トップ>不動産トピックス>新築マンションの月額管理費・修繕積立金、首都圏では直近10年で約2割上昇
2020年5月27日
(株)東京カンテイはこのたび、「マンションのランニング・コスト最新動向」を発表した。首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)・近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県)・中部圏(愛知県、岐阜県、静岡県、三重県)のファミリーマンション※における管理費や修繕積立金などのランニング・コストを分析したもの。新築マンションの集計期間は2010~2019年で、データは全て同社のデータベースに登録されているものを使用した。なお、管理費、修繕積立金は1戸当たりの単価を基に専有面積70㎡に換算して使用している。
※専有面積30㎡未満、事務所、店舗用、リゾートマンションを除く
首都圏における新築マンションの月額管理費と月額修繕積立金は「近年上昇傾向」にあるといい、月額管理費は2015年から5年連続、月額修繕積立金は2016年から4年連続で上昇した(図1)。
直近10年(2010~2019年)を見ると、月額管理費は1万6,116円から1万9,085円(18.4%上昇)に、月額修繕積立金は6,410円から7,826円(22.1%上昇)に、それぞれ大きく上昇した。月額管理費と月額修繕積立金を合計した月々のランニング・コストは、2万2,526円から2万6,911円と4,385円(19.5%)の上昇となった。同社では「新築価格(坪単価)と連動して管理費・修繕積立金が推移していることがわかる」としており、月額管理費・月額修繕積立金の上昇について、「大手デベロッパーの供給シェアが年々拡大し、相対的に維持管理コストが掛かるハイグレードマンションの比率が高まった」こと、「昨今問題となっているマンション管理業界や建設業界の人手不足による人件費の高騰や建築資材の高騰などによって、建物の維持管理に掛かる費用そのものが値上がりする状況にある」ことの2点を要因として挙げている。
戸数規模別に見ると、月額管理費は「2015年以降の各年で50戸未満が最も高く、一方で200戸以上または300戸以上の区分で最も安くなる傾向」だという。ただし、「500戸以上の規模では相対的に管理費が高いタワーマンションの比率が高まるため、年々管理費が上昇する傾向」にあるといい、「戸数規模の大きさが必ずしも優位とはならない」としている。また、月額修繕積立金も、「50戸未満または500戸以上の区分で高額になる傾向が見られる」一方で、「最も安くなる戸数規模は200戸以上と300戸以上の区分に集中している」といい、月額管理費・月額修繕積立金ともに、200戸以上500戸未満の規模で安くなる傾向にあるとしている。
出典:(株)東京カンテイ 首都圏「マンションのランニング・コスト最新動向」
近畿圏における新築マンションの月額管理費は、「2010年以降1万円前後で推移し、2015年に1万1,000円の大台に乗って以降はやや下落傾向」で(図2)、月額修繕積立金は、「2011年に坪単価と同様の動きを見せ下落」したが、2012~2018年は7年連続で上昇し、2017年には6,000円超となった。
直近10年を見ると、月額管理費は1万55円から1万1,346円(12.8%上昇)に、月額修繕積立金は5,169円から6,232円(20.6%上昇)に、それぞれ大きく上昇した。月額管理費と月額修繕積立金を合計した月々のランニング・コストは、1万5,224円から1万7,578円と、2,354円(15.5%)の上昇となった。同社では、「新築価格(坪単価)と連動して修繕積立金が推移していることがわかる」としている。
戸数規模別に見ると、月額管理費は「2015年以降の各年で50戸未満または500戸以上の区分が最も高額」だが、「50戸以上から500戸未満の各区分の間で金額の差があまり生じていない」という。月額修繕積立金は「戸数規模による金額の差はほとんど確認できない」結果となった。
中部圏における新築マンションの月額管理費は、「2010年から2018年まで1万1,000円前後の横ばい推移」だったが、2019年は1万2,541円と大きく上昇した(図3)。月額修繕積立金は、「2010年から2011年は5,000円台前半の水準であったが、その後上昇を続け2017年以降は3年連続で7,000円を超える水準を維持している」という。
直近10年を見ると、月額管理費は1万1,412円から1万2,541円(9.9%上昇)に、月額修繕積立金は5,045円から7,393円(46.5%上昇)に、それぞれ上昇した。月額管理費と月額修繕積立金を合計した月々のランニング・コストは、1万6,457円から1万9,934円と、3,477円(21.1%)の上昇となった。同社では、近畿圏と同様に「新築価格(坪単価)と連動して修繕積立金が推移していることがわかる」としている。
戸数規模別に見ると、月額管理費・月額修繕積立金ともに「戸数規模との相関は確認できない」という。
出典:(株)東京カンテイ 近畿圏・中部圏「マンションのランニング・コスト最新動向」