トップ>不動産トピックス>持ち家居住者の老後のリバースモーゲージ利用意向、「どちらともいえない」が約半数
(一社)全国住宅産業協会(以下、全住協)はこのたび、「住宅所有者の維持管理と老後生活・資金に関する意識調査」の結果を発表した。「既存住宅ストックによる市場の好循環を促す品質の維持・性能の向上・評価・金融・流通の一体的仕組みの開発・周知・試行事業」として、<調査1>「住宅所有者等への維持管理と対処状況に関する調査」、<調査2>「住宅所有者への老後生活に関する調査」、<調査3>「維持管理への取組みとリバースモーゲージ等への意識に関する事業者調査」の3つの調査を実施したもの。
今回は、<調査1>と<調査2>の結果について紹介する。
<調査1>は、リバースモーゲージ移行型ローンの開発に関係するとして、「住宅所有者等への維持管理と対処状況に関する調査」(30~60歳までの首都圏居住者で、住宅所有者または親が持家に住んでいる人が対象、平均年齢45.1歳)を実施した。
住生活において、現在困っていることや、悩んでいることを複数回答で聞いたところ、「リフォーム・増改築」(24.1%)が最も多く、次いで「自宅の修理・修繕」(22.5%)、「住宅ローンの返済」(17.1%)の順となった。そのような困りごとや心配ごとへの対処状況を聞くと、「『対処していない』(『リフォーム・増改築』36.7%、『自宅の修理・修繕』38.8%)という回答が一定程度あった」という。
また、困りごとや心配ごとを、主に家族以外の誰に相談しているか(相談する予定か)を聞いたところ、「住宅メーカー・工務店・専門業者への相談がそれぞれ一定割合を占めている一方で、『自分・家族のみで解決する』(『リフォーム・増改築』15.7%、『自宅の修理・修繕』22.5%)、『誰にも相談しない』(『リフォーム・増改築』17.2%、『自宅の修理・修繕』14.3%)という回答も一定程度ある」ことが分かった。
老後の生活において心配だと感じることを複数回答で聞いたところ、最も多いのは「収入・生活の資金のこと」(79.4%)で、次いで「健康や病気のこと」(66.7%)、「住まいに関すること」(34.9%)の順となった。老後の資金として、最低でもいくらぐらい蓄えておきたいと思うかを聞くと、平均額は2,535万円で(図1)、その対策(複数回答)としては「普通預金・定期預金」(52.8%)が最も多かった。
リバースモーゲージ※1について、説明を記載した上で、老後に利用したいと思うかを単一回答で聞いたところ、「どちらともいえない」が45.5%を占めた。また、リバースモーゲージ移行可能型ローン※2についても、説明を記載した上で、利用してみたいと思うかを聞くと(単一回答)、「どちらともいえない」が47.5%を占める結果となった。
※1リバースモーゲージとは、
・自宅を担保にして、銀行や自治体から老後の資金を借りることができるローン
・自宅の資産価値に基づいた借り入れが可能
・自分の死後に自宅を売却することで一括返済する仕組みで、存命中は自宅に住み続けられる
・タイプによるが、存命中の月々の支払いは使った分の利息だけとなり、元本分は支払う必要がない
・生活資金だけでなく、旅行や趣味、医療費など、幅広い用途で利用できる
※2リバースモーゲージ移行可能型ローンとは、
・住宅ローンを、自分の好きなタイミングで「リバースモーゲージ」に切り替えられる
・切り替えた場合、リバースモーゲージによって借り入れできる金額から住宅ローンの残高を差し引いた金額が、資金として受け取れることになる
・現在のリバースモーゲージは、建物の価値はほとんど加味されず、土地の価値だけが自宅の資産価値とみなされることが多いが、『リバースモーゲージ移行可能型ローン』では、建物の価値を加味して自宅の資産価値を算出する
・そのため、建物の検査やメンテナンスを定期的に行っていることが求められるが、それによって建物の価値が上がり、その分リバースモーゲージで借りられる金額も上がることが期待される
※(一社)全国住宅産業協会 「住宅所有者の維持管理と老後生活・資金に関する意識調査」
<調査2>は、老後生活に対する資金への意識、リバースモーゲージに対する意識などについて「住宅所有者への老後生活に関する調査」(50~75歳の首都圏居住者で住宅所有者が対象、平均年齢61.7歳)を実施した。
老後の資金として、最低でもいくらぐらい蓄えておきたいと思うかを聞いたところ、平均額は2,822万円だった(図2)。資金面での対策(資産運用)を複数回答で聞くと、最も多いのは「普通預金・定期預金」(50.7%)だったが、次いで多いのは「特に行っていない」(35.3%)だった。
資産について、「A:家族に残したい」と「B:自分や配偶者で使いたい」のどちらに近いかを単一回答で聞いたところ、「Aに近い」は約3割(「Aに近い」8.6%、「どちらかといえばAに近い」18.9%)、「Bに近い」は約4割(「Bに近い」24.0%、「どちらかといえばBに近い」20.6%)となり、「どちらともいえない」は27.9%と約3割を占めた。
リバースモーゲージを知っているか(単一回答)では、「知っており、内容も理解している」は12.7%、「知っているが、詳しい内容は分からない」は24.7%、「知らない」は62.6%だった。リバースモーゲージについて、説明を記載した上で、老後に利用したいと思うかを単一回答で聞いたところ、「どちらともいえない」が45.7%を占める結果となった。
※(一社)全国住宅産業協会 「住宅所有者の維持管理と老後生活・資金に関する意識調査」