トップ>不動産トピックス>耐震補強工事を考えにくい理由、1位は「補強費用が高い」
2019年11月6日
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)はこのたび、「木耐協 耐震診断結果 調査データ」(2019年10月18日発表)を発表した。1950年~2000年5月までに着工された2階建て以下の木造在来工法の住宅を対象に、2006年4月1日~2019年7月31日に木耐協で耐震診断を実施し、恒例の耐震診断結果の集計に加え、今回は耐震診断終了後にアンケートを実施した。ここでは、耐震診断実施後のアンケート調査の結果を紹介する。
耐震診断実施後のアンケートで、今後、耐震補強工事を考えているかという問いに「いいえ」と回答した344人を対象として、耐震補強を考えにくい大きな理由を単一回答で聞いたところ、最も多いのは「補強費用が高い」(43.90%)で(図1)、次いで「地震が来たら仕方が無い」(27.03%)、「耐震性が十分だった」(15.99%)、「建て替えを検討」(13.08%)の順となった。
診断した住宅を旧耐震と新耐震(81-00木造住宅※1)に分けて見ると、「補強費用が高い」は、旧耐震で41.18%、新耐震で45.67%となり、旧耐震・新耐震問わず、最も多かった。「耐震性が十分だった」は、旧耐震では5.15%だったが、新耐震では23.08%を占めた。「建て替えを検討」は、旧耐震では20.59%で、新耐震の8.17%を大きく上回った。
また、年齢が分かっている回答者について、年代別に集計したところ、「年代が上がるほど『補強費用が高い』の割合が低下」する一方で、「年齢が上がるにつれ、『地震が来たら仕方が無い』という割合は増加している」という。50歳未満では、「建て替えを検討」は25.0%となり、他の年代よりも高かった。木耐協では「年代によって補強工事をしない理由も変化している」と見ている。
※1 耐震基準は「1981年6月」と「2000年6月」の2度にわたって大きく改訂されているため、調査データでは、「1980年以前に建てられた建物」を「旧耐震基準住宅」、「1981年~2000年に建てられた建物」を「81-00木造住宅」(新耐震基準住宅)と区分している。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木耐協 耐震診断結果 調査データ」
耐震診断実施後のアンケートで、今後、耐震補強工事を考えているかという問いに「はい」と回答した714人(補強工事検討者)を対象として、耐震補強工事にかけられる予算はどのくらいかを単一回答で聞いたところ、「100万円未満」は52.52%(「50万円未満」19.33%、「50~100万円未満」33.19%)となり(図2)、「200万円未満」まで含めると約8割を占める結果となった。
旧耐震と新耐震(81-00木造住宅)に分けて見ると、「100万円未満」は、旧耐震で40.85%(同12.20%、28.66%)、新耐震で62.44%(同25.39%、37.05%)となり、差が生じる結果となった。木耐協では「新耐震の検討者は補強工事金額を低めに考える傾向がある」と見ている。
また、補強工事検討者が想定する補強工事の予算と、補強工事実施者から得られた工事実施金額の集計※2を比べたところ、「100万円未満」は、検討者53%に対し実施者28%、「200万円未満」は、検討者79%に対し実施者68%となり、「補強工事検討者の予算と実際の補強工事金額に差がある」ことがわかった。
※2 補強工事検討者と工事実施者は同一人物ではない。
※日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 「木耐協 耐震診断結果 調査データ」