1960年」は2%、「1961年~1970年」は11%、「1971年~1980年」は31%、「1981年~1990年」は33%、「1991年~2000年」は22%で、1970年以前に建築された住宅の診断依頼は13%となり、「築50年を過ぎると、耐震診断の件数は激減」することが分かった。
出典:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木耐協調査データ」(2021年3月4日発表)